CHEMOTHERAPY
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Cefaclorの基礎的, 臨床的研究
大久保 滉岡本 緩子呉 京修右馬 文彦上田 良弘前原 敬悟牧野 純子
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1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 282-291

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抄録

米国Eli Lilly社で開発された新しい経口Cephalosporin剤であるCefaclor (構造上従来のものと異なり3位に直接Clが結合しているという特徴がある一以下CCL) について基礎的, 臨床的に検討した。
臨床より分離した菌につきCCLのMICを測定し, 従来の内服Cephalosporin剤であるCephalexin (CEX) のそれと比較した結果, Staphylococcus aureus 33株のMICは20株が3.1μg/mlにあり, 11株はそれ以下にあった。E. coliのMICは44株中, 大部分が3.1~12.5μg/ml, Klebstellaは3.1~6.2μg/mlにあってCEXより1段階すぐれていた。ただし菌液を100倍希釈すると, これらMICはCEXより3~4段階すぐれていた。Protens mirabllisにおいては菌量の影響はほとんどみとめられず, 原菌液でCEXより3段階すぐれたMICを示した。他のProteus属およびPseudomonasにおいてはCEXとほぼ同様な高度耐性であった。
一方, 呼吸器感染症19例, 尿路感染症4例および急性大腸炎1例の計24例にCCLを1日0.75~1.5g経口投与した。気管支喘息あるいはSLEに合併した肺膿瘍では14~17日間投与したが, 他は3~14日間使用した。ただし消化器症状の現われた1例は1日で, またPAPと判明した2例は2日で中止した。効果判定の対象となった21例中, 20例が有効, 1例がやや有効であった。なお, 行ない得た範囲では血液生化学的検査に異常をみとめなかった。

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