CHEMOTHERAPY
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Ceftazidime (SN 401) に関する細菌学的検討
小柏 美恵子井上 松久三橋 進
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1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 1-16

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抄録
新しいセファロスポリン系抗生物質のCeftazidime (CAZ, SN401) の抗菌力をCefotaxime (CTX), Cefmenoxime (CMX), Cefoperazone (CPZ) を対照薬剤として検討した。その結果CAZは, グラム陽性菌, グラム陰性菌に対して広範囲の抗菌スペクトラムを有するという知見を得た。グラム陽性菌に対してCAZはCTXとほぼ同程度か, やや劣る成績であったが, グラム陰性菌, 特にP. aeruginosa, P. cepacia, S. marcescens に対しては対照薬剤より優れた抗菌力を有していた。β-lactamaseに対する安定性を検討した結果, プラスミド支配のpenicillinas (PCase), 各菌種特有のcephalosporinase (CSase) に対してCAZは安定であった。特にP. vulgaris, P. cepacia由来のcefuroximase (CXase) に対しては, 比較薬剤中最も安定であった。またβ-lactamase産生菌に対しても優れた感受性を示した。
殺菌力について, E. coli, P. aeruginosa, S. aureusの増殖曲線に及ぼす影響, および各菌種に対するMICとMBCを比較検討した結果, 特にP. aeruginosaに対して対照薬剤よりもはるかに低い濃度で殺菌効果を表わし, またMICとMBCの差も少なかった。
E. coil, P. aeruginosaのPBPsに対する親和性を検討した結果, CAZはPBPs-3に対し最も強い親和性を示した。マウス実験感染症における治療効果はP. aeruginosaに対してCefsulodin (CFS) とほとんど同様なED50値でCPZの約10倍良好な成績であった。
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