セメント・コンクリート論文集
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セメント化学
  • 三森 耀介, 斎藤 豪, 佐伯 竜彦, 鈴木 一帆
    2020 年 74 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究ではAl源や養生温度の違いがトバモライトの結晶構造に及ぼす影響に関して検討するため、出発Ca源及びSi源にゲーレナイトやγ-Al2O3を添加し、各条件下で養生を施した。その結果、Al無添加試料を比較的低温である40℃で28日間養生することで1.4nmトバモライトが生成することを確認した。また1.4nmトバモライト生成過程において、Alを添加することで60℃温度条件下でもAl置換型1.1nmトバモライトが生成する可能性が示された。加えて1.1nmトバモライト生成過程においては、低結晶質のC-(A)-S-Hが結晶化すると共にAl置換サイトがQ2bからQ3へシフトする傾向が見られ、Al源の違いはAl置換量の違いを生み出す結果となった。

  • 坂井 悦郎, 梅津 真見子, 相川 豊, 久我 龍一郎
    2020 年 74 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    基材セメントとして普通ポルトランドセメント(N)と高C3Sセメント(H)を用いて、FAの置換率を18と30%としたフライアッシュ(FA)セメントの養生温度30℃での水和反応についてLSP添加の影響も含め検討を加えた。Hを用いたFAセメントの初期水和の熱量は、FAの置換率が18mass%でもNセメントと同等以上の値を示した。LSPを添加した場合は基材セメントに関係なく、エトリンガイト(AFt)とモノカーボネート(Mc)が生成した。材齢7日と91日の各種FAセメント中のC3SとC2Sの反応率はFAセメントの種類に関係なく、ほぼ同等で、反応量としては含有量が影響した。また、30℃養生では、基材セメントとしてHを用いた方が、Nの場合より長期でのFAの反応率が顕著に増加した。

  • 二戸 信和, 植田 由紀子, 松澤 一輝, 坂井 悦郎
    2020 年 74 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    高炉スラグ微粉末(BFS)の化学組成や粉末度が活性度指数や高炉スラグ高含有セメント(HVBFSC)の水和や強度に及ぼす影響を検討した。BFSの活性度指数やHVBFSCの強度や水和にはBFSの化学組成の影響が大きく、粉末度によって活性度指数を増加するには限界がある。JISの塩基度が同じでも活性度指数やHVBFSCの水和や強度が異なるものもある。TiO2やMnOを考慮した塩基度は、いずれも活性度指数やHVBFSCの水和の傾向まで推察することは難しいが、強度や水和特性が低いものを見分けるためには有用である。また、HVBFSCの水和初期のカルシウムアルミネート系水和物はエトリンガイト(AFt)であるが、活性度指数の高いBFSを用いるとモノサルフェート(AFm)の生成が増加した。

  • 伊藤 貴康, 佐々木 玲
    2020 年 74 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    C3S量の異なる高C3A型クリンカーを試製し、これらを用いて調製した高炉セメントの強度発現性と断熱温度上昇特性を検討した。C3A量を13~16%に増やしたクリンカーを用いた場合、C3A量が9~10%のクリンカーに比べて28日強さが低下した。その28日強さの低下を補完するにはC3S量の増加、石灰石添加、ブレーン比表面積の増加および強度増進剤(TIPA)の使用が有効であったが、石灰石添加を除いていずれも断熱温度上昇量も増加した。

  • 伊藤 貴康, 原田 奏也, 新 大軌, 大崎 雅史
    2020 年 74 巻 1 号 p. 30-37
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    塩基度とAl2O3量の異なるスラグを電気炉で試製し、これらについて亜硝酸カルシウム(CN)による水和促進効果の違いを検討した。塩基度が高くAl2O3が多いスラグでは、CN添加によって水和発熱速度が著しく増大した。しかし、この水和発熱速度の増加はモルタル圧縮強さ発現の傾向と一致せず、Al2O3を多く含むスラグではCN添加によるモルタル圧縮強さの増加率は小さくなった。X線回折によるNitrite AFmの生成からスラグの反応促進が確認できたが、強度発現の面でCN添加の影響を論じるには、非晶質な水和物生成や硬化体の空隙構造の変化も含めて更に研究する必要がある。

  • 坂井 悦郎, 梅津 真見子, 二戸 信和, 端 健二郎
    2020 年 74 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    Ca(NO22、ジエタノールイソプロパノールアミンや両者を併用した添加剤を添加した高炉スラグ高含有セメントの水和物(HVBFSC)とその組成について無添加の場合と比較して検討した。硬化したHVBFSCの水和物は、いずれの添加剤を添加しても変化せず、ケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)および水酸化カルシウム、AFtと少量のAFmとハイドロタルサイト(HT)であった。SEM-EDSの点分析によりMg/SiとAl/Siの関係からHTのMg/Alを求め、Alを補正しAl/Caを求めた。Si/CaとHTを補正したAl/Caとの関係から求めたC-S-HのCa/Siは、添加剤の有無や種類に関係なく約1.3程度であった。添加剤を添加すると高炉スラグの反応が促進され、C-S-HのAl/Siが無添加より0.02~0.05大きな値を示し、Ca/(Si+Al)は無添加に比べてわずかに小さい値を示した。

  • 大松 宏彰, 山田 優也, 胡桃澤 清文
    2020 年 74 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    寒冷地における高炉セメントコンクリートの初期強度発現の遅れを改善するために硬化促進剤の研究がなされ、さまざまな無機塩類でその効果が報告されている。しかし、高炉セメント中の高炉スラグ微粉末の反応にそれらの物質がどのような影響を与えるかは依然解明されていない。本研究では硬化促進剤を構成する主な物質である無機塩類に着目し、高炉スラグ微粉末の反応に及ぼす影響と反応メカニズムの解明を試みた。その結果、無機塩類の添加により高炉スラグ微粉末の反応率が上昇し強度発現が増進することが明らかになった。また、高炉スラグ微粉末の反応により生成されるアルミネート系の水和物の違いが強度発現に影響することが示された。

  • 安達 丈, 新 大軌, 森 泰一郎
    2020 年 74 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では高炉スラグ微粉末および高炉セメントの水和反応に及ぼす各種膨張材の影響について検討した。各種膨張材の混和により無水石膏と消石灰を併用添加した系と比べスラグの反応が促進し、AFm相の生成や液相のpHの大きな低下が確認された。高炉セメントにおいては、各種膨張材の混和によりスラグ、ベースセメントともに反応が促進した。膨張材のうちエトリンガイト・石灰複合系膨張材(P-CSA)はベースセメント中のエーライト、フェライト相の反応および材齢3日までのスラグの反応を大きく促進した。このことからP-CSAは特にスラグを多量に使用した混合セメントの初期強度増進剤として有効であると示唆された。

  • 宮原 茂禎, 荻野 正貴, 大脇 英司, 坂井 悦郎
    2020 年 74 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    高炉スラグ微粉末を大量に使用したコンクリートのペーストと高炉セメントB種のペーストの炭酸化を促進し、C-S-Hの変質挙動に着目してSEM-EDSや29Si MAS NMR、27Al MAS NMRにより分析した。SEM-EDSの結果から、炭酸化によりスラグやセメント粒子の内部のC-S-HからCaが外部へ移動してCaCO3を生成する機構が明らかになった。この時、C-S-H中のSiとAlは移動せずに保持され、Caが減少しながらSiO4四面体の重合が進んでアルミノシリケートゲルに変化することがNMRにより確認された。

セメント硬化体・モルタルの物性
コンクリートの試験・評価
コンクリートの物性
耐久性
  • 横関 康祐, 取違 剛
    2020 年 74 巻 1 号 p. 221-228
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    コンクリート中におけるイオンの移動と化学反応を数値解析することによって、コンクリートの寿命予測や耐久性を評価するモデルを開発した。モデリングに際しては次の3点を基本としている。①可能な限り数理モデルを用いること、②入力するパラメータを一般的に取得可能なデータとすること、および③それぞれのモデルが十分検証されていること。このモデルは、一般的な構造物の塩害あるいは放射性廃棄物処分のような長期の溶脱に対する耐久性能照査ツールとして用いることが可能である。本稿ではモデリングの方法を示すとともに、供用開始から数十年が経過した実構造物との比較、および既存溶脱モデルとの比較検証により本モデルの適用性について述べる。

  • 坂本 大河, 澤本 武博, 樋口 正典, 臺 哲義
    2020 年 74 巻 1 号 p. 229-234
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では普通ポルトランドセメントを用いたRC床版の施工を想定し、仕上げ時期の違いが表層品質に及ぼす影響について、表層強度および耐久性に関する試験を行い、適切な仕上げ時期を検討した。その結果、凝結始発時期に仕上げを行った場合に作業性および表面強度の向上が認められ、表面吸水速度が最も小さくなった。ブリーディング水が浮いている状態で仕上げを行った場合には表層引張強度が極めて小さくなる結果となり、初期の凍結融解に伴うスケーリング速度が大きくなった。しかし、最終的なスケーリング量については、仕上げ時期の影響は確認できなかった。

  • 寺本 篤史, 大久保 孝昭
    2020 年 74 巻 1 号 p. 235-242
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究ではASRのペシマム現象において、反応性骨材と共存する骨材の影響を明らかにすることを目的として実験的・解析的検討を実施した。その結果、同一の反応性骨材を同量使用した場合でも、共存する骨材種類によりコンクリートのASR膨張率ならびにペシマム混合率が変化することが確認された。また、U.F.O.モデルを用いた試算の結果、共存する骨材の力学特性を考慮した場合、解析精度が向上すること、人工軽量骨材を混合したコンクリートでASR膨張率が著しく低減される理由は力学特性だけでは説明がつかず人工軽量骨材によるアルカリ消費が主な原因と考えられた。

  • 後藤 卓, 伊藤 貴康
    2020 年 74 巻 1 号 p. 243-250
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    C3A量とC3S量を調整した6種のクリンカーを用いて、少量混合成分として石灰石5%、および石灰石5%にフライアッシュ(FA)を5%加えた場合のDEF膨張挙動を調査した。C3S量が53%の場合、C3A量の増加によりDEF膨張の開始時期が促進され、FAの添加により遅延する傾向が確認された。C3A量10%の試料で比較すると、C3S量を64%まで増加させることでDEF膨張の開始時期は促進された。これは水和初期の水酸化カルシウム量の増加とC3A量/C4AF相量比の増加が影響した可能性がある。C3S量が42%では膨張が抑制され、細孔構造の緻密化と物質移動抵抗性の増加がその一因であると考察した。

  • 中村 美咲, 伊藤 均, 溝渕 利明
    2020 年 74 巻 1 号 p. 251-257
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は鉄筋の腐食部と健全部の熱特性に違いがあることに着目し、コンクリート冷却後の表面温度変化からコンクリート内部の鉄筋腐食状態を把握するための検討を行った。実験の結果、鉄筋腐食状況は冷却後のコンクリート表面温度変化に影響を及ぼすことが確認された。そこで、腐食厚と表面温度変化の関係について検討を行った。検討結果と試験結果を比較した結果、鉄筋腐食状況推定の可能性を見出した。また、有限要素法による解析結果と実験結果とを比較し、実験の妥当性を検証した。さらに、かぶり厚と腐食厚とをパラメータとした解析を行い、腐食状況推定のための評価手法について検討した。

高強度・高流動コンクリート
  • 野中 潔, 目黒 貴史, 石田 征男, 山田 義智
    2020 年 74 巻 1 号 p. 258-264
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では高流動・中流動コンクリートについて、従来目視で行われる材料分離の判定をコンクリートのスランプフローの挙動と関連付け、レオロジー定数である塑性粘度、降伏値および観察状況を説明変数とし、ロジスティック回帰分析により予測する取組みを行った。p値や調整済みオッズ比の指標から全ての説明変数が材料分離判定に影響していると統計的に判定され、得られた回帰モデルで実験データの最大90.7%において材料分離の有無を正しく予測できた。また、目的に応じてより安全側の判定を行うことも可能であった。本研究の結果においては、一般的に中流動コンクリートに分類されるスランプフロー径550mm以下のコンクリートでは材料分離はほぼ起こらないと予測された。

  • 清水 寛太, 山田 義智, 古賀 志門, 平野 修也
    2020 年 74 巻 1 号 p. 265-272
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は高流動コンクリートのスランプフロー試験を対象として、機械学習の一種であるランダムフォレストによりフレッシュ性状(スランプフロー値、500mmフロー到達時間、空気量等)の推定を試みた。ここでの学習は、使用材料、混和剤の成分、調合、練混ぜ条件、経過時間などの特徴量(説明変数)を60項目からスタートして、その重要度を評価した。その結果、重要度の高い10項目の特徴量(説明変数)でフレッシュ性状の各値が推定できることを示した。また、推定したスランプフロー値、500mmフロー到達時間より既往の研究成果を基にレオロジー定数を推定し、目視材料分離判定や数値解析による高流動コンクリートの充填シミュレーションに用いることが期待できる。

繊維補強コンクリート
  • 橋本 理, 渡部 孝彦, 武田 均, 武者 浩透
    2020 年 74 巻 1 号 p. 273-280
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    プレキャストセグメント工法における接合部の間詰材として開発した、早期強度発現性の高強度繊維補強モルタルに対して、膨張材および収縮低減剤を添加した配合の自己収縮低減効果および強度特性や耐久性に及ぼす影響について実験的検討を実施した。その結果、膨張材と収縮低減剤を併用した配合で自己収縮低減効果が大きく、本研究の範囲内では再膨張現象を生じないことや、大きな強度低下が生じないこと、長期耐久性を有していることを確認した。また、凍結融解試験において膨張材の添加量が多いほど広範囲に亘るスケーリングが確認され、養生方法に工夫が必要であることが示唆された。

  • 溝口 稔也, 下田 誠也, 松田 学, 浦野 登志雄
    2020 年 74 巻 1 号 p. 281-286
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究ではプレキャストコンクリートへの適用を視野にビニロン繊維およびポリプロピレン繊維をそれぞれ混入したコンクリートについて、繊維の有無、種類、アスペクト比および載荷時の最大応力比を実験因子とした曲げ疲労特性に関する実験的研究を行った。本実験の結果、以下の知見が得られた。1)曲げ疲労による破壊回数は、有機系短繊維を混入することで基準コンクリートの9.9~1336倍になった。2)同様なアスペクト比の有機系短繊維の疲労寿命は、応力比が大きい場合にはビニロン繊維が優れていたが、応力比が小さくなるにともないポリプロピレン繊維との差が認められなくなった。3)疲労破壊した断面の観察から、応力比が小さくなるにつれて破断した繊維の割合が増加した。

  • 蓑田 将優, 李 昊天, 佐藤 あゆみ, 村上 聖
    2020 年 74 巻 1 号 p. 287-293
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では曲げ補強にCFRPロッドを用い、ロッドを埋設したUHPFRCによる断面増厚を施したRC梁の曲げおよびせん断補強効果について実験的検討を行った。その結果として、前報のCFRPロッド・メッシュ埋設グラウト材断面増厚RC梁との比較で、UHPFRCが高い引張・曲げ強度を有するために曲げ耐力のさらなる増加が認められるとともに、両者とも終局的破壊がロッドの付着割裂破壊により生じたものの、ロッドとの付着強度改善により最大荷重以降の耐力低下も緩やかとなり、曲げ靱性の改善効果も実験的に確認された。

補修・補強
環境・リサイクル
  • 井川 義貴, 斎藤 豪, 鈴木 一帆, 細川 佳史
    2020 年 74 巻 1 号 p. 325-332
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿では、錯体重合法をベースとする独自の手法により通常よりも高い活性を有するβ-C2Sの合成を行い、水和性状に関する評価を行った。その結果、合成したC2SはC3S以上の水和活性を持つことが示された。さらに、高活性C2Sの水和により生成した非晶質C-S-HはCa(OH)2を共存しないことに加え、Gartnerが示した高Ca/Si比の非晶質C-S-Hと整合する微細構造を有することが示唆された。また、生成した高Ca/Si比の非晶質C-S-Hに対する水の吸着熱を近似的に算出し、その表面性状について評価を行った。その結果、本研究で生成したC-S-Hが従来よりも乾燥による影響を受けにくい材料である可能性が示唆された。

  • 兵頭 彦次, 星野 清一, 平尾 宙, 野村 幸治
    2020 年 74 巻 1 号 p. 333-340
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本論文では1919年~2018年の期間に国内で消費されたセメントが、コンクリートとして供用、解体、再利用段階のライフサイクルを通じて中性化によって吸収したCO2量を算定した。得られた算定結果を海外で提案されているモデルと比較検証した。さらに、算定結果に及ぼす影響因子について評価した。2018年のセメント消費量に基づく脱炭酸由来のCO2排出量に対し、10%~25%の範囲に相当するCO2量を吸収していると算定された。これらの算定範囲は既往モデルの算定結果を包含するものであった。供用段階においてはコンクリートの中性化度が、解体段階では解体コンクリートの粒度の影響が大きいことを因子分析により示した。

  • 渋谷 颯志郎, 山口 信, 森島 慎太郎, 藤澤 礼至
    2020 年 74 巻 1 号 p. 341-348
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    土砂の流入等が生じている海域から別の海域へサンゴを移植する技術の一つとして、水中不分離性グラウト材を用いてサンゴ断片を海底に固定する技術に着目した。pHの面で海洋環境に変化が生じることを避けるためクリンカフリーとし、高炉スラグ微粉末を結合材としたグラウト材の基礎物性について調べるとともに、同グラウト材にサンゴ断片を移植した試験体を実海域に沈設して本技術の有効性を検証した。その結果、①本グラウト材を海水中で充填しても海水のpHがほとんど上昇しないこと、②海水中で充填したグラウト材の圧縮強度は気中で充填した場合と概ね同等であること、③本グラウト材に移植したサンゴに概ね良好な成育が認められること等を確認した。

セメント系固化材
  • 猪 匠, 斎藤 豪, 鈴木 一帆, 佐伯 竜彦
    2020 年 74 巻 1 号 p. 349-356
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は粘土鉱物の違いに着目して、構造の異なる2種類の粘土鉱物に対し、セメントスラリーに無水石こう(AH)及び石灰石微粉末(LSP)を添加し、海水またはイオン交換水で水和させた際の粘土鉱物種と各種添加率がエトリンガイト生成などの初期強度発現への優位性に及ぼす影響を検討した。併せて、固化処理土中のC-S-HおよびC-A-H系鉱物の生成挙動の比較・検討を行った。その結果、AH及びLSPを添加することで粘土鉱物の違いによらず固化処理土中に材齢初期からエトリンガイトが安定して生成することが示された。加えて、カオリナイト土壌ではC-A-H系生成物が、スメクタイト土壌ではC-(A)-S-Hが固化処理土の初期強度発現性に影響を与えているものと考えられた。

セメント系新材料
  • 鈴木 一帆, 斎藤 豪, 井川 義貴, 細川 佳史
    2020 年 74 巻 1 号 p. 357-364
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は高Ca/SiのC-S-Hから得られる高活性β-C2Sの水和反応機構に及ぼす塩化ナトリウム(NaCl)の影響に関して検討する為、出発物質由来のNaClが残存した状態でβ-C2Sを作製した系とNaClを除去した後にβ-C2Sを作製し水和時にNaClを添加する2つの系を比較した。その結果、NaClがβ-C2Sに固溶される形で存在する場合と液相中に存在する場合で作用機構が異なることが示された。また、合成C-S-Hと高活性β-C2S水和時にCa(OH)2が生成しなかった水和C-S-Hの低圧水蒸気吸着等温線は類似し、C-S-H層間の状態ならびに吸着サイトが類似していることが示唆された。さらに、水和時にCa(OH)2が生成した場合には低圧水蒸気吸着等温線も異なり、これはCa(OH)2生成によるC-S-H構造の変化を反映しているものと考察した。

  • 近藤 祥太, 斎藤 豪, 鈴木 一帆, 細川 佳史
    2020 年 74 巻 1 号 p. 365-372
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿ではCa/Si比2.0のC-S-Hの炭酸化性状及び生成するC2Sの性状について報告している。Ca源にCaCl2を用いて合成したCa/Si比2.0のC-S-Hは炭酸化養生後に焼成しても、「高比表面積」を持つ高活性β-C2Sを得ることができた。また、Ca源にCa(NO32を用いて合成したCa/Si比2.0のC-S-Hは焼成前に炭酸化養生を施すことによって、水和活性のないγ-C2Sが優位の組成割合から、水和活性を示すα’-C2Sが優位の組成割合への変化が見られた。本研究によって、Ca/Si比2.0のC-S-Hは炭酸化の影響を受けても再生セメントサイクルを満たし、かつ炭酸化の積極利用によって付加価値の高い原料を合成することができる可能性が示された。

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