CHEMOTHERAPY
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29 巻, 5 号
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  • Sulbenicillinを対照に用いた比較検討 (Well controlled study)
    坂 義人, 西浦 常雄, 熊本 悦明, 新島 端夫, 町田 豊平, 大越 正秋, 黒田 恭一, 名出 頼男, 石神 襄次, 黒川 一男, 大 ...
    1981 年 29 巻 5 号 p. 533-566
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Oxacephem系抗生剤6059-Sの複雑性尿路感染症に対する有効性, 安全性および有用性を客鏡的に評価する目的で, Sulbenicillin (以下, SBPCと略す) を対照薬としてwell controlled studyを行なった。6059-Sは1回1gを, またSBPCは5倍重の1回5gをそれぞれ1日2回, 5日間点滴静注した。総投与症例数は244例で, このうち6059-S投与群の108例, SBPC投与群の102例が効果判定の対象となり, 両薬剤群の除外, 脱落率に有意差は認められなかった。
    UTI薬効評価基準による総合臨床効果は, 単独感染の第2群, 第4群および混合感染の第5群において6059-S投与群が有意にすぐれていた。また, 単独感染全体でも6059-S投与群が有意にすぐれていた。細菌尿に対しては, 単独感染群において陰性化串および陰性化+減少率ともに6059-S投与群が有意にすぐれていた。細菌学的効果は, S.faecalis以外のすべての菌種に対して6059-S投与群のほうが同等か高い消失率であったため, 全体の細菌消失率は6059-S投与群のほうが有意に高くなった。自覚的副作用発現率は6059-S投与群0.8%, SBPC投与群2.5%, 臨床検査所見の異常値発現率は最も高い発現率であった検査項目でも6059-S投与群2.7%, SBPC投与群3.6%で, 副作用発現率に関しては両群間に有意差は認められなかった。また治療担当医による有用性の判定でも, 単独感染群においては6059-S投与群に有意に高い評価が与えられていた。
    以上のように, 6059-SはSBPCに優るとも劣らない成績を示し, 幅広い抗菌スペクトラムと強い抗菌力に基づき, すぐれた臨床効果を発揮する, 副作用の少ない安全な薬剤であることが確められた。
  • 遠藤 久男, 松原 秀三, 岡崎 博司, 小川 春樹
    1981 年 29 巻 5 号 p. 567-571
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    240mg/kg以上のDKBを24時間給水制限ラットに筋注すると, 急性腎機能障害を惹起した。しかし, glucaronをDKB投与1時間前に経口投与すると, その腎障害の発現を有意に抑制した。glucaronの最小有効量は75~150mg/kgであった。また, DKB 130mg/kgの頻回投与毎にglucaron 600mg/kgを併用するとDKBの体内蓄積を顕著に抑制した。しかし, glucaronはDKBの感染治療効果や試験管内抗菌活性に全く影響しなかった。
  • 坂本 博, 小川 正俊, 辻 明良, 五島 瑳智子
    1981 年 29 巻 5 号 p. 572-576
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefazolin, cefmetazoleおよびcefoxitinの殺菌効果をE. coliおよびK. pneumoniaeを試験菌株として検討した。3薬剤のこれらの試験菌に対するin vitro抗菌力はcefmetazole>cefazolin>cefoxitinの順に強い。E. coliおよびK.pnemoniaeの臨床分離株を試験菌とし, 一定濃度の薬剤 (5μg/mlまたは50μg/ml) をこれらの試験菌株に37℃, 3時間接触させたときの生菌数を測定した。Cefazolinとcefmetazoleの殺菌効果には大差はなかったが, cefoxitinはやや弱かった。
    ヒトに各薬剤をそれぞれ1g i.v.投与時の血清中濃度にsimulateしたin vitro kinetic model における, 殺菌効果を比較した。cefazolinの血清中濃度はcefmetazole, cefoxitinより高く, かつ持続的であるためkinetic modelにおける殺菌効果, 再増殖抑制効果はcefazolinがもっとも優れていた。
    このことから, 3剤に感性の菌株に対するin vivoの抗菌力はcefazolinの殺菌効果がもっとも強いと判断された。
  • Gentamicin, Dibekacin, Tobmmycinについて
    山作 房之輔, 鈴木 康稔
    1981 年 29 巻 5 号 p. 577-582
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Gentamicin (GM), DiboKacin (DKB), Tobramycin (TOB) を健康成人志願者4名にcross overして100mgずつ1回筋注して血中濃度を測定し, one compartment open modelを用いてコンビユーター解析を行なった。各抗生剤の血中濃度実測値, 薬動力学的parameterは3剤間に大きな差を認めなかった。これらのpammeterにより等間隔で反復筋注した際の理論上の血中濃度推移を求めたが, 6時間, および8時間間隔の場合にはそれぞれ4回目, および3回目筋注以後に3 teady state levelとなり, 理論上の最高血中濃度 (Cmax) は10μg/mlを越えなかつた。
    別の志願者3名 (DKB 2名, TOB 1名) にそれぞれ100mgを8時間間隔で5回筋注し, 1回目と5回目の血中濃度から求めたparameterにより計算した血中濃度理論値と実測値は近似であった。8時間ごとにDKB 90mg筋注の息者1名とGM 80mg筋注のCcr 46ml/minの患者1名のそれぞれ9回目. 10回目筋注時のparameterから計算した1回目のCmax は志願者の1回筋注時のCmaxと近似であった。
    以上の結果, 1回筋注時の血中濃度, あるいは等間隔反復筋注時の任意の1回の筋注の血中濃度を薬動力学的に解析することにより, その前後の任意の筋注後の血中濃度推定が可能であり, かつ, これらの推定血中濃度は実測値にほぼと致することを認めた。
  • AmikacinとKanamycinについて
    山作 房之輔, 鈴木 康稔
    1981 年 29 巻 5 号 p. 583-588
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    健康成人志願者4名 (A群) にcross overしてAmikacin (AMK) 400mgとKanamycin (KM) 1,000mgずつを1回筋注して血中濃度を測定し, 別の志願者3名 (B群) にAMK 400mgを8時間間隔で5回筋注して1回目と5回目の血中濃度を測定し, それぞれone compartment open modelを用いてコンピューター解析を行なった。
    1回筋注群のAMKとKMの薬動力学的parameterの間には大きな差はなく, B群のAMK血中濃度推移とA群の1回筋注時のparameterから8時間間隔筋注を想定して計算した血中濃度推移は近似で, 両群とも理論上のAMK平均最高血中濃度 (Cmax) は20μg/mlを越えなかった。一方, KM群の1,000mg1回筋注時, ならびに12時間間隔反復筋注を想定した際の平均Cmaxはそれぞれ32.5, および33.4μg/mlで, KMの中毒濃度とされる30μg/mlを越えていた。
    1群3羽の家兎にAMK, およびKMを150mg/kg, 300mg/kg, 500mg/kgずつ10日間筋注した腎毒性試験では両剤の腎毒性の間に大きな差はないがAMKがやや強い成績が得られた。
    以上の薬動力学的成績と腎毒性を総合するとAMK 400mgの1日2回筋注療法はKM 1,000mgの1日2回筋注療法より安全性の高い治療法と考えられ, 重症感染症に対するAMK400mg1日3回療法も副作用チェックを行ないつつ実施すれば有用性の高い治療法と考えられた。
  • 大川 光央, 徳永 周二, 庄田 良中, 川口 正一, 沢木 勝, 島村 正喜, 中下 英之助, 黒田 恭一, 美川 郁夫, 平野 章治, ...
    1981 年 29 巻 5 号 p. 589-598
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用半合成セファロスポリン系抗生剤cefotaxime (CTX) の1gを, 種々の程度の腎機能を有する30例に筋注した際のCTXおよびdesacetyl CTXの血清中および尿中濃度を測定した。濃度測定は高速液体クロマトグラフイーにより行ない, 薬動力学的解析はonecompartment open modelに従った。なお腎機能の指標としては, 24時間内因性クレアチニンクリアランス (Ccr) を用い, 各種薬動力学的パラメータとの関連性について検討した。腎機能正常例におけるCTXの最高血清中濃度は。筋注30分後に得られ平均26.3μg/mlで, 血清中濃度半減期は平均0.86時間と計算された。また消失速度定数 (Kel) とCcrとの間には有意の相関関係が認められ (P<0.001), 回帰直線方程式Kel=0.2451+0.0050 Ccrが得られた。血清中濃度半減期は, 腎機能の低下に伴い延長したが, その延長の程度は他の同系抗生剤に比し軽度であり, desacetyl CTXへの変化に由来するものと考えられた。腎機能正常例における筋注後24時間までのCTXの尿中回収率は平均51.7%, desacetyl CTXは平均25.6%であり, いずれも腎機能の低下に伴い回収率は減少したが, desacetyl CTXの減少率はCTXに比し軽度であった。なお3例の血液透析患者の検討で, CTXおよびdesacetyl CTXはともに透析性が認められた。
  • 上田 泰
    1981 年 29 巻 5 号 p. 599-621
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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