2014 年 67 巻 1 号 p. 378-385
塩化物イオン拡散性状の定量評価に必要な塩化物イオン実効拡散係数を算出する方法として、拡散セル法と電気泳動法があるが、両者より得られる拡散係数は一致しないことが問題となっている。この原因として、空隙構造および空隙表面電位による影響が考えられる。そこで本研究では、空隙構造の影響については酸素拡散係数に基づき、空隙表面電位の影響については電気浸透法から求めた硬化体のゼータ電位に着目し検討を行った。その結果、電気泳動法による拡散係数は空隙構造による支配的影響を受けていることと、ゼータ電位と電気泳動法による拡散係数から拡散セル法による拡散係数の換算が可能であることを明らかにした。