抄録
1970 年代以降,全国でカメムシによる果樹や作物への被害が深刻化している。和歌山県でもカキやモモなどを中心に被害が広がっている。本研究では,果樹園と果樹カメムシの増殖源となっているスギ・ヒノキ林を地球観測衛星の情報から抽出し,果樹園とスギ・ヒノキ林について空間分析を行うことを目的とした。まず,土地被覆分類は精度向上のため,衛星データを斜面方向・斜面角度別に切り出し,分類作業を行った。次に,抽出したスギ・ヒノキ林から果樹園までの距離や面積の分布について空間的な分析を行った。その結果,被害状況を示すデータとスギ・ヒノキ林の面積の分布で高い相関が得られた。また,解析結果を反映した果樹食害予測マップの作成を行うことが可能となった。