CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
新らしい合成抗菌薬1-Ethyl-6-fluoro-1, 4-dihydro-4-oxo-7-(1-piperazinyl)-3-quinolinecarboxylicacidの一般薬理作用
(I) 中枢神経系, 末梢神経系に対する作用
大久保 秀夫瀬川 満平山 隆士西納 啓吾
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 29 巻 Supplement4 号 p. 965-984

詳細
抄録

AM-715の安全性研究の一環として中枢神経系, 末梢神経系, 臓器運動に対する作用を検討した。
AM-715の30~1,000mg/kgの経口投与はマウスおよびラットにおける一般症状観察, 自発運動量, 協調運動, チオペンタール睡眠, 酢酸ライシング, 正常体温, 発熱ウサギ体温, 条件回避反応に影響せず, 鎮痛作用, 筋弛緩作用も示さなかった。
AM-715の10, 20mg/kg静脈内投与は急性および慢性植込電極ウサギの自発脳波パターン, 脳波覚醒反応に影響を与えなかった。また, 10mg/kg静脈内投与は脊髄ウサギにおける単および多シナプス反射電位に対してほとんど影響を与えなかった。
AM-715の10-4g/mlは摘出したモルモット回腸, 気管平滑筋, ラット輸精管の緊張および各種アゴニストによる収縮・弛緩反応に影響を与えなかったが, 妊娠, 非妊娠ラットの子宮自動運動の振幅をそれぞれ37%, 25%抑制した。3×10-4g/mlはウサギ摘出回腸自動運動の振幅および緊張を増大させた。
AM-715の10mg/kg静脈内投与はウサギの生体位胃小腸運動, 膀胱運動, 子宮運動に対して影響をおよぼさなかった。また, 1,000mg/kg経口投与はマウスの腸管輸送能に影響を与えなかった。
以上, AM-715はいつれの項目においても著しい作用を示さず, 一部で観察された作用も抗菌作用が認められる用量をはるかに超える用量であった。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top