現在,農村地域においては,中山間地域を中心とした過疎化および高齢化の進行に伴い,農地・農業用水路等の地域資源の維持保全が困難に陥っており,農作物の生産や,地域資源のもつ多面的機能の発揮に影響を及ぼしている。本研究の対象とする兵庫県東条川地域では,大規模な疏水ネットワークの歴史を背景に,疏水を地域資源として活かすアートツアーを実施することで,疏水について人々の興味関心を喚起し,認知度の向上を目指している。本研究では質問紙調査によってその効果の分析を行った。その結果,疏水への興味が疏水の維持管理意識において,重要な要因であることが明らかになり,疏水への興味を高めるアートツアーの有効性が具体化された。