CHEMOTHERAPY
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Cefotetan (YM09330) に関する基礎的・臨床的研究
呼吸器感染症を中心に
松本 慶蔵野口 行雄田口 幹雄吉田 俊昭山本 直志力富 直人宍戸 春美永武 毅宇塚 良夫渡辺 貴和雄
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1982 年 30 巻 Supplement1 号 p. 595-605

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抄録

セファマイシン系抗生物質Cefotetan (CTT, YM09330) の呼吸器由来の教室保存菌株に対するMIC (寒天平板希釈法) の分布はインフルエンザ菌で1.56~6.25μg/ml, 肺炎球菌で1.56~12.5μg/ml, 肺炎桿菌で0.39~1.56μg/ml, 大腸菌では≦0.2~1.56μg/mlの感受性株と25μg/ml以上の耐性株が認められた。
本剤の血中濃度の半減期は長く, 6症例延べ7回の測定値の平均は約3時間であった。慢性気管支炎4症例で本剤の喀痰中移行濃度を測定したが, 移行率は0.74~12%であった。12%の移行率を示した症例は肺癌の合併例であった。乳び尿症症例の乳び血尿治癒前後における本剤の尿中排泄量を測定した。乳び尿中への本剤の排泄が多い傾向にあった。
呼吸器感染症12例, 胆道感染症2例, 尿路感染症1例, その他の感染症2例の計17症例に本剤1回0.5~2g, 1日1~2回の静注または点滴静注投与を行った。著効3例, 有効11例, やや有効1例, 無効2例の成績を得, 副作用はなかった。有効率は82%であった。呼吸器感染症では, 本剤1日2gを2回に分割しての点滴静注治療を行えば高い有効率が期待できる。

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© 社団法人日本化学療法学会
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