抄録
本研究は、仮想市場評価法における、自由回答意見の支払い意思額への影響について、諫早、長崎、北九州で行った諫早干拓事業の環境影響評価データから検討したものである。研究方法は、自由回答意見をカテゴリ別に集約化し、本事業の問題点を抽出するとともに、住民の意識と支払い意思額の関係について、統計分析より評価を行った。その結果、自由回答意見の集約より、諫早干拓事業が各都市に与える影響、問題点、責任者の所在、解決法の項目で、諫早と長崎、北九州の間に、大きな誤差があることが分かった。本研究の成果として、仮想市場評価法での自由意見を用いた分析により、支払い意思額のみでは明らかに出来ない住民意見が抽出できること、また自由意見の住民や政策執行者への提供が行える結果であることが確認できた。