抄録
本研究は寺院起源と言われる茶産地の京都府宇治市を研究対象として,明治中期以降の土地利用および茶生産量の変化を分析し,宇治市の茶畑の変遷過程の解明および寺院茶を起源とする茶産地における文化的景観の特質について考察することを目的とした。その結果,(1)明治23 年から平成18 年にかけて宇治市の茶畑面積は顕著な減少が見られた。(2)昭和30 年を境に,茶畑の分布位置は大きな変化があったことが確認された。(3)各時期により,茶畑と周辺土地利用の関連も変化したことが明らかになった。 以上より,宇治市の文化的景観を保全する際に,要素の選択についても再検討していくことが求められる。