2018 年 72 巻 1 号 p. 2-9
化学式が(Ca3.70Na0.30)[(Al5.85Fe0.15)O12]SO3.85で表される立方晶イーリマイト多結晶体を試薬から合成し、粉砕して得られた粉末試料のX線粉末回折データから結晶構造を解析した。チャージフリッピング法で初期構造モデルを導出した後、最大エントロピー法に基づくパターンフィッティング法を用いて、構造モデルのバイアスを可能な限り取り除いた三次電子密度分布を求めた。この等電面を可視化したところ、Ca席の位置およびSに配位するO席の位置に不規則性が認められ、それらはCa席を二カ所とO席を三カ所に分割した構造モデル(空間群I43m、格子定数a=0.91988nm)で適切に表現できた。過去に報告された類縁化合物の結晶構造と比較検討し、当該結晶構造の特徴を明らかにした。