抄録
都市における身近で連続した緑の生育基盤であり、貴重な歴史的土木遺産でもある玉川上水の素堀りの水路法面は、崩落が進み、水路としての機能や文化財としての価値が低下することが懸念されていた。本研究は、この法面崩落の基本的要因が「霜柱」、「降水」、「風」、「日照」、「地形」であるということと、法面や平坦部に生育する樹木が崩落の進行を早めるという作用が起きていることを解明した。これにより、水路法面を今後維持していく上での樹木管理の方針として、法面部分に生育する樹木の生育状態により伐採の優先順位を示した。なお、実際の管理では、地域住民の意見を反映して総合的に判断することが重要である。