抄録
新セファロスポリン系抗生物質Cefmenoxime (CMX, SCE-1365), について基礎的・臨床的検討を行った。
抗菌力については尿路臨床分離株に対しCefotiam (CTM) およびCefazolin (CEZ) と比較した。Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeではCefotiamより1~2管, Cefazolinより3~6管, Enterobacter cloacaeではCefotiamより1管, Cefazolinより3~4管, Serratia marcescensではCefotiamより3管, Cefazolinより7~8管, Proteus mirabilisではCefotiamより3管, Cefazolinより6~7管, いずれもすぐれていたが, Pseudomonas aeruginosaにはほとんど抗菌力を示さなかった。
健康成人男子4名に本剤を500mg点滴静注時の血中濃度のピークは1時間後にあり, 平均22.2μg/mlであった。投与6時間後までの尿中回収率は76.3%であった。また健康成人男子3名に本剤1,000mg点滴静注時の血中濃度のピークは1時間で平均40.4μg/mlであったことよりdoserespenseが認められた。投与6時間後までの尿中回収率は83.7%であった。
臨床成績は62例の複雑性尿路感染症に本剤を1日1gから4gを1日2回分割, 5日間投与した。62例中著効20例, 有効17例, 無効25例で有効率は59.6%であった。
副作用は臨床使用例63例および体液内濃度測定例7例, 計70例において本剤によると思われる副作用および臨床検査値異常は1例も認められなかった。