Oxacephem系抗生剤6059-Sの複雑性尿路感染症に対する有効性, 安全性および有用性を客鏡的に評価する目的で, Sulbenicillin (以下, SBPCと略す) を対照薬としてwell controlled studyを行なった。6059-Sは1回1gを, またSBPCは5倍重の1回5gをそれぞれ1日2回, 5日間点滴静注した。総投与症例数は244例で, このうち6059-S投与群の108例, SBPC投与群の102例が効果判定の対象となり, 両薬剤群の除外, 脱落率に有意差は認められなかった。
UTI薬効評価基準による総合臨床効果は, 単独感染の第2群, 第4群および混合感染の第5群において6059-S投与群が有意にすぐれていた。また, 単独感染全体でも6059-S投与群が有意にすぐれていた。細菌尿に対しては, 単独感染群において陰性化串および陰性化+減少率ともに6059-S投与群が有意にすぐれていた。細菌学的効果は,
S.faecalis以外のすべての菌種に対して6059-S投与群のほうが同等か高い消失率であったため, 全体の細菌消失率は6059-S投与群のほうが有意に高くなった。自覚的副作用発現率は6059-S投与群0.8%, SBPC投与群2.5%, 臨床検査所見の異常値発現率は最も高い発現率であった検査項目でも6059-S投与群2.7%, SBPC投与群3.6%で, 副作用発現率に関しては両群間に有意差は認められなかった。また治療担当医による有用性の判定でも, 単独感染群においては6059-S投与群に有意に高い評価が与えられていた。
以上のように, 6059-SはSBPCに優るとも劣らない成績を示し, 幅広い抗菌スペクトラムと強い抗菌力に基づき, すぐれた臨床効果を発揮する, 副作用の少ない安全な薬剤であることが確められた。
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