CHEMOTHERAPY
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Cefotetan (YM09330) に関する基礎的ならびに臨床的研究
長沢 正夫他
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1982 年 30 巻 Supplement1 号 p. 564-594

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抄録

山之内製薬中央研究所で開発されたCefotetan (CTT, YM09330) は, 化学構造上セファロスポリン核の7位にmethoxy基を有するセファマイシン系薬剤で, 従来のセファロスポリン系薬剤よリグラム陰性菌に対して強い抗菌力をもつといわれる。
我々の検討成績では, グラム陽性球菌に対する抗菌力は, CTX, CMZ, CEZよりかなり劣る結果であった。グラム陰性桿菌に対しては, CMZやCEZよりきわめて優れた成績を得たが, CTXよりは同等かやや劣る抗菌力を示した。
ヒトに本剤1.0~2.0gを点滴静注した場合の最高血中濃度は, 点滴終了時にあり, 1.0gの場合115~208μg/ml, 2.0gの場合274μg/mlで, 6~8時間後でもかなりの濃度が検出された。
本剤の最高喀痰内移行濃度は, 1.0g点滴静注の場合0.44μg/mlで, 2.0g点滴静注の場合は膿性痰0.72μg/mlの移行を示した。
尿中排泄は, 1.0gと2.0gを点滴した場合, その回収率は8時間後まででそれぞれ86.1%と36.4%であった。
呼吸器感染症15例, 尿路感染症4例, 不明熱1例に本剤を点滴静注したところ, 著効5例, 有効6例, やや有効4例, 無効2例, 判定不能3例で, その有効率は64.7%であった。菌が検出され同定が可能であった11例中5例 (H. influenzae 3株, S. pneumoniae 1株, グラム陰性桿菌1株) 45.5%に菌が消失し, その他の全例に菌数の減少ないしは交代が認められた。
副作用としては, 好酸球増多の1例とGOTの上昇1例が認められた。

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