コンクリートの物質移動抵抗性を代表する空隙指標として閾細孔径に着目し、検討を行った。まずコンクリートから採取された試料の閾細孔径をより明確に抽出するため、エポキシ樹脂により被覆された試料を用いて水銀圧入法により空隙径分布を測定し、分布の頻度が最大となる点を閾細孔径とした。透水および表層透気係数と比較した結果、いずれも閾細孔径と高い相関を示した。ガスの透過挙動も閾細孔径により整理され、また理論的な拡散係数と同様の挙動を示した。以上は、本論文の検討条件においては、空隙構造による影響が支配的であること、また閾細孔径により様々な物質移動抵抗性の評価が可能であることを示していると考えられる。