セメント・コンクリート論文集
Online ISSN : 2187-3313
Print ISSN : 0916-3182
ISSN-L : 0916-3182
最新号
選択された号の論文の72件中1~50を表示しています
セメント化学
セメント硬化体・モルタルの物性
  • 中田 拓真, 小川 由布子, 河合 研至
    2022 年 76 巻 1 号 p. 123-129
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    セメント硬化体の細孔空隙が緻密化した場合、物質移動抵抗性の向上や塩害による鋼材腐食を抑制する可能性が指摘されている。しかし混和材を使用したセメント硬化体の海水中での細孔構造変化を詳細に検討した例は希少である。そこで本研究は、高炉スラグ微粉末(GGBS)を使用したセメントペーストの海水中での細孔構造変化メカニズムを明らかにすることを目的として、人工海水およびNaCl溶液への浸漬試験を実施した。その結果、GGBSを使用した供試体では塩水浸漬によるCHの減少に関わらず内部構造の緻密化が進行することが明らかとなった。また混和材使用の有無に関わらず塩水浸漬によるC-S-Hの変質が20nm以下の細孔量の増大に影響することが示唆された。

  • 金氏 裕也, 後藤 智和, 黒田 保
    2022 年 76 巻 1 号 p. 130-137
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    実環境において、降雨等により鉄筋コンクリート構造物は乾湿繰返しを受ける。鉄筋コンクリート構造物内の鋼材の腐食は、鋼材への水分と酸素の供給が必要となるため、コンクリートの吸水・乾燥過程を把握することは重要である。本研究では、モルタルの吸水実験および乾燥実験を行い、モルタルの飽和度分布を測定し、吸水過程および乾燥過程における水分移動特性に関して検討した。さらに、吸水実験と乾燥実験を繰り返し行うことにより、乾湿繰返しを受けるモルタルの水分移動特性に関して検討した。実験結果より、吸水面から浸潤前面までのモルタルの含水状態が中程度の飽和度領域内にある場合、モルタルの透水性が大きくなることを示した。

  • 齋藤 彰, 岡元 智一郎, 江里口 玲, 井坂 幸俊
    2022 年 76 巻 1 号 p. 138-144
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、モルタルの硬化過程における電気特性の変化について知見を得ることを目的とした。水セメント比とセメントの種類を変更し、インピーダンスの変化を0h~96hの範囲で測定した。普通ポルトランドセメントのCole-Cole plotより、RC並列回路の特性が得られた。電気抵抗率は、打設直後から3~4hまでは緩やかに減少し、それ以降は急激に増加した。水セメント比が0.5において、5MHzより低周波側では、早強、普通、低熱ポルトランドセメントの順で比誘電率のピーク値は低下した。一方、20MHzより高周波側では順序は逆になった。これらの変化について、セメント成分のイオン化と水和反応の観点から考察した。

  • 佐藤 賢之介, 斉藤 成彦
    2022 年 76 巻 1 号 p. 145-152
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は、アルカリシリカ反応(ASR)による生成物の形成挙動への影響要因を明らかにすることを目的とし、ASR生成物を純薬合成するためCa/Si比、K/Na比および乾燥温度を変化させた試料を作製して、生成物および原子結合状態を評価した。その結果、Ca/Si=0.2~0.4の範囲においてASRゲルが安定的に形成された。また、高K/Na比ではASRゲルが形成されやすく、一方で低K/Na比ではC-S-Hの形成が優位となった。このことから、Kの存在がASRゲルの安定生成に重要であるものと考えられた。乾燥温度110℃の場合では、ASRゲルのみが確認された一方で、50℃乾燥試料においては結晶性物質の形成も認められ、乾燥温度によって生成物の変化が生じる可能性が示唆された。

  • 瀬川 実暉, Aili Abudushalamu, 丸山 一平
    2022 年 76 巻 1 号 p. 153-161
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では低熱ポルトランドセメント硬化体における乾燥収縮性状を検討するため、普通ポルトランドセメントおよび低熱ポルトランドセメントを用いて質量変化および長さ変化を測定した。質量変化─長さ変化関係は二直線近似ができ、屈曲点は概ね50%RHに相当した。この勾配変化から、低湿度域では可逆的なひずみ、高湿度域では可逆的なものに加えて非回復性のひずみが生じたと推測された。Lの不可逆的なひずみはNより大きく、これは単位体積あたりのC-S-H量が多いことや窒素吸着量、水酸化カルシウム量の差からゲル空隙が少なく、C-S-Hが作る構造体に層間空隙が多く、より均質な状態であると推察でき、容易に乾燥後の層間が架橋しやすいためと考えられた。

  • 宮下 綾乃, 斎藤 豪, 牧岡 花梨, 鈴木 一帆
    2022 年 76 巻 1 号 p. 162-170
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、粘土とエーライトを用いたセメント系材料に対し、高温環境下で異なる濃度の水酸化ナトリウム水溶液で練混ぜた際の水和過程および生成物を評価した。その結果、モンモリロナイトを用いた系では、シリケートアニオン鎖構造の短いC-A-S-HとQ3結合を持たない1.1nmトバモライトに加え、N-A-S-Hの生成が確認された。一方、カオリナイトを用いた系では、シリケートアニオン鎖構造の長いC-A-S-H、1.1nmトバモライトおよびハイドロソーダライトが生成した。この際、C-A-S-H中のBridging siteに存在するAlは材齢経過に伴い、ハイドロソーダライトの形成に寄与することが推測された。

  • 宮下 綾乃, 斎藤 豪, 鈴木 一帆, 佐伯 竜彦
    2022 年 76 巻 1 号 p. 171-179
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、粘土とエーライトを用いたセメント系材料に対し、濃度を変化させた水酸化ナトリウム水溶液を用いて練混ぜた際の水和過程および生成物を評価した。その結果、モンモリロナイトおよびカオリナイトのいずれを用いた系でも、水酸化ナトリウム水溶液およびエーライトの水和によって生成した水酸化カルシウムが、粘土構造の分解を促進し、積層方向への規則性が高いC-A-S-Hが生成した。生成したC-A-S-Hについて、モンモリロナイトを用いた系はQ1成分が多いためシリケートアニオン鎖構造が短く、カオリナイトを用いた系ではQ1成分の少ないためシリケートアニオン鎖構造が長い傾向が見られた。

  • 小島 海志, 金 志訓, 濱 幸雄
    2022 年 76 巻 1 号 p. 180-186
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、結合材に高炉スラグを用いたアルカリ活性セメント硬化体の乾湿繰り返しによる微細構造変化について29Si MAS NMRと27Al MAS NMRから生成物の構造変化を確認し、1H NMRとMIPから水分の変化挙動や細孔構造変化の検討を行った。その結果、乾燥や乾湿繰り返しによる細孔分布に変化は確認されなかったが細孔量が大幅に減少した。これは乾燥以前から緻密であったが、乾燥によって反応を促進されC-S-Hに置換されるAl量が増加し緻密化を引き起こした。また、乾燥によりC-S-Hレイヤーの水分が減少し層間の幅が縮まるが、C-A-S-Hの生成が進行することで幅を保つ可能性が考えられる。その後、湿潤を行うことにより層間に水分が供給され、ゲル空隙が粗大化する可能性がある。

  • 近藤 勇樹, 胡桃澤 清文
    2022 年 76 巻 1 号 p. 187-192
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    亜硝酸カルシウムの添加が高炉セメント硬化体の塩分吸着性能および拡散性能に及ぼす影響について検討を行った。その結果、亜硝酸カルシウムを添加した高炉セメント硬化体の塩分吸着力、拡散性能は向上する傾向にあり、亜硝酸カルシウム量の添加量が多いほど高炉スラグの反応率が高くなった。これらの性能の向上には、亜硝酸カルシウム添加によるケイ酸カルシウム水和物および亜硝酸型のモノサルフェートといった水和生成物の増加が関与していると推察した。

  • 伊藤 貴康, 新 大軌, 原田 奏也, 大崎 雅史
    2022 年 76 巻 1 号 p. 193-201
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    高炉スラグ(BFS)高含有セメントの強度発現性は、セメント(OPC)の配合量によって大きく変化することが知られる。本研究では、セメントの配合量を変えたBFS高含有セメントについて、その強度発現性に及ぼすせっこう(Gyp)と亜硝酸カルシウム(CN)の併用効果を検討した。その結果、OPC1~3%でGyp15%+CN2%添加、およびOPC30~50%でGyp1%+CN2%添加としたBFS高含有セメントが、OPCや高炉セメントB種と同等以上の強度を得られることがわかった。また、OPC配合量でGypとCNの強度増進効果が異なるため、これらの最適化によるBFS高含有セメントの強度制御の方向性を提案することができた。

  • 蔵富 千奈, 戸田 滉大, 松﨑 雅俊, 寺本 篤史
    2022 年 76 巻 1 号 p. 202-210
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は、セメント硬化体中の主な水和生成物であるC-S-Hの組成および内部構造を変化させ、セメント硬化体の線膨張係数に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。フライアッシュの混和および高温高圧養生による結晶化を施し、セメント硬化体の空隙構造を変化させて線膨張係数および相対湿度変化量を取得した。フライアッシュの混和により、線膨張係数および相対湿度変化の値が高湿度側で増加することが明らかになり、これはC/S比の低下によって固相の比表面積が増加したことによるものと考えられた。また高温高圧養生を施したフライアッシュ置換率45%の試験体ではトバモライトの生成および0.1~1.0μmの空隙の消失および線膨張係数の低下が確認された。

コンクリートの試験・評価
  • 大山 和哉, 五十嵐 心一
    2022 年 76 巻 1 号 p. 211-219
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    気泡を点過程とみなして、周囲のディリクレ分割による各分割領域を各気泡が凍害からの保護を担う領域と見なしたモデルを提案した。このとき、気泡のランダム分布による保護領域の変化をシミュレーションにより推定し、提案モデルにて得られる保護に関する距離特性値と既往のセメントペースト─気泡近接性評価モデルの距離特性値を比較した。その結果、提案モデルにより推定される気泡間距離に依存した保護能の距離と既往のモデルの距離は、それぞれの定義に対応した整合性を示した。また、一般的な気泡間隔係数の推奨値は、ランダムな空間分布構造を有する気泡系にて、1つの気泡が保護を期待される最大範囲に相当することが確認された。

  • 福山 智子, 金 侖美, 生野 孝
    2022 年 76 巻 1 号 p. 220-228
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    圧電効果による材料のひずみ測定が知られているが、分極性の高い強誘電材料に比較してセメント系材料の応答は小さい。圧電効果は材料中の電荷間距離の変化(電荷挙動)に起因することから、導電性の高い炭素繊維を混和することで圧電性能を向上できる可能性が考えられる。本報では、セメント系材料そのものを鉄筋コンクリート構造物の変形に関する圧電センサとして適用することを目的に、炭素繊維がセメントペースト(CP)の圧電性能に及ぼす影響や、導電性が異なるCPを複合した際の圧電挙動について検討を行った。CPに炭素繊維を混和することで圧電性能は向上し、複合体でもひずみとの相関がみられるがその関係は線形ではなく、炭素繊維や材料界面に起因すると考えられる緩和現象がみられた。

  • 福山 智子, 金 侖美, 生野 孝
    2022 年 76 巻 1 号 p. 229-237
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    圧電材料における載荷に伴う発電現象(電位変動)については弾性ひずみとの相関が知られており、セメント系材料においても圧電効果として報告されている。しかし、弾塑性体であるセメント系材料では、系全体では弾性であっても局所的には塑性化している場合や、載荷初期から遷移帯ひび割れが生じている場合があり、電位変動に影響すると考えられる。本報では、ミクロな破壊が電位変動に及ぼす影響について検討するため、破壊の起点となる遷移帯の有無をパラメータとして、ひずみとの相関に関する繰返し載荷実験を行った。得られた電位波形から、セメント系材料における電位変動はせん断界面での電荷の生成と再結合に起因すると仮定し、コンデンサとコンダクタンスで構成される過渡現象モデルを提案した。

  • 五十嵐 豪, 川端 雄一郎, 松浦 忠孝, 石田 哲也
    2022 年 76 巻 1 号 p. 238-244
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    アルカリ含有量の高い石炭ガス化スラグ細骨材(CGS)のアルカリシリカ反応性への影響について評価するために、高いアルカリシリカ反応性を有する粗骨材とアルカリ含有量の高いCGSを併用したコンクリートのアルカリシリカ反応性を検証した。その結果、アルカリ総量3.0kg/m3となるようにNaOHを添加したコンクリートプリズム試験において、CGSを併用したコンクリートは、CGSを用いないコンクリートに比べて、膨張が早期に誘発されるとともに、材齢1年まで膨張量が上回った。その原因は、CGSからのアルカリ溶出により、アルカリ反応性骨材のアルカリシリカ反応が誘発されたことによる。

  • 福山 智子, 金 侖美, 川崎 佑磨
    2022 年 76 巻 1 号 p. 245-251
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    近年、溶融亜鉛めっき鋼および耐候性鋼は、コンクリートの補強筋としての適用性が検討されている。これら鋼材の表層に形成された亜鉛めっき膜や保護性錆には大気中での高耐食性が知られているが、鋼材のコンクリート中での電気化学的挙動に対する表層皮膜の影響には未解明な点も多い。本報では、各鋼材のコンクリート中での防食機構・腐食進行プロセスを電荷挙動に基づき把握するため、電気化学ノイズ(EN)の測定や統計・ウェーブレット解析に基づき腐食速度や腐食形態を評価した。鋼材表面の腐食状態およびEN解析の結果から、溶融亜鉛めっき鋼および耐候性鋼は、同一条件下で磨き丸鋼に比べ腐食進展が遅く、耐食性が期待できることがわかった。

  • 田中 基, 加藤 佳孝, 高橋 駿人, 鈴木 将充
    2022 年 76 巻 1 号 p. 252-260
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本検討ではスランプおよびスランプフローが等しいがフレッシュ性状が異なるコンクリートに対して、動きやすさと材料分離のしにくさの評価が可能であり、また、評価者の経験の差に依存しない目視・触感試験の評価指標の作成を目的として実験を行った。評価者の経験に左右されない評価指標を作成するため、評価結果に差が生じにくい表現方法を検討し評価指標に反映させた。「動きやすさ」と「材料分離のしにくさ」の2軸上に、目視・触感試験の評価結果をプロットすることで、同等のスランプ/スランプフローを有するコンクリートの特徴を把握できる可能性を示すことができた。

  • 田中 秀暉, 齋藤 俊克, 出村 克宣, 日比野 巧
    2022 年 76 巻 1 号 p. 261-267
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、ポリマーの種類およびポリマーセメント比の異なるポリマーセメントモルタル(PCM)を結合材として、目標空隙率を変化させたポーラスコンクリートの圧縮および曲げ強度性状と、それらに対する日本コンクリート工学会(JCI)の研究委員会がポーラスコンクリートの強度管理方法として提案している、圧縮および曲げ強度比─空隙率関係を用いた強度推定式の適用性について検討している。その結果、PCMの結合材としての利用は、ポーラスコンクリートの曲げ強度改善に寄与すること、また、各種PCMを結合材としたポーラスコンクリートにおいても、JCIの研究委員会による強度推定式が適用可能であることを明らかにしている。

  • 佐川 孝広, 片野 雄介, 南田 法正
    2022 年 76 巻 1 号 p. 268-274
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、旧韮塚製糸場から出土した砂漆喰、石灰コンクリートの材料分析を行い、石灰系材料の材料構成や硬化メカニズムについて検討した。その結果、砂漆喰は漆喰と細骨材で構成され、漆喰部の化学組成はほぼCaCO3のみであった。石灰コンクリートの結合材部は結合水を有し、ポゾラン反応によるAl2O3を固溶したC-S-Hやアルミネート系水和物の存在が示唆された。石灰コンクリートには浅間A軽石(As-A)の使用が推測された。試製した消石灰とAs-Aペースト試料は硬化が確認され、硬化体には水和物としてハイドロカルマイト、ハイドロタルサイトの生成が確認された。

コンクリートの物性
  • 北川 遥喬, 斎藤 豪, 鈴木 一帆, 佐藤 賢之介
    2022 年 76 巻 1 号 p. 275-281
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、エトリンガイトの硫酸イオンを炭酸イオンに置換した物質である炭酸型エトリンガイトの結晶構造評価を目的とし、原子の結合状態やAl配位数の変化、脱水挙動を通常のエトリンガイトと比較し検討を行った。その結果、炭酸型エトリンガイトはエトリンガイトと比較して200℃までの脱水量に差が見られたほか、80℃で24時間加熱した際にAl配位数が大きく変化することが分かった。またRH11%乾燥試料において、炭酸型エトリンガイトはエトリンガイトと27Al NMRピークが類似していたことから、炭酸型エトリンガイトはエトリンガイトと同様Columnを有する構造であり、脱水挙動は硫酸イオンと炭酸イオンの性質の違いに由来するものであると考察した。

  • 高橋 京介, 斎藤 豪, 鈴木 一帆, 佐伯 竜彦
    2022 年 76 巻 1 号 p. 282-289
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は、モノカーボネートからのエトリンガイト生成に及ぼすC-S-H共存の影響を把握することを目的とした。その結果、モノカーボネートに対してC-S-Hが共存する場合、モノカーボネートからのエトリンガイト生成が促進される可能性が示された。これは、モノカーボネートに対してC-S-Hが共存する場合には、C-A-S-Hを形成するためにモノカーボネートの溶解が促進されるためであると考えられた。また、C-A-S-H中の4配位Alはエトリンガイト生成に利用可能であり、特にC-A-S-H中のBridging-siteに置換した4配位Alが優先的にエトリンガイト生成に利用される可能性が示された。

  • 浅本 晋吾, 志連 凌太, 松井 久仁雄, 高橋 恵輔
    2022 年 76 巻 1 号 p. 290-298
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、セメント硬化体への水分浸透特性を浸透時間で実験的に整理し、拡散方程式で数値的な検討を行った。異なる温度でセメントペーストを乾燥させ水を1面浸透させると、いずれの条件も水分浸透量は時間の4乗根に比例し、絶乾ではバイリニアの関係になった。毛細管空隙とゲル空隙で分けた拡散方程式を用い、絶乾後の水分浸透実験と比較した結果、異なる一定の拡散係数をそれぞれに設定することで実験の傾向を概ね再現できた。また、空隙径分布を仮定し、各空隙径で拡散方程式を立て検討した結果、空隙径に応じて連続的に拡散係数を変化させるより閾空隙径で拡散係数を分ける方が、水分浸透量と時間の4乗根のバイリニア関係を表現できた。

  • Sanjay PAREEK, 藤倉 裕介, 河合 奎亮
    2022 年 76 巻 1 号 p. 299-306
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、普通コンクリートにCO2を固定化する方法やその評価方法を確立することを目的とし、その基礎的な研究として耐圧容器を用いた高圧注入試験装置により、硬化コンクリート試験体に高濃度のCO2を0.5MPa及び1.0MPaの圧力で注入して促進炭酸化試験を行った。また、合わせて炭酸化プロセスに伴う質量変化を測定した。炭酸化深さと質量増加率の関係として整理した結果、炭酸化進行に伴って線形的に質量が増加することが分かり、質量変化の測定が炭酸化進行の評価方法の一つとして有効であることを確認した。

  • 藤倉 裕介, 河合 奎亮, Sanjay PAREEK
    2022 年 76 巻 1 号 p. 307-314
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、普通コンクリートにCO2を固定化する方法やその評価方法を確立することを目的とし、高圧注入試験装置を用いて硬化コンクリート試験体に高濃度のCO2を0.5MPa及び1.0MPaの圧力で注入した際の炭酸化深さや炭酸化速度係数について調べた。その結果、圧力が高いケースほど炭酸化速度は大きくなり、また高圧による細孔組織への影響は無く、炭酸化により空隙率が低下してコンクリートの強度が増加することが分かった。更に、Fick則を用いた炭酸化進行のモデルを用いて、高濃度高圧下における炭酸化速度係数を算定し実験結果と比較した。算定した炭酸化速度係数は実験値とおおよそ一致することが分かり、簡易的なモデルを用いた炭酸化進行の推定が可能であることが分かった。

  • 林 和彦, 長谷川 雄基, 松本 将之, 吉田 幸稔
    2022 年 76 巻 1 号 p. 315-323
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    砕石の製造過程では、良質な新材をコンクリート用骨材に、表土や脆弱部を含む砕石ズリを路盤材等に、採掘される材料を余すことなくバランスよく利用することが求められる。近年リサイクル路盤材の利用拡大により砕石の路盤材への利用が縮小する中で、骨材天然資源の有効利用のためには、砕石ズリの路盤材以外への用途の選択肢を増やすことが望まれる。本研究では0~30mmの連続的な粒度をもつ砕石ズリを選択利用せず全量コンクリートへ活用することを検討した。その結果、強度や弾性係数の力学性能を確保することは可能であるものの、骨材に砕石ズリのみを用いた場合には粒度分布の極端な偏りによるため材料分離抵抗性が劣ること、その不足する粒度を補うことで分離抵抗性を確保できることが示された。

  • 伊藤 洋介, 河辺 伸二, 池田 悠人, 西島 正貴
    2022 年 76 巻 1 号 p. 324-332
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    電波を吸収し熱に変換することで雪を融かす融雪用発熱モルタルブロックシステムには、歩行による曲げ荷重に耐える広帯域電波吸収体が求められる。ここで、電気炉酸化スラグと発泡スチロールビーズを骨材としたモルタルは硬化前に加振することで流動し、広帯域電波吸収体となる。本研究では、水セメント比と高性能AE減水剤の添加量を変更することで強度と流動性を調整し、曲げ強度基準を満たす広帯域電波吸収体の調合を検討する。これにより、測定の範囲内において、同じ水セメント比では、反射減衰量はピークが生じる場合を除いて高性能AE減水剤添加量が増えるほど高くなり、いずれの調合においても曲げ強度の基準を満たすと明らかにした。

  • 佐川 康貴, 鹿田 陽斗, 山本 大介, 柏木 武春
    2022 年 76 巻 1 号 p. 333-341
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、高炉セメントB種をベースセメントとし、メタカオリン含有人工ポゾラン(MKP)を混和材に用いたコンクリートを対象とした。養生方法を標準水中養生および脱型後気中養生の2種類とし、材齢1ヶ月、6ヶ月および1年における物質透過性の評価を行った。標準水中養生を継続した場合、MKPの混和による空隙径の小径化、塩化物イオン拡散係数の減少、水分浸透速度係数の減少が認められ、物質移動抵抗性が向上した。また、配合、養生方法、材齢の違いによらず、塩化物イオン拡散係数と表面電気抵抗率との間には相関が認められた。

  • 小川 由布子, 三吉 勇輝, 河合 研至
    2022 年 76 巻 1 号 p. 342-348
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究はフライアッシュの結合材としての強度発現性能を表すセメント有効係数k値に対する養生温度の影響を検討したものである。また、積算温度を用いて、フライアッシュ反応率およびセメント有効係数k値を評価した。この結果、養生温度が高ければ、C3S、C2Sの水和反応が材齢早期から活発となり、フライアッシュのポゾラン反応を促進させ、k値も増大することがわかった。また、本検討では、フライアッシュ反応率を積算温度の対数関数で表す際の適切な基準温度は8.5℃であった。さらに、この基準温度を用いることでセメント有効係数k値も同様に積算温度の対数関数で表現できることが明らかとなった。

耐久性
  • Puttipong SRIMOOK, Ippei MARUYAMA
    2022 年 76 巻 1 号 p. 349-355
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    This study aims to develop the numerical method for the anomalous liquid water uptake on OPC mortar. The dynamic microstructural change diffusion model with the consideration of the saturation-dependent was proposed to represent the anomalous behavior. The microstructural change, an origin of anomalous behavior, was considered with the pore relaxation that reflects the rearrangement of C-S-H layers during the liquid water uptake process. An Interfacial transitional Zone (ITZ), which represents the impact of microcracks inevitably occurring in mortar and concrete, was included in the microstructure system. The good agreement of liquid water uptake characteristics (e.g., moisture distribution, penetration depth, and absorbed water amount) with the reference experiment shows the potential of the proposed method for an application on concrete.

  • 吉田 夏樹, 新 大軌, 木野 瀬透
    2022 年 76 巻 1 号 p. 356-364
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    高温環境下において、CO2ガスがC-S-Hの化学的変化に及ぼす影響を検討し、火害によるコンクリートの炭酸化メカニズムを考察した。合成C-S-Hを加熱した結果、CO2およびN2雰囲気の違いや、C-S-HのCa/Siモル比の違いによる化学的変化に相違点は無かった。高温のCO2雰囲気において、合成C-S-Hに構造変化を伴う劇的な炭酸化は生じなかった。セメント硬化体をCO2雰囲気で加熱した結果、CaCO3生成量は600℃で最大となり、加熱前のCa(OH)2量から算出されるCaCO3量とほぼ一致した。高温炭酸化によるCO2固定量の最大値は、初期のCa(OH)2量にほぼ依存する結果となった。

  • 田中 拓弥, 齋藤 俊克, 出村 克宣, 日比野 巧
    2022 年 76 巻 1 号 p. 365-371
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、吸水調整材塗布コンクリート並びに、水湿しおよび吸水調整材塗布による下地処理後にポリマーセメントモルタル(PCM)被覆したコンクリート供試体について促進中性化試験を行い、PCM被覆コンクリートの中性化抵抗性に及ぼす吸水調整材による下地処理効果について検討している。その結果、吸水調整材による下地処理はPCM被覆コンクリートの中性化抵抗性を改善し、その改善効果は塗布する吸水調整材の固形分量の増加に伴い向上する。また、被覆PCM相は中性化後においても中性化抑制効果を持ち、PCM被覆コンクリートの中性化抵抗性は被覆PCM相と吸水調整材相との相乗効果によってもたらされると推察される。

  • 小山田 哲也, 藤齋 祐希, 青山 桃子, 羽原 俊祐
    2022 年 76 巻 1 号 p. 372-378
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、1辺が8mmの小片を用いた凍結融解試験法によるコンクリートのスケーリング抵抗性評価の適用性を検討した。はじめにASTM C 672法と同一なモルタルを用いて比較を行い、両試験には相関関係があり、結果を同等に評価できる定量的指標を構築した。つぎに、ASTM C 672法をコンクリートで、小片凍結融解試験を単独で練り混ぜたモルタルでそれぞれの評価を行い、小片凍結融解試験のみによる予測の可能性を検証した。単純比較ではそれぞれの結果は相違した。ただし、コンクリートと同等の気泡組織を持つ小片モルタルであれば単独で練り混ぜたモルタルの結果を用いてASTM法の評価と同等の評価が可能であることが明らかとなった。

  • Bayarjavkhlan NARANTOGTOKH, Tomoya NISHIWAKI, Dinil PUSHPALAL, Madoka ...
    2022 年 76 巻 1 号 p. 379-385
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    Average temperatures over most of Mongolia are below freezing from November through March. The lowest temperatures in January are as low as -36℃ to -40℃. However, in the extremely cold climate of Mongolia, it is often executed the concrete works even outside temperature is below -20℃. Therefore, in this experimental work, we investigated the required time span of pre-curing in order to achieve the potential strength at 28 days before being exposed to extremely low temperature(-20℃), simulating Mongolian weather conditions. Moreover, internal temperature changes and microstructure analyses have been executed. We have found that concrete freezing temperature decreases remarkably from 0℃ to -15.6℃ with increasing pre-curing time, however, depending on the water-cement (W/C) ratio. Our experiments have shown that there was no freezable water after 14 days when the W/C ratio is below 0.39. Our research concluded that concrete should at least be cured at 20℃ for 14 days before being exposed to sub-zero temperatures, in order to reach in fair to middling potential strength at 28 days.

  • 小山田 哲也, 佐藤 栄司, 中村 敏之, 加藤 陽菜
    2022 年 76 巻 1 号 p. 386-392
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    収縮低減剤を用いた高強度コンクリートの収縮特性や耐凍害性をフレッシュコンクリートの空気量と収縮低減剤の種類を水準として検討した。収縮低減剤は高強度コンクリートの乾燥収縮や自己収縮の低減に寄与することが確認できた。収縮低減剤の使用により、フレッシュコンクリートの空気量は経時的に低下し、初期の空気量が多いほど大きい。耐凍害性は、収縮低減剤の有無や種類、空気量の違いに関わらず、ほとんど低下は見られなかった。スケーリング抵抗性は、収縮低減剤の有無や種類に関わらず、気泡間隔係数との相関性が確認できた。コンクリート中の空気量が高すぎた場合には強度が低下してスケーリング抵抗性が低下することに注意を要する。

  • 水野 浩平, 橋本 学, 前島 拓, 岩城 一郎
    2022 年 76 巻 1 号 p. 393-400
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー

    寒冷地の道路橋RC床版において、塩害、凍害やアルカリシリカ反応(ASR)など複合劣化への対策として、複合防護網の考えを導入した高耐久RC床版が提案され、その有効性が実証されている。本研究では、高耐久RC床版にⅣ種のフライアッシュと樹脂製の中空球体である中空微小球を併用し、実施工を想定した実大模擬床版により適用性を評価した。その結果、圧送や締固めの影響によらず、耐凍害性に有効な0.15mm未満の空気量がばらつきなく連行されており、耐凍害性が確実に確保されることが確認された。

feedback
Top