抄録
電気自動車(EV)普及を検討する際,寒冷地や山間地では,低温と高温による空調機器利用の増大や急な傾斜の道路における走行により消費電力が増大し,普及阻害要因の一つである航続距離の短さが強調されることが想定される。これら気温や土地の傾斜は政策によって変更できない要因である。本研究は,市区町村単位における分析の結果,気温が低くなることでEV の普及が阻害されている可能性を確認できたが,傾斜の普及状況に対する影響に関しては統計的な有意性を得ることができなかった。この結果より,例えば補助金によるEV の普及政策について気温による地域性を考慮する場合,全国一律的にEV 普及を図ることが望ましいわけではないことが示唆された。