セメント・コンクリート論文集
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セメント硬化体・モルタルの物性
細孔内の液体特性に基づくセメント硬化体の体積変化機構の検討
浅本 晋吾松井 久仁雄加藤 恭介
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2013 年 67 巻 1 号 p. 195-202

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抄録

本研究では、セメント硬化体に様々な乾燥を与えた後、各種液体に浸漬したときの体積変化を既往の収縮理論に基づき検討し、現象の把握を試みた。水以外の液体はセメント硬化体に対する吸着力が小さいことが浸漬熱より示唆され、絶乾による収縮は水以外の液体に浸漬させてもさほど回復しなかった。セメント硬化体を水中養生後有機溶媒に浸漬させると大きく収縮し、微細空隙内の水分抽出による分離圧の低下及び表面エネルギー増大、一部の結合水の抽出によるC-S-Hゲル自体の収縮を要因に挙げた。また、常温で一定の乾燥を施した後、極性、非極性液体に浸漬させるといずれも収縮が即座に回復し、毛細管張力の低下、分離圧の増加が要因として考えられた。

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© 一般社団法人セメント協会
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