CHEMOTHERAPY
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BRL25000 (Clavulanic acid-Amoxicillin) に関する基礎的・臨床的研究
副島 林造二木 芳人川西 正泰松島 敏春沖本 二郎中浜 力
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1982 年 30 巻 Supplement2 号 p. 304-313

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抄録

β-lactamase inhibitorであるClavulanic acid (CVA) とAmoxidllin (AMPC) との1:2の配合剤であるBRL25000について基礎的・臨床的検討を行なった。患者由来のStaphylococcusaureusに対するBRL25000の抗菌力は, AMPC単独の場合に比べ優れたMICを示し, 殆んどの株が6.25μg/ml以下の濃度で発育阻止された。さらにE.coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus vulgarisに対してもBRL25000は明らかにAMPC単独に比べて優れた抗菌力を示した。Haemophilus influenzae, Proteus mirabilis, Acinetobacterに対しては, AMPC単独の場合とほぼ同等の抗菌力を示したが, β-lactamase産生のHaemophilus influenzaeに対しては, 明らかにAMPC単独よりは優れたMICを示し, すべて0.78μg/ml以下の濃度で発育阻止が認められた。しかしProteus morganii, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosa, Pseudomonas cepaciaでは殆んどの株が本剤に対して, 100μg/ml以上のMICを示した。
本剤375mgを朝食前空腹時に内服した場合の血中濃度は, AMPC, CVAともに2時間後に最高値を示し, それぞれ平均4.70, 2.44μg/mlであった。以後4時間値1.66, 1.04μg/ml, 6時間値0.54, 0.28μg/mlであった。同時に測定した6時間までの尿中排泄率は, AMPCで47.4%, CVAで25.8%であった。
呼吸器感染症21例, 尿路感染症2例に, 本剤1日3~4錠を2~15日間使用した結果, 著効島有効11, やや有効3, 無効6, 判定不能1例の成績であった。1例で軽度の嘔気食欲不振, 1例で嘔気嘔吐を認め, うち1例は投与中止したが, それ以外には副作用ならびに臨床検査値の異常も認められず, 臨床的に有用な薬剤であると考えられた。

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