抄録
内閣府中央防災会議は,M7.0クラスの首都直下型地震や東海沖地震が今後30年以内に発生すると予測した。わが国では1995年の阪神淡路大震災により甚大な被害を受け,その後災害対策に尽力してきた。海を活用した救援システムについては世界でも考えられておらず,海に面した大都市では海洋空間の新しい価値の見直しにつながると考える。本研究では,海上から河川の内陸部まで移動可能な屋形船を活用した際の救援システムの可能性を把握し,河川の航行可能ルートの調査を行い,災害発生時の海洋空間から河川域までの有効活用の一示唆とする。その結果,屋形船を活用した場合の輸送量等の救助ポテンシャルが把握できた。また河川調査により,船の規模ごとの航行可能なルートの選定を行った。