2015 年 69 巻 1 号 p. 104-109
コンクリートの塩害対策として塩化物イオンの固定が重要である。C3Aの水和によりAFm相が生成し塩化物イオンの固定が可能であるが、水和発熱量が大きい問題がある。本研究では発熱量が比較的少ないC4AFによる塩化物イオン固定について明らかにすることを目的に、4CaO・Al2O3・Fe2O3-CaSO4・2H2O-CaCl2系の水和生成物における塩化物イオンおよびFeの挙動について検討した。水和生成物としてモノサルフェート、Kuzel塩、Friedel塩といったAFm相が確認され、C4AF水和生成物による塩化物イオン固定の可能性が明らかになった。FeはおもにCa-Fe系のゲル状水和物として存在した。ゲル状水和物中の塩化物イオン濃度はAFm相と比較して小さく、塩化物イオン固定への関与は小さいと思われる。