CHEMOTHERAPY
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胆道感染症の化学療法 (IX) Ceftizoxime (FK749) の胆汁中移行, 胆嚢組織内濃度およびその臨床的効果について
谷村 弘他
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1980 年 28 巻 Supplement5 号 p. 518-532

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抄録

新しく開発されたセファロスポリン系抗生物質の1つであるCeftizoximeの胆汁中移行, 胆嚢組織内濃度およびその臨床的効果について, 胆道感染症を含む胆道疾患63例において検討し。以下の結論を得た。
1) 胆嚢摘出術時投与21例において, Ceftizoxime 1g静注5分後の血中濃度は125.9±13.4μg/ml, 1~2時間後の胆嚢胆汁中濃度 (胆嚢管開存例だけ) 71.3±22.5μg/ml, 総胆管胆汁中濃度44.0±13.7μg/ml, 胆嚢組織内濃度は68.4±26.0μg/gであった。
2) Tチューブ挿入5例に対して行なったCeftizoximelg静注のcrossoverではCEZのほうが最高血中濃度および持続時間ともに高値を示したが, 胆汁中濃度は本剤とCEZはほとんど同じ動きを示した。その平均胆汁中最高濃度は, 1g静注2時間後で, 本剤39.0μg/ml, CEZ28.3μg/mlであった。
3) その臨床的効果は, 細菌検出陰性例など10例を除外し, 胆嚢炎18例および胆管炎9例, 計27例について検討した。本剤1g1日2回静注または点滴静注し, 5~31日 (平均10.9日) 間投与し, 著効4例, 有効18例, やや有効4例, 無効1例で, 有効率は81.5%であった。胆嚢炎だけでは94.4%であった。
4) E. coli, Klebsiella, E. cloacae単独感染例で著効を認め, 菌の消失もそのMICどよく一致した。
5) GOT, GPTの上昇例が37例中7例認められたが, このうち原疾患によるものが6例で, 他の1例も本剤との関連性は断言できなかった。

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