CHEMOTHERAPY
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アミノ配糖体系抗生剤の薬動力学的研究. 2
AmikacinとKanamycinについて
山作 房之輔鈴木 康稔
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1981 年 29 巻 5 号 p. 583-588

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抄録

健康成人志願者4名 (A群) にcross overしてAmikacin (AMK) 400mgとKanamycin (KM) 1,000mgずつを1回筋注して血中濃度を測定し, 別の志願者3名 (B群) にAMK 400mgを8時間間隔で5回筋注して1回目と5回目の血中濃度を測定し, それぞれone compartment open modelを用いてコンピューター解析を行なった。
1回筋注群のAMKとKMの薬動力学的parameterの間には大きな差はなく, B群のAMK血中濃度推移とA群の1回筋注時のparameterから8時間間隔筋注を想定して計算した血中濃度推移は近似で, 両群とも理論上のAMK平均最高血中濃度 (Cmax) は20μg/mlを越えなかった。一方, KM群の1,000mg1回筋注時, ならびに12時間間隔反復筋注を想定した際の平均Cmaxはそれぞれ32.5, および33.4μg/mlで, KMの中毒濃度とされる30μg/mlを越えていた。
1群3羽の家兎にAMK, およびKMを150mg/kg, 300mg/kg, 500mg/kgずつ10日間筋注した腎毒性試験では両剤の腎毒性の間に大きな差はないがAMKがやや強い成績が得られた。
以上の薬動力学的成績と腎毒性を総合するとAMK 400mgの1日2回筋注療法はKM 1,000mgの1日2回筋注療法より安全性の高い治療法と考えられ, 重症感染症に対するAMK400mg1日3回療法も副作用チェックを行ないつつ実施すれば有用性の高い治療法と考えられた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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