CHEMOTHERAPY
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アミノ配糖体の大量点滴静注法を中心とした3剤併用投与の有用性
急性白血病併発感染症の治療への応用
厚井 文一頼 敏裕依光 聖一時岡 正明北川 中行高橋 功喜多嶋 康一木村 郁郎安井 晃栄吉沢 圭子
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1980 年 28 巻 10 号 p. 1295-1303

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抄録

アミノ配糖体抗生物質であるTobramycin (TOB), Amikacin (AMK) の大量点滴静脈内投与を中心としてPenicillin, Cephalosporinの3剤併用投与を28例の急性白血病息者に併発した31回の感染エピソードに対して行ない, その臨床効果ならびに安全性について検討を加え, 以下の結諭を得た。
1) 投与量はTOB 120~180mgを, AMK 300~400mgで, これを1時間の点滴静脈内投与し, 8時間間隔でくり返した。
2) 平均投与量はTOBで7.0mg/kg/day (6.0~8.0), AMKは19.8mg/kg/day (150~26.0) であり, 投与日数は中央値でTOB 8.5日 (4~19), AMK 11日 (3~27) であった。
3) 有効率はTOB+PC+CEP3投与群で68.8%, AMK+PC+CEPs投与群で73.3%であり, 全体で71.0%であった。
4) 感染症, 形態別の有効率は, 肺炎72.7%, 敗血症100%, 局所膿瘍50.0%, 上気道炎100%, 感染巣不明75.0%であった。
5) 副作用として一過性の腎障害を示した例の他, 低カリウム血症, 薬疹, 肝機能異常がみられたがいずれも可逆性であった。
6) 健康成人男子2名にTOB120mg, AMK400mgを筋肉内投与, 点滴静脈内投与 (1時間および2時間) し, 血中濃度推移を検討した結果, ピーク濃度はいずれも1時間点滴静注時に最も高く, TOB 97μg/ml, AMK29.0μg/mlであり, ピーク濃度の血中半減時間は筋注時に最も長くいずれも約2時間であった。
以上から, AMGの大量点滴静注法は, 臨床的に有効性が高くかつ安全な治療法であると思われた。

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