CHEMOTHERAPY
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triazine核を有する新規二卜ロフラン誘導体に関する基礎的研究(第1報)
木村 義民甲斐原 守夫吉田 耕作新井 義夫高橋 畠己宮永 嘉隆
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1962 年 10 巻 1 号 p. 68-74

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抄録

フラン誘導体の抗菌作用が注目され始めたのは既に古く略々30年前に遡るが,これが医薬として応用されるに至つたのはDODD&STILLMAN(1944)による Furacin の発見以降である。
一方フラン系剤に関しては我国に於ても早くから注目を惹き,DODDらの発表に遅れること僅か2年,1946 年に西海枝らによつて Furacin が合成されその抗菌性が報告された。その後我国に於ても種々な誘導体が合成され,その抗菌性についての報告がなされて来た。却ち Furacin に次いで Guanofuracin:5-nitro-2-furfurylidene-aminoguanidinehydrochleride, Z-furan:5-nitrofurfurylacrylic amide, Panazon : Bis-(5-nitrofurfurylidene)-acetone-guanyl hydrazone hydrochloride 等が現われた。更に近年ではEaton Laboratoryより報告された Furazolidone : 5-nitrofurfurylidene amino oxazolidinoneが注目を惹いている。斯様なフラン系剤に関する研究進歩の間に於ける抗生剤進歩の道はより華々しく,フラン系剤に関する研究は鞘々もすればその蔭にかくれ勝ちではあつたが,抗生剤耐性株の派生の問題もあつて着実に歩みを続けているというのが現況である。
偶々今回金沢大学薬学部三浦教授らはBis-(5-niirofurfurylidene)-acetene-guanyl hydrazoneをアルカリ存在下に有機溶媒中で加熱し強力な抗菌作用を示す新物質を見出した。この強力な抗菌作用を示す物質は 1,2,4triazine核を有する新二トロフラン誘導体で,我々はこの強力な抗菌作用を示す 2~3 の誘導体について抗菌作用その他生物学的意義についての研究を行なつたので,これらを一括して報告する。

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© 社団法人日本化学療法学会
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