化学生物総合管理
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芳香族アミン系エポキシ樹脂硬化剤の塩素処理による反応生成物の検討
冨士栄 聡子高橋 保雄保坂 三継矢口 久美子
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2010 年 6 巻 1 号 p. 66-73

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抄録

老朽化した水道水配管の更生法としてエポキシ樹脂塗料が使用されるが、この塗料の硬化剤として芳香族アミン化合物の1つ4,4'-メチレンジアニリン(MDA)が使用されてきた。MDA はIARC(国際癌研究機構)の分類でグループ2Bとして位置づけられ、更正養生時間が短く乾燥不十分である場合、MDAが水道水中に溶出する可能性がある。このため、MDA及びMDAと同様に硬化剤として用いられる芳香族アミン化合物である4,4'-エチレンジアニリン(EDA)について、残留塩素との反応による反応生成物の同定確認を行い、水道水中における溶出の確認方法を検討した。
その結果、MDA、EDAは反応する有効塩素濃度の違いにより様々な反応生成物が認められた。有効塩素とMDAまたはEDA濃度のモル比3~1000において同定できた化合物は、p-ベンゾキノン、2,4-ジクロロアニリン及び2,4,6-トリクロロアニリン、推定できた化合物はモル比5において最大ピークであるp-アミノベンジルクロライドであった。これらより、MDA、EDAの他、これらの化合物を測定することにより、MDA、EDAの水道水中への溶出を推測できる1つの指標とすることができると考えられた。

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