CHEMOTHERAPY
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複雑性尿路感染症に対するCefmenoxime (SCE-1365) の基礎的, 臨床的検討
宮田 和豊沖宗 正明石戸 則孝高本 均平野 学朝日 俊彦荒木 徹大森 弘之
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1981 年 29 巻 Supplement1 号 p. 854-863

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抄録
新しいCephalosporin系抗生物質Cefmenoxime (CMX, SCE-1365) について基礎的, 臨床的検討を行った。
尿路臨床分離Serratia sp. 51株に対するMICは, 108cells/ml接種で76.5%が12.5μg/ml以下に分布し, 106cells/ml接種では90.2%が3.13μg/ml以下に分布していた。Gentamicinとの比較ではほぼ同等の成績であった。
健康成人2名における500mgまたは1,000mgのone shot静注時の血中濃度のpeakは, ともに15分にあり, それぞれ31.0, 71.0μg/mlであったが, 6時間後には, それぞれ0.14, 0.18μg/mlに低下した。6時間までの尿中排泄率は500mg投与例で74.9%, 1,000mg投与例で90.3%であった。
臨床成績は複雑性尿路感染症24例に1日1.0gまたは2.0gを朝夕2回に分け筋注, 静注あるいは点滴静注で5日間投与して検討した。UTI薬効評価基準に準じて効果判定した結果, 著効8例, 有効8例, 無効8例であった。細菌学的効果は全26株中, 菌消失22株, 存続4株であり, なかでもSerratia sp.は15株中13株が消失した。
副作用としては, 1例に初回投与時に発疹を認めたが, 臨床血液検査値には本剤によると思われる異常は認めなかった。
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© 社団法人日本化学療法学会
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