抄録
本研究では,20 代前半の健全な男子学生を対象に森林浴実験をおこない,不安障害に親和性の高い人格特性だと思われた神経症傾向とその下位尺度の不安傾向の高低によって対象者を分類し,森林環境の印象評価、認識および感想,そして森林浴効果について調べた。その結果,神経症傾向が高い人たちは,森林環境に対して,より好ましくかつ親しみやすく,適度に自然性が高い対象であるとして評価しており,森林浴前から,相対的に高いストレス状態にあるが,1)短時間の歩行活動によって,特に怒りや敵意の感情が沈静化する,2)座観活動によって,活気が昂進し疲労が低下する可能性が示唆された。