CHEMOTHERAPY
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Cefaclorの小児科領域における検討
岩井 直一佐々木 明二村 淳子宮津 光伸大須賀 民子
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1979 年 27 巻 Supplement7 号 p. 390-404

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抄録

Cefaclor (CCL) の小児科領域における吸排と臨床効果の検討をおこなった。
10mglkgを朝食後30分に服用させた3例の血清濃度は, 平均30分4.1μg/ml, 1時間4.4μg/ml, 2時間0.9μg/ml, 4時間0.5μg/ml, 6時間0.3μg/mlであった。また, 6時間までの尿中回収率は, 平均37.1%であった。
20mg/kgを服用させた2例の血清濃度は, 平均30分7, 2μg/ml, 1時間6.1μg/ml, 2時間4.0μg/ml, 4時間0.4μg/ml, 6時間0.1μg/mlで6時間までに平均30.9%が尿中に回収された。これらのことから, CCLは吸収, 排泄ともにすみやかで, 服用にあたってはdoseresponseがみられることがわかった。
生後1カ月から14才にわたる52例の細菌感染症に本剤を投与した。投与量は1H25, 5~56.8mg/kgにわたり, 分3にして毎食後服用させた。投与日数は3~10日, 総投与量は1.2~9.89であった。
急性咽頭炎4例は共に著効, 急性鼻咽頭炎2例は共に有効, 急性化膿性扁桃炎19例は9例著効, 10例有効, 急性気管支炎11例は5例著効, 4例有効12例やや有効, 急性肺炎および急性気管支肺炎11例は1例著効, 10例有効, 急性尿路感染症5例はすべて著効であった。著効, 有効を含めた全症例の有効率は96.2%であった。
投与前後の分離菌の消長をみると, S. pneumoniae, S. Pyogenes, S. aurens, S. epidermidis, H. parahaemolyticus, E. coli, P. mirabilisでよく除菌され, H. influenzaeでは若干悪いようであった。
臨床検査値とも含めた副作用は, 年令の小さい乳児3例に下痢がみられた以外みとめなかった。

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