2015 年 69 巻 1 号 p. 88-95
Caを添加することによってα-Al2O3粒子表面上のカチオンサイト(主に>AlOCa+サイト)密度を変化させ、化学構造の異なるポリカルボン酸系分散剤(以下PC)の吸着挙動について検討を行った。各溶媒条件におけるα-Al2O3の表面錯体反応を考慮することでカチオンサイト密度を理論的に算出し、PC吸着量との関係について調べた。その結果、PC飽和吸着時において、PC1分子が占有する面積内に存在するカチオンサイト数Nはカチオンサイト密度の増加と共に減少し、PCがα-Al2O3の表面に局所的に吸着していることが示唆された。また、吸着に寄与するPCのカルボン酸数Xはカチオンサイト密度が増すと減少し、この結果からPCが多分子層を形成していることが示唆された。