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本稿では、家畜排せつ物による水質汚濁負荷に焦点を当てる。家畜排せつ物に起因する水質汚濁は、流域の生活環境や地球環境へ影響を与える重大な問題である。家畜排せつ物管理の適正化の推進を目指し、平成11年に家畜排せつ物法が施行、平成16年には完全施行されている。本研究では霞ヶ浦流域を対象とし、同法が家畜排せつ物管理に与えた影響を分析した。また流域での窒素フローモデルを構築し、窒素フローを定量的に把握した。その結果、同法はふん尿の不適切処理の減少に寄与するという効果がある反面、これらを農地へ過剰に散布することで、窒素フローバランスの悪化を生じさせている側面もみられた。