抄録
木質バイオマス熱電供給(CHP)15施設の調査により,川下の発電所から,川中の燃料工場,川上の森林にまで遡り作成した資金フローから,地域循環システム(LCS)の経済循環効果を表す地域内乗数LM4と経済的価値である丸太1tあたりの域内所得を評価し,ペレット,チップで比較した。発電所での融資返済が地域内金融で,燃料工場での原木購入が概ね域内であれば,LCSのLM4は2.07以上で経済循環に貢献する。域内所得は,チップ利用に比べてペレット利用小型LCSが高いが,川上での持続可能な丸太供給の担保が条件で,川下でのCHP熱供給とマッチングする熱需要の出口設計が,環境的価値とシナジー効果を得る条件である。