半導体工場で発生する汚泥はSiO2、Al2O3を多く含有することから、セメント工場で処理することが期待されている。しかし、汚泥は同時に酸化セリウム(CeO2)も含有しており、クリンカーおよびセメント物性の変化が危惧される。そこで、本研究ではCeO2を最大で3.13%含有するクリンカーおよびセメントを作製し、各種物性に及ぼす影響を調べた。その結果、CeO2の含有量の増加とともに焼成反応性は若干向上した。試験範囲内ではクリンカーの鉱物組成は同等であったが、セメントの凝結は遅延し、圧縮強さは低下した。これは、CeO2がクリンカー鉱物へ固溶し、水和反応性が低下したためである。