CHEMOTHERAPY
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Cefoperazone (T-1551) の基礎的, 臨床的検討
大久保 滉岡本 緩子右馬 文彦上田 良弘前原 敬悟牧野 純子
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1980 年 28 巻 Supplement6 号 p. 489-512

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抄録

Piperacillinと同じmoietyの2, 3-dioxopiperazineをcephalosporinに導入した新抗生剤であるcefoperazone (CPZ, T-1551) につき基礎的, 臨床的検討を行なった。
抗菌作用は, 黄色ブドウ球菌に対してはすぐれているとはいえないが, E. coliKlebsiellaなどグラム陰性桿菌に対しては, 従来のcephalosporin系ないしpenicillin系と比較して, もっともMICが小さく, SerratiaPseudamonasにも抗菌力を示し, 接種菌量を少なくするとMICはさらに小さくなる。これらのことよりCBPCやSBPCのように大量投与によらなくても臨床効果が期待される。実際今回, 基礎疾患を有する比較的難治性の感染症13例に使用し, うち11例に有効であった
本剤の体内分布を検討するために, 標準曲線を検討した結果, nutrient agarまたはheart infusionagarを用い, Microooccus luteus ATCC9341を検定菌とした場合に測定法として適していた。
ラットにCPZを1回20mg/kg, または100mg/kg筋注し, 臓器内濃度をしらべた結果, 従来のcephalosporin系抗生剤と異なり, 本剤では肝にもっとも高く, 胆道感染症にも効果が期待される。
なお, 本剤2gを1.5時間かけて点滴静注した患者 (腎機能正常) につき血中濃度を測定したところ, 点滴終了時195μg/ml, 7.5時間後 (開始時より) になお14μg/mlで, 尿中排泄は7.5時間内に86%であった。
以上の成績からCPZは, すぐれたcephalosporin系新抗生剤として評価されるべきものと考えられた。

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