CHEMOTHERAPY
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Sodium celistin methanesulfonate (CLM) のマウスにおける生殖試験 (第2報)
器官形成期投与試験
斉藤 太郎辻谷 典彦大内 勝松本 朋徳
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1981 年 29 巻 9 号 p. 1051-1061

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抄録

Sodium colistin methanesulfonate (CLM) の安全性研究の一環として, 生殖に対する影響を検討する目的で, 器官形成期投与試験をICR-JCL系マウスを用いて行なった。CLMは125, 250および500mg/kgを, 妊娠6日より15日までの10日間雌マウスにそれぞれ静脈内投与し, 次に述べる結果を得た。
1. 妊娠母体の一般状態, 体重および摂餌量に対し, CLMは影響を及ぼさなかった。
2. 妊娠末期胎仔の観察において, 着床数, 生存胎仔数, 生存胎仔体重, 性比, 吸収胚数および胎盤重量にCLMの影響は認められず, また胎仔の外形異常, 内臓異常および骨格異常の発現の上昇も認められなかった。しかし, 化骨状態に対しては, 250および500mg/kg投与群で, 頸椎と尾椎の化骨遅延が認められた。
3. 自然分娩群の観察において, 妊娠期間, 生存仔数, 生存仔体重, 性比, 着床痕数, 母体の分娩率および哺育状態に対し, CLMの影響は認められず, 死産仔および生存仔の外形異常の発現にも影響は認められなかった。
4. 新生仔の成長および発育・分化にCLMの影響は認められなかった。
5. 新生仔の生後の機能および行動観察では, 感覚機能, 神経・筋能力, 情緒性および学習能力において, CLMの影響は認められなかった。しかし, 250および500mg/kg投与群の雌雄において, 自発運動の減少が認められた。
以上のことより, CLMのマウス器官形成期投与試験での最大無作用量は125mg/kgであると推定される。

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