2015年春に新潟県沿岸2海域(長岡市寺泊大河津(おおこうづ)分水路河口周辺と胎内(たいない)市胎内川河口周辺)でコククジラ1個体が出現した。2海域の個体と2014年春に寺泊で出現した個体は、体やヒレの模様から同一個体であることが判明した。寺泊では、3月31日~4月10日 (11日間) 、河口と右岸側、距離約1.0km、距岸100m~500mの範囲で出現し、2014年の同海域での出現と比較すると、出現期間は短く、出没範囲も狭かった。胎内川河口周辺では、4月11日~21日 (11日間)、左岸側、河口中央部、右岸側の最大距離1.2km、最大距岸100mの範囲で出現し、左岸側で観察されることが多く、消波ブロックの外側 (水深約3m) や周辺に出現した。両海域で潜水、浮上をくり返していたことから、移動しながら摂餌を行っていたと思われる。本個体は北上途中の個体と考えられ、2015年は寺泊から胎内までの約70kmを1日で移動し、新潟県中央部沿岸で少なくとも22日間滞留したと考えられる。新潟県中央部沿岸は、回遊経路のみならず、摂餌場所としても利用していると思われる。