CHEMOTHERAPY
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T-1982に関する薬理学的研究
第1報: 一般薬理作用
山中 康光江頭 亨荒谷 春恵建石 英樹
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1982 年 30 巻 Supplement3 号 p. 212-221

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抄録

新Cephamycin系抗生物質T-1982の薬理作用を検討した。
1) 中枢作用: ether麻酔, pentobarbital睡眠, pentetrazoleけいれん, 熱板法, sedativeataxic scoreに対しては1,000mg/kgまでほとんど影響なかった。1,000mg/kgで酢酸法たよるwrithing数は有意に減少した。ウサギ直腸温には変化はみられなかった。
2) 循環器系に対する作用: 犬の血圧, 呼吸に対し, 200mg/kgまではほとんど影響を与えなかつたが, 500mg/kgでは一過性の軽度血圧下降がみられ, 血流量の増加がみられた。AchおよびAdに対する感受性に対してもほとんど影響なかった。摘出モルモット心房標本および摘出ウサギ耳殼血管潅流量に対し10-3g/mlまでの濃度でほとんど変化なかった。
3) 平滑筋に対する作用: 摘出ウサギおよびモルモット腸管, 摘出モルモット気管筋, 摘出ラット子宮 (妊娠および非妊), 摘出ラット輸精管および摘出ラット胃底筋の自動運動あるいは筋緊張に対し, 10-3g/mlの濃度までほとんど影響を与えなかった。
4) 摘出ラット横隔膜神経一筋標本: 10-3g/mlまでの濃度で直接および間接刺激による筋収縮に対し影響を与えなかった。
5) ラット尿量および電解質排泄量に及ぼす影響: ラットに250, 500および1,000mg/kg投与した際, 1回投与群では著明な変化はみられなかった。7日投与群では尿量は250mg/kgでは増加し1,000mg/kgで減少した。Na排泄量は減少し特に1,000mg/kgで著明であった。K排泄量は500mg/kg以上の投与量で減少した。
以上の結果より, T-1982の臨床応用に際しては, 安全性は高いと考えられる。

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© 社団法人日本化学療法学会
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