硬化コンクリート中のセメントの化学組成は、著者らが確立したEPMAマッピング分析による方法により、高い精度で求めることができる。本論文では、こうして求めたセメントのCaO含有率を、セメント協会法による配合推定に適用することを提案した。年代が古く、使用されたセメントの化学組成が不明のコンクリートについて、EPMAマッピング分析により、使用されたセメントのCaO含有率を求めた。この値を用い、セメント協会法により推定した水セメント比は、普通セメントとして一般的なCaO=65%とした場合の推定値より0.1近く低かった。この水セメント比を基に予測した中性化深さは実測値ときわめて近く、水セメント比の推定値が妥当であることを示した。