CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
31 巻, Supplement3 号
選択された号の論文の109件中1~50を表示しています
  • 小柏 美恵子, 井上 松久, 三橋 進
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 1-16
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセファロスポリン系抗生物質のCeftazidime (CAZ, SN401) の抗菌力をCefotaxime (CTX), Cefmenoxime (CMX), Cefoperazone (CPZ) を対照薬剤として検討した。その結果CAZは, グラム陽性菌, グラム陰性菌に対して広範囲の抗菌スペクトラムを有するという知見を得た。グラム陽性菌に対してCAZはCTXとほぼ同程度か, やや劣る成績であったが, グラム陰性菌, 特にP. aeruginosa, P. cepacia, S. marcescens に対しては対照薬剤より優れた抗菌力を有していた。β-lactamaseに対する安定性を検討した結果, プラスミド支配のpenicillinas (PCase), 各菌種特有のcephalosporinase (CSase) に対してCAZは安定であった。特にP. vulgaris, P. cepacia由来のcefuroximase (CXase) に対しては, 比較薬剤中最も安定であった。またβ-lactamase産生菌に対しても優れた感受性を示した。
    殺菌力について, E. coli, P. aeruginosa, S. aureusの増殖曲線に及ぼす影響, および各菌種に対するMICとMBCを比較検討した結果, 特にP. aeruginosaに対して対照薬剤よりもはるかに低い濃度で殺菌効果を表わし, またMICとMBCの差も少なかった。
    E. coil, P. aeruginosaのPBPsに対する親和性を検討した結果, CAZはPBPs-3に対し最も強い親和性を示した。マウス実験感染症における治療効果はP. aeruginosaに対してCefsulodin (CFS) とほとんど同様なED50値でCPZの約10倍良好な成績であった。
  • 横田 健, 関口 玲子
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 17-21
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新cephem系抗生物質Ceftazidime (CAZ, SN401) のグラム陰性桿菌, 特にPseudomonas aeruginosaSerralia marcescensに対する強い抗菌活性の仕組みを明らかにする目的で, その外膜通過性, β-lactamaseの影響および作用点であるペニシリン結合タンパク質 (PBP) に対する親和性を検討した。
    染色体性にIb型β-lactamase (cephalosporinase) を産生するP. aeruginosa, それから変異原処理によりβーlactamase非産生となった変異株, および外膜通過性の上昇した変異株における, キレート化合物EDTA処理によるMIC値変化を比較すると, CAZはPenicillin G (PCG) やCefoperazone (CPZ) に比べEDTA処理による影響が少なく, 他の薬剤より外膜通過性の良いことがわかった。またcephalosporinase産生の有無は抗菌力にあまり影響を与えず, この薬剤のβ-lactamaseに対する高い安定性を反映した。P. aeruginosa野生株とその外膜通過性上昇変異株の生細胞, または膜画分に1μg/mlのCAZまたはCPZを加え30℃10分間処理後, 生細胞からは膜画分を調製し, 14C-PCGを加え, さらに30℃10分間反応させた後, PBPの蛍光オートラジオグラフィーを行なうと, CAZは生細胞でもよくPBPと結合し, その外膜通過性の良いことが再確認された。S. mamscensの膜画分にCAZその他を加えたときも, PBP画分に対する親和性はCefotaxime (CTX) などとあまり変わらないので, この菌に対するCAZの強い抗菌力も良好な外膜通過性によるものと考えられた。
  • 奥村 和夫, 加藤 日出子, 横田 健, 関口 玲子
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 22-30
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ, SN401) は既知のβ-lactam抗生物質の中で最も強い抗緑膿菌作用をもつとともに, S. marcescensに対し第三世代cephem中最も優れた抗菌力を示す。またS. pyogenes, S. pneumoniae, E. coli, Klebsiella, Enterobacter, Citrobater, P. mirabilis, P. vulgaris, P. morganiiなどの臨床分離株に, CZXやCTXに匹敵する強い活性を示した。CAZはすべての代表的なβ-lactamaseで全く加水分解されないだけでなく, 他のcephemより結合親和性が低いので耐性株が少ない。作用点であるPBPには, E. coliでもP. aeruginosaでも3, 1A, 1B, 2の順序に強く結合し殺菌力が強い。また血清補体との協力的殺菌作用, 白血球貪食後の殺菌消化も明らかで, 良好な生体内効果をもつことが予想される。
  • 小酒井 望, 小栗 豊子
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 31-45
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    私どもは1980年, 1981年に各種臨床材料から分離されたStaphylococcus, Streptococcus, Escherichia coli, Klebsiella, Serratia, Enterobacter, Citrobacter, Proteus, Pseudomonas, Acinetobacter, Achromobacter, Flavobacterium, Alcaligenes, Peptococcus, Clostridium, Bacteroidesの合計1, 188株についてCeftazidime (CAZ, SN401) の抗菌力を他のセフェム剤と比較した。
    1. いわゆる第3世代のセフェム剤の特徴を示し, グラム陽性球菌に対する抗菌力は比較的弱く, グラム陰性桿菌には一般的に強かった。
    2. CAZはEscherichia coli, Klebsiella, Clostridium perfringens, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Proteus inconstans に極めて強い抗菌力を示し, Pseudomonas putrefaciens, Serratia, Proteus rettgeri, Proteus morganii, Pseudomonas aeruginosa, Pseudomonas cepaciaにもかなり強い抗菌力を示した。
    3. CAZのPseudomonas aeruginosa, Pseudomonas cepaciaをこ対する抗菌力は, 従来のセフェム剤に比べて著しく強かった。
  • 五島 瑳智子, 逵 彦二, 辻 明良, 小川 正俊, 宮崎 修一, 金子 康子, 桑原 章吾
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 46-68
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新cephalosporin剤Ceftazidime (CAZ, SN401) のin vitro, in vivoでの抗菌作用を検討した結果, グラム陽性菌, グラム陰性菌の各菌種に抗菌力を有し, 特にグラム陰性桿菌E. coli, Klebsiella, P. mirabilis, インドール陽性Proteus (P. vulgaris, P. morganii, P. rettgeri, P. inconstans), E. cloacae, Serratia, ブドウ糖非醗酵菌P. aeruginosa, P. cepacia, Acinetobacter calcoaceticus, Achromobacter xylosoxidansなどに対し強い抗菌力を有することが認められた。
    通性嫌気性菌の産生する不活化酵素 (penicillinase, cephalospormase) に対し安定であったが, B. fragilisの産生する不活化酵素に対しては不安定であった。
    マウス実験感染ではE. coli, Klebsiella, Serratia, P. aeruginosaに対し高い感染治療効果が認められた。
  • 上野 一恵, 渡辺 邦友, 磯野 美登利, 沢 赫代, 梅村 厚志, 小林 とよ子, 神野 英毅, 青木 誠, 山田 寿
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 69-79
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ, SN401) はβ-lactamase産生のBacteroides fragilis groupの菌株およびFusobacterium varium, Fusobacterium mortiferum, Eubacterium lentum, Clostridium difficile以外のほとんどの嫌気性菌に対して強力な抗菌力を示した。新鮮臨床分離株に対しても標準菌株と同様に強い抗菌力を示した。
    薬剤含有培地の継代培養でstep by stepで耐性は上昇したが, 耐性上昇率はβ-lactamase産生B. fragilisよりβ-lactamase非産生B. fragilisで高かった。
    B. fragilis β-lactamaseに対するCAZの安定性はCefbuperazone (T-1982), Cefotaxime (CTX) より不安定であったが, Cefazolin (CEZ), Cefoperazone (CPZ), Cefpiramide (CPM) より安定であった。
    B. fragilisによる実験的マウス腹腔内感染症に対するCAZの感染予防実験では, 感染菌がβ-lactamase産生株の場合は, CAZはCefmetazole (CMZ) より劣りCPZと同等であった。しかし, 感染菌がβ-lactamase非産生株の場合は, CAZは微量投与群においても優れた除菌効果を示し, CMZと同等であり, 特に腎臓内の除菌効果はCMZより優れていた。
    CAZ投与によってマウス盲腸内のC. difficileはわずかに増加したのみであった。
  • 西野 武志, 尾花 芳樹, 平田 収正, 山村 宜弘, 大槻 雅子, 谷野 輝雄
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 80-101
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephem系抗生物質Ceftazidime (CAZ, SN401) に関する細菌学的評価を, Cefotiam (CTM), Ceftizoxime (CZX), Cefmetazole (CMZ), Cefsulodin (CFS), Cefoperazone (CPZ) およびGemamicin (GM) を比較薬として検討を行ない, 以下のような成績を得た。
    CAZはグラム陽性菌および陰性菌に対して幅広い抗菌スベクトラムを示したが, グラム陽性菌に対する抗菌力は, CTM, CZX, CMZよりも劣っていた。しかしグラム陰性菌に対しては, CZXの抗菌力より若干劣るが, CTMとほぼ同等か, あるいは優れており, CMZよりは明らかに優れていた。またindole陽性Proteus spp., SerratiaおよびP. aeruginosaに対しても強い抗菌力を有していた。
    抗菌力に及ぼす諸因子の影響について検討したところ, 培地pH, 馬血清添加, 接種菌量の影響をほとんど受けないことが認められた。
    抗菌作用型式について検討したところ, いずれの使用菌種に対しても, 顕著な殺菌作用が認められた。またペニシリン結合蛋白質 (PBPs) への親和性を検討したところ, E. coliでは, PBP3, 1 Bs, 1A, P. aemginosaではPBP 1A, 1B, 3の順に親和性が認められ, 薬物作用時の形態変化の結果とよく一致していた。
    マウス実験的腹腔内感染症に対する治療効果では, S. aureusの場合, CAZの治療効果はCTM, CZX, CMZより劣っていた。一方, グラム陰性のE. coli, Klebsiella, Serratiaの場合, CTM, CMZより明らかに優れており, CZXと同等もしくは若干劣っていた。またP. aeruginosaの場合, GM, CFS, CPZより優れ, さらにGM耐性株に対しても優れた効果を示した。
  • 尾花 芳樹, 石黒 啓司, 星合 真紀子, 平田 収正, 山村 宜弘, 西野 武志, 谷野 輝雄
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 102-110
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    マウス実験的局所感染症に対する新しいcephem系抗生物質Ceftazidime (CAZ, SN401) の効果について, 既知物質と比較検討し, さらにより有効な薬物投与方法について若干の検討を行なった。
    マウス実験的尿路感染モデルにおけるCAZの効果について検討したところ, 感染菌が, E.coliおよびSerratiaの場合, CAZはCefotiam, CcftizoximeやCefmctazoleよりも優れていた。また, P.aeruginosaの場合, CAZはCefsulodinやCefoperazoneよりも優れていたが, Gentamicinよりは劣っていた。また治療効果に及ぼす頻回投与の影響について検討したところ, CAZでは頻回投与により治療効果が良好となり, 本薬物の治療効果を左右する大きな要因は, 有効濃度の維持時間であると考えられた。
    マウス実験的呼吸器感染モデルにおける効果について検討したところ, CAZはCefotiamやCefmetazoleよりも優れており, Ceftizoximeとほぼ同等かあるいは若干優れていた。また, 本感染症においても, CAZは頻回投与により, 治療効果が良好となった。
  • 高田 直樹, 浜 正純, 小川 道雄, 神前 五郎, 杉中 秀寿
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 111-118
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく合成されたセファロスポリン系抗生物質であるCeftazidime (CAZ, SN401) に関して細菌学的検討を行なった。CAZは各種臨床分離グラム陰性桿菌に対し, 強い抗菌力を示した 。特に, P.aeruginosa, S.marcescensに対し優れた抗菌力を発揮し, さらに従来のセファロスポリン剤が無効であったインドール陽性のProteus spp., E.cloacae, C.diversus, C.freundiiに対しても抗菌力を有していた。グラム陰性菌外膜に障害を与えるEthylenediaminetetraacetic acid (EDTA) 存在下でのMIC測定では, CAZはP.aeruginosaに対してややMICの低下がみられたが, S.marcescensでは変化がなかった。一方, 対照薬剤のCefazolin (CEZ), Benzylpenicillin (PCG) ではEDTA添加により, 両菌種に対して著明にMICが低下した。このことより, CAZがP. aeruginosa, S. marcescensに対して強い抗菌力を発揮する一要因として, 外膜透過性に優れていることが関与していると思われた。
  • 杉中 秀寿, 三宅 洋一郎, 野上 龍造, 高田 直樹, 浜 正純, 小川 道雄, 神前 五郎
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 119-124
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規aminothiazolyl cephalosporinの一つであるCeftazidime (CAZ, SN401) は, 多くのグラム陰性菌に対してCefazolin (CEZ) よりも優れた抗菌力を有している。この抗生剤の架橋ペブチドグリカン合成に及ぼす影響をPseudomonas aeruginosa KM 338, Serratia marcescensIFO 12648およびEscherichia coli K 12のエーテル処理菌体を用いてCEZのそれと対比して検討した。
    それぞれの菌株に対するCAZの最小発育阻止濃度 (MIC) は6.25, 0.2および0.1μg/mlで, 一方CEZのMICはそれぞれ51,200, 6, 400および1.56μg/mlであった。
    P. aeruginosaおよびS.marcescensのペプチドグリカン架橋形成反応はCEZよりも低濃度のCAZで阻害を受けた。その50%阻害濃度は, P.aeruginosaではCAZ 0.19μg/ml, CEZ32μg/ml, S.marcescensでは, それぞれ21, 82μg/mlであった。一方, E.coliに対する50%阻害濃度は両抗生剤とも3.7μg/mlであった。
  • 臨床分離株感受性ならびに黄色ブドウ球菌性髄膜炎家兎における髄液中移行
    小林 裕, 春田 恒和, 黒木 茂一, 大倉 完悦
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 125-131
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新注射用cephem剤Ceftazidime (CAZ, SN401) について基礎的研究を行なった。
    本剤の各種臨床分離株に対するMICをCefotaxime, Ceftizoxime, Cefoperazoneと比較した。Staphylococcusに対しては, 本剤は他の3剤におよばなかった。グラム陰性桿菌では, 本剤は多くの腸内細菌でCefotaxime, Ceftizoximeより若干劣るものの, indole陽性Proteusではほとんど差がなく, S.marcescensではCeftizoximeにわずかにおよばなかったが, Cefotaximeよりはややまさった。また, Cefoperazoneよりはすべての菌種においてすぐれていた。P.aeruginosaに対しては, 上記3剤はもちろん, Cefsulodinと比べてもややすぐれ, 1.56μg/ml以下で15株のうち10株の発育を阻止した。
    S.aureus髄膜炎家兎5羽に対して本剤100mg/kg静注後の血中濃度のピークは, 全例投与後15分であり, 平均107μg/mlであった。髄液中濃度のピークは平均値で投与後45分にあり, 10.4μg/mlで, 髄液血清比百分率は9.72%, 血中濃度半減期は平均49.6分, 髄液中濃度のそれは138分で, 髄液血清比は2.78, 曲線下面積髄液血清比百分率は, 15~60分11.7%, 15~120分16.2%, 15~180分19.4%であった。
    この成績は本剤の髄液中移行が各種β-lactamのうち最上位の一つであることを示し, 各種臨床分離菌株に対するMICも考慮すると, 本剤がS.pneumoniaeおよびグラム陰性菌に起因する髄膜炎に奏効する可能性を強く示唆しており, 髄膜炎に本剤を臨床試用するに充分な根拠を与えたと考えられる。
  • 永山 在明, 宮崎 祐輔, 飯田 恭子, 副島 利紀
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 132-135
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新注射用cephalosporin系薬剤Ceftazidimc (CAZ, SN401) のin vitro 抗菌作用を, 同系統のCefazolin (CEZ) およびCefmetazole (CMZ) と比較するとともにaminoglycoside 系薬剤であるGentamicin (GM) およびAmikacin (AMK) とも比較した。
    CAZ はP. aeruginosa などPseudomonas 属の菌に対してはCEZ, CMZ よりはるかに優れた抗菌力を示し, GM, AMK とほぼ同程度の抗菌作用を示した。C.freundii についてはCEZ, CMZ, GM, AMK の4薬剤に比べて優れていた。
    S.marcescens に対してもその90%以上が3.13μg/ml以下のMICを示し, CEZ, CMZ はもちろんGM, AMKよりもきわめて強い抗菌作用を有していた。
  • 武田 憲三, 大橋 康宏, 田口 邦夫, 増田 順一, 加藤 日出子, 持田 佐枝子, 奥村 和夫
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 136-145
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    セファロスポリン系新誘導体であるCeftazidime (CAZ, SN401) の抗菌作用について, in vitroおよびin vivo で検謝し, 以下の結果を得た。
    1) Ceftazidimeはグラム陽性菌, グラム陰性菌に対し広い抗菌スペクトラムと, 強い抗菌力を示した。
    2) 特にグラム陰性菌に対して強い抗菌力を示し, Cefotaxime, Cefoperazone, Latamoxef とほぽ同等の抗菌力を認め, S.marcescens に対してはこれらの薬剤より優れた抗菌力を示した。
    3) P.aeruginosaに対する抗菌力は, 抗緑膿菌セフェム剤のCefsulodin, Cefoperazone より優れ, アミノ配糖体に匹敵する抗菌力が認められた。
    4) 各種細菌の産生するβ-lactamaseに対し, 極めて安定であった。
    5) 作用は殺菌的であり, 培地の種類, 培地pH, 接種菌量などによる影響はほとんどみられなかった。
    6) マウスの実験的感染症に対する治療効果は, in vitroの抗菌力を反映した優れた成績を得た。
  • 小山 優, 中川 圭一, 武田 憲三, 肥後 喬一, 奥村 和夫
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 146-155
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    健康成人男子志願者14名に, 新セファロスポリン系注射用抗生物質Ceftazidime (CAZ, SN401) を, 筋注 (0.5g), 1時間点滴静注 (1gおよび2g, クロスオーパー法), 2時間点滴静注 (2g), 静注 (0.5gおよび1g, クロスオーパー法) および連続静注 (1g, 12時間間隔, 9回) で投与し, Ceftazidimeの忍容性および吸収・排泄を検討した。
    1. 自他覚症状, 理学的検査, 一般血液検査, 血清生化学検査, 尿検査等の忍容性に関する検討において, Ceftazidimeに起因すると考えられる異常所見は認められなかった。
    2. Ceftazidimeは, 筋注, 点滴静注ならびに静注のいずれの投与法でも, 投与量に比例して高い血漿中濃度を示した。その血漿中半減期は1.6~2.1時間と比較的長く, 投与8時間後でも血漿中に0.9~5.7μg/mlのCeftazidimeが検出された。
    3. Ceftazidimeは, いずれの投与法, 投与量でも体内で不活化されることなく, 投与後12時間までに投与量の約90%が尿中に排泄された。
    4. Ceftazidime 1gを, 12時間ごとに9回連続静注投与した場合の, 血漿中濃度ならびに尿中回収量の推移に変化はなく蓄積傾向は認められなかった。
    以上の成績から, Ceftazidimeは安全性において特に問題はなく, 薬物動態も良好な薬剤であり, 各種細菌に対する抗菌力を考慮した場合, 各種感染症に対して優れた効果が期待できるものと考えられた。
  • 中村 孝, 橋本 伊久雄, 沢田 康夫, 三上 二郎, 斉藤 美知子, 八反田 薫, 戸次 英一, 奥村 和夫, 武田 憲三
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 156-164
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    限局性腹膜炎を合併せる急性虫垂炎10例, 胆石症による急性および亜急性胆のう・胆管炎5例, クローン氏病および痔痩各1例, 総計17例の患者の手術に際して, 術前にCeftazidime (CAZ, SN401) 1gを静注し, 各種体液, 組織内のCAZ濃度を術中に採取した試料より検索した。測定法はProteus mirabilis ATCC 21100を検定菌とする薄層ディスク法である。胆道系感染症において, 総胆管胆汁内CAZ濃度は6.28~24.5μg/mlを認め, 胆のう胆汁内濃度は胆のう管閉塞例で1.17~7.68μg/ml, 開存例で5.23~19.2μg/mlを示し, 胆のう壁内濃度は17.5~42.2μg/gを認めた。急性虫垂炎の虫垂壁内濃度は4.35~44.4μg/gを示し, 重症例は高濃度であった。膿腫性虫垂の虫垂内膿汁では2.46~6.75μg/mlのCAZ濃度を認めた。膿性腹水内濃度は12.8~46.5μg/mlを示した。痔痩壁は34.1μg/gであった。CAZは胆汁への移行は高濃度ではないが, 炎症病巣への移行は極めて良好で, 短時間に高濃度に達し, 炎症の強いものでは比較的長時間高濃度を維持するといえる。5例の2種複数菌感染を含む13例で起炎菌が検索されたが, その大部分を, しめるEscherichia coliのMICは, 108cells/mlで0.39~0.78μg/mlであり。CAZ 1g静注後の炎症組織内濃度は, これらのMICを大幅に上回っており, CAZの腹部炎症性疾患に対する有用性が裏付けられた。
  • (I) 体内動態と尿中抗菌力
    岡田 敬司, 川嶋 敏文, 宮北 英司, 西澤 和亮, 河村 信夫, 大越 正秋
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 165-187
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1. 7名の健康成人志願者にCeftazidime (CAZ, SN 401) とCefotiam (CTM), CAZとCefoperazone (CPZ) の組み合わせでクロスオーパー法による3組の吸排試験を行なった。
    1) CAZ, CTM各1g 1回静注試験は4名に行なった。各々のT1/2(β) は1.50, 0.94時間, 尿中回収率は8時間までで91.5, 72.9%であった。
    精液中濃度は8時間後で各々1.46, 1.16μg/ml, 24時間後でCTMは検出できず, CAZで0.42μg/mlであった。
    2) CAZ, CTM各1g30分間点滴静注試験は5名に行なった。各々の血清中濃度のピーク値は77.8, 61.3μg/ml, T1/2 (β) は1.60, 0.96時間, 12時間までの尿中回収率は76.3, 65.2%であった。
    3) CAZ0.5g, 1g, CPZ1g30分間点滴静注試験は5名に行なった。各々の血清中濃度のピーク値は42.6, 92.1, 102.4μg/mlでT1/2 (β) は1.49, 1.66, 1.74時間, 尿中回収率は12時間までで91.8, 83.1,27.2%であった。
    2), 3) については2時間毎に回収した尿を用い, 尿中抗菌力について検討した。2) での試験菌はCAZ, CTMに同等の感受性を示すE.coli, K.pneumoniae, 3) ではCAZ, CPZに同等の感受性を示すE.coli, P.aeruginosaを用いた。各尿検体の希釈倍率で各菌種の発育阻害を比較した結果, CTMは血中半減時間が短いこと, CPZは尿中回収率が低いこともあり, 2), 3) いずれの場合もCAZが優れた尿中抗菌力を示した。
    2. 家兎にCAZ 1gを静注し, 脱水状態とそうでない場合での血清中, 臓器内濃度を測定した。全体的に脱水家兎で高い濃度を示したが, 特に睾丸と前立腺の濃度が高値を示した。
  • 奥村 和夫, 逵 彦二, 武田 憲三, 福田 一郎, 長岐 為一郎, 高野 真理子, 肥後 喬一, 木南 純二
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 188-198
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    マウス, ラットおよびウサギにCeftazidime (CAZ, SN401) 20mg/kgを投与し, 吸収, 体内分布, 代謝および排泄について検討し, 以下の結果を得た。
    1. マウス皮下, ラット筋肉および静脈内に投与し, 血中濃度, 臓器内分布, 胆汁および尿中排泄率の推移を検討した。CAZの血中濃度は速やかに上昇し, 投与後15~30分でピークに達した。また, 臓器内移行は速く, 腎に最も高い濃度を認め, ラット静脈内投与では腎>血漿>肺>心筋>脾>肝の順で濃度が高かった。
    2. ラットに7日間反復静注投与した結果, 血中, 臓器内, 尿中排泄とも単回投与時と差はなく, 蓄積性は認められなかった。
    3. ラットの無菌炎症浸出液では静注投与1時間後に5.8μg/mlのピーク値を得, CEZのピーク値2.8μg/mlより高い濃度を示した。
    4.ウサギでCEZとcrossover法により血中濃度を比較すると最高血中濃度は筋注, 静注ともにCEZより低いが, 半減期はCAZの方が長く, 静注投与1時間後ではCAZの方が高い濃度を示した。
    5. 尿中回収率 (0~24時間) はマウス皮下投与で58.5%, ラット静注時72.5%, 筋注時66.8%, ウサギ静注時77.8%, 筋注時76, 7%で大部分は0~3時間以内に排泄された。また, ラット胆汁排泄率は0~24時間で0.22%と低く, CAZのこれら動物における主な排泄経路は腎によるものと考えられた。
    6. 活性代謝物をBioautographyで検索した結果, 血漿, 尿および胆汁中には認められなかった。
    7. 血清タンパク結合率は低くウサギ26.6%からイヌでの13.1%に分布し, ヒトでは20.9%であった。
  • 斎藤 玲, 加藤 康道, 石川 清文, 小田柿 栄之輔, 篠原 正英, 富沢 磨須美, 中山 一朗, 佐藤 清
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 199-210
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ, SN401) は新しいcephem系抗生剤である。臨床分離のEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Proteus morganii, Serratia marcescensに対して, CAZは極めて強い抗菌力を示した。Pseudomonas aeruginosaに対するCAZのMICは0.4~>100μg/mlに分布したが, 6.3μg/ml以下のものが91.3%をしめた。
    6名の健康男子に1g静脈内注射後の体内動態では, 血中濃度は5分後173μg/mlを示し, 血中半減時間はβ相で1.6時間であった。尿中排泄量は8時間までで90.2%であった。被検者における血液生化学的検査の異常は認められず高い忍容性が示唆された。
    21例の内科的感染症にCAZ1日2gを2回に分け, 点滴静注により7~17日間投与し, その臨床効果は, 著効12例, 有効6例, やや有効2例, 無効1例で, 有効率は85.7%であった。臨床的に副作用は認められず, GPT上昇が1例に軽度に認められた。
  • 平賀 洋明, 菊地 弘毅, 河井 裕
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 211-215
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    全例基礎疾患を有し, 他剤抗生物質無効例6例, 重症5例を含む難治性慢性呼吸器疾患11例にCeftazidime (CAZ, SN401) 1~2gを1日2回点滴静注し, その有効性および安全性を検討した。
    1. 臨床効果は著効3例, 有効4例, やや有効3例, 無効1例で有効率は63.6%であった。
    2. 難治性慢性呼吸器感染症でPseudomonas aeruginosaの場合は1回2g.1日2回すなわち1日49の大量投与の方が優れていた。
    3. P.aeruginosa 5例では陰性化1例, 減少2例, 不変2例であった。Klebsiella pneumoniae3例では陰性化2例, 不変1例で, Enterobacter cloaoae 1例は減少した。
    4.副作用は1例も認められず, 投与後の臨床検査値異常は好酸球軽度増多1例のみであった。
  • 武部 和夫他
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 216-223
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ, SN401) の臨床効果を肺炎10例, 急性膀胱炎3例, 慢性膀胱炎5例, 急性腎孟腎炎6例, 慢性腎孟腎炎2例, 急性胆嚢炎2例を含む28例で検討した。
    結果は著効9例, 有効15例, やや有効1例, 無効3例で, 全体の有効率は85.7%であった。起炎菌と推定されるものも24株が見出されていたが, 21株が消失, 1株が減少した。菌交代が2株にみられた。
    副作用としては発疹が1例にみられた。臨床検査値においては軽度の赤血球減少が1例, 軽度のGPT上昇が1例にみられた。
    上記の結果よりCAZは呼吸器および尿路感染症に対して有用な薬剤である
  • 井田 士朗, 滝島 任
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 224-227
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセファロスポリン系抗生剤Ceftazidime (CAZ, SN401) を, 大部分何らかの基礎疾患をもった中等度~重症呼吸器感染症患者の治療に使用した。14例すべての症例において喀痰中に有意な起炎菌を証明し得たが, その菌種の内訳をみると, P.aeruginosaが11例, H.influenzaeが4例, P.maltophilia, E.cloacaeが各々1例ずつであった (複数検出例もあるので症例数を超える)。これらに対し, 本剤を1回1~39, 1日2回, 点滴静注により投与した。その結果, 治療後これらの起炎菌の消失した症例は14例中10例 (71%) であり, P.aeruginosaについてのみみてみると11例中8例 (73%) で, 本剤のP.aeruginosa感染症に対する有効性が実証された。さらに症状の軽快, 検査所見の改善などの臨床効果を総合判定した結果14例中9例 (64%) に有効であるという結論を得た。
  • 青沼 清一, 渡辺 彰, 大沼 菊夫, 佐々木 昌子, 大泉 耕太郎, 今野 淳
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 228-234
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセファロスポリン系抗生物質Ceftazidime (CAZ, SN401) について臨床分離菌100株に対する抗菌力を検討するとともに, 呼吸器感染症8例に対する臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。
    S.aureus20株に対するMICのピークは6.25μg/mlにありCEZより4段階劣っていた。E.coli20株, K.pneumoniae 20株に対してはいずれもピークは0.2μg/mlにあり, CZXよりやや劣るがCEZ, CMZより2~4段階優れていた。S.marcescens20株に対しては0.39μg/mlにピークを有しCZXより2段階劣るがCEZ, CMZよりはるかに優れていた。P.aeruginosa20株に対するMICのピークは1.56~3.13μg/mlにあり, SBPC, CZX, PIPC, CFSよりも優れていた。
    呼吸器感染症8例 (肺炎1, びまん性汎細気支炎1, 肺癌二次感染4, 胃癌兼癌性胸膜炎の二次感染1, 肺化膿症を疑った肺癌1) にCeftazidimeを1日量2~49を投与して有効2, やや有効2, 無効2, 判定不能1, 脱落1の成績を得た。8例から6株を分離し, H.influenzae2株は消失, P.aeruginosa2株中1株は消失し1株は菌量減少, K.ozanae1株はS.liquefaciensに菌交代, E.agglomerans1株は不明という細菌学的効果を得た。発疹・消化器症状などの副作用はみられず, また本剤によると思われる臨床検査値の異常化もみられなかった。
  • 林 泉, 阿部 達也
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 235-239
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症11例に対するCeftazidime (CAZ, SN401) の治療成績を報告する。肺炎8例, 肺化膿症, 感染性汎細気管支炎, 膿胸各1例で, 著効4例, 有効7例と有効率100%であった。臨床分離菌に対する細菌学的効果は3株中3株が消失し, 除菌率100%であった。
    副作用は1例にみられた。投与5日日で全身に発疹を来たし中止とした。臨床検査異常が2例にみられた。1例はGOT, GPTの一過性上昇, 他の1例はGOT, GPTの上昇と軽度の血小板減少であった。
    B. fragilisによる膿胸の1例で大量の菌が短期間で殺菌されたためと思われるHERXHEIMER現象様の発熱をみたが症状は軽かった。
  • 玉木 重
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 240-243
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ, SN401) について, 臨床的検討を行ない次の成績を得た。
    呼吸器感染症5例, 尿路感染症10例に本剤を投与し, 著効2例, 有効13例の成績を得た。本剤によると思われる副作用は認められなかった。
    以上から, 本剤は臨床効果が期待される有用な新抗生剤といえる。
  • 河合 美枝子, 村山 由美子, 岡野 玲子, 安達 正則, 中野 昌人, 滝塚 久志, 岡山 謙一, 奥井 津二, 勝 正孝
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 244-250
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたcephalosporin系抗生物質であるCeftazidime (CAZ, SN401) について, 基礎的・臨床的検討を行なった。臨床分離保存菌の10菌種142株のMICを他の抗生剤 (CPZ, CTX, CZX, CMX, LMOX, CMZ, CEZ, GM) と比較検討したところ, CAZはグラム陰性桿菌に対し, 他の抗生剤と同様の強い抗菌力を示したが, 特にP.aeruginosaおよびS.marcescensに対しては, 最も強い抗菌力を示した。臨床的には, 呼吸器感染症4例, 尿路感染症2例, 胆嚢炎3例, 敗血症1例, 頸部化膿性リンパ節炎1例に対し, 1日投与量1~29で6~14日間点滴静注した。その結果, 11例中8例に有効以上の成績を得た。副作用としては, トランスアミナーゼ上昇と, 発疹を各1例認めたが, いずれも投与中止後に正常化した。
  • 島田 馨, 稲松 孝思, 浦山 京子, 井熊 克仁
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 251-257
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ, SN401) 1gを老年者4例に静注した際の血中濃度の推移を検討した。β相のT1/2はクレアチニン・クリアランス値と逆相関し, 血清クレアチニン値1.5mg/dl以下の3例 (クレアチニン・クリアランス, 70.1~30.8ml/min) では, それぞれ2.5時間, 3.5時間, 5.1時間を示し, 6時間までの尿中回収率は75~67%であった。血清クレアチニン値2.5mg/dl, クレアチニン・クリアランス11.6ml/minの腎障害例で, T1/2は12.2時間と著明に延長した。1g静注5分後の血中濃度は100μg/mlを超えていた。以上の成績より, 老年者ではCAZ 0.5~1g, 1日2回の静注が, 一応の基準となり得ると考えられた。
    64歳~91歳の老年者感染症14例 (呼吸器感染症4, 尿路感染症6, 胆道感染症3-うち1例は敗血症に進展, 褥瘡感染症1) にCAZを使用し, excellent 4, good 9, fair 1の臨床効果を得た。分離菌の消長を追跡しえた12菌株 (7症例) のうち, P.aeruginosa 3株を含む10菌株 (6症例) は除菌された。
  • 熊田 徹平, 大井 聖至, 戸塚 恭一, 玉城 巖
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 258-262
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ, SN401) について検討を行ない, 次のような成績を得た。
    本剤の抗菌力を, E. coli14株, Klebsislla27株, Serratia27標について検討し, CMZに比べて優れた成績が得られた。P. aeruginosa24株については, CFSとほぼ同程度の抗菌力を示した。
    高速液体クロマトグラフィーにより血中濃度, 尿中回収串を測定した。血中濃度は1g静注直後で平均138μg/ml, 30分後で平均62μg/mlであった。半減期は1.6~1.8時間, 尿中回収率は6時間までで平均93%であった。
    臨床成績では, 本剤を複雑性尿路感染症9例に使用し, 8例が有効, 1例がやや有効であった。細菌学的にはE.coli, Serratia, Preteus, Enterebacterについては菌消失を認めたが, S.fatcalisは菌不変であった。
    本剤は, グラム陰性菌を主としてP.aeruginosaを含む広い抗菌スペクトラムをもち, 臨床応用上, 有用性の高い薬剤であると考えられた。
  • 石橋 弘義, 黒川 真樹, 大久保 修一, 堀内 正, 岡部 和子, 渡辺 哲造, 可部 順三郎
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 263-267
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    英国グラクン社で開発された新しいセファロスポリン系抗生物質Ceftazidime (CAZ, SN401) を呼吸器感染症11例, 尿路感染症2例に投与した。投与量は1日1~2gで2回に分割し, 5~21日間使用した。
    対象となった感染症の内訳は, 肺炎4例, 肺化膿症1例, びまん性汎細気管支炎1例, 肺癌に併発した呼吸器感染症5例と尿路感染症2例で, 起炎菌はK.pneumoniae2例, Serratia1例, E.coli1例, P.aeruginosa4例であった。
    本剤投与後, K.pneumoniaeE.coliは消失したが, Serratiaは菌交代し, P.aeruginosaは消失, 減少.菌交代と分かれた。
    臨床的には, 重症の基礎疾患 (肺癌) を有している呼吸器感染症 (1例は気管支炎で残りは肺炎) では5例中, やや有効4例, 無効1例と成績不良であったが, 気管支拡張症や慢性肺気腫に伴う, あるいは基礎疾患を伴わない肺炎計4例では, 著効1例, 有効3例と好成績を収めた。肺化膿症とびまん性汎細気管支炎はともにやや有効, 尿路感染症は著効と有効を示した。
  • 山岡 澄夫, 山根 至二, 真下 啓明
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 268-271
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新rephalosporin系注射剤であるCeftazidime (CAZ, SN401) を12症例, 14感染症に投与し, 臨床的検討を行なった。投与法は1回0.5~1gを1日1~3回に分けて点滴ないし静注で投与した。臨床的効果は呼吸器感染症4例中, 有効3例 (75%), 尿路感染症10例中, 有効以上8例 (80%) であった。P.aeruginosaによる単独もしくは混合感染症例が8例を占めたが, 7例に臨床的有効性を認め, 起炎菌と思われる, P.aeruginosa8株中6株が消失した。副作用としては1例にGPTの一過性上昇を認めたのみであった。
  • 渡辺 一功, 浜本 恒男, 日比野 順子, 椎名 和彦, 泉 昭, 森 健, 池本 秀雄
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 272-275
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    英国グラクン社で新たに開発された7位側鎖にaminothiazolyl carboxyprepyl oxyimino基を, 3位側鎖にpyridine環をもつ, いわゆる第三世代に属するCeftazidime (CAZ, SN401) を呼吸器感染症症例6例に投与し, その臨床効果, 副作用などについて検討した。
    対象症例は男子4例, 女子2例, 年齢分布は30歳より78歳 (平均年齢54歳) に及び, 疾患の内訳は肺炎4例, びまん性汎細気管支炎2例である。投与方法は5例では本剤1.0gを生理食塩液100~250mlに溶解し, 1~2時間にて点滴静注を1日2回施行した。1例では本剤1回2.0gを1日2回, 次いで1回2.0gを1日3回, 生理食塩液に溶解し点滴静注を施行した。投与期間は11~33日 (平均18.5日), 総投与量は22~1849 (平均56.7g) であった。
    臨床効果は6例中3例が有効, 無効1例, 判定不能2例であり, 疾患別では肺炎4例中3例が有効, 1例が判定不能, びまん性汎細気管支炎の2例は無効1例, 判定不能1例であった。細菌学的検討では肺炎例での肺炎球菌, インフルエンザ菌の各1例は除菌可能であったが, びまん性汎細気管支炎の2例のムコイド型緑膿菌は除菌不能であった。
    本剤投与による臨床検査値の異常はなく, また自・他覚的症状としての下痢, 発熱, 嘔気, 嘔吐, 発疹などの副作用は全例に認められなかった。
  • 谷本 普一, 中谷 龍王, 吉村 邦彦, 中森 祥隆, 蝶名林 直彦, 立花 昭生, 中田 紘一郎, 野沢 京子, 杉 裕子
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 276-283
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    既に種々の治療を受け難治となり, 緑膿菌感染が過半数を占める呼吸器感染症39例 (男23, 女16) にCeftazidime (CAZ, SN401) を使用し, その臨床効果および副作用を検討した。
    対象患者の平均年齢は60.7歳, 平均体重は41.9kgで, 高中年齢者および体重減少例が多い背景が示されている。投与方法は全例点滴静注法で, 大部分が1.0g1日2回, 平均使用日数は24, 7日, 平均総使用量は54.2gで, 日数, 使用量ともに多かった。
    臨床効果は, 有効率が気道・中間領域感染症32例中18例で57%, 肺化膿症を含む重症肺炎7例中3例で43%であった。起炎菌別では, P.aeruginosa 20例では有効率60%, 除菌率20%, ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌4例では有効率75%, 除菌率25%, その他S.pneumoniae, H.influenzae, Kpneumoniae, S.marcescens, Bacteroides各1例では, 全例に菌の消失をみている。副作用は一過性の発疹, GOT, GPT, Al-P, BUNの上昇などが2.6~5%に認められ, 投与中止により改善した。
    結論として, CAZは緑膿菌感染症を主とする難治性呼吸器感染症に有用な抗生物質である。
  • 国井 乙彦, 小松 喬, 西谷 肇, 斧 康雄, 滝沢 剛則, 三輪 史朗, 深谷 一太
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 284-291
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセフエム系抗生物質Ceftazidime (CAZ, SN401) について, 2, 3の検討を行なった。
    臨床材料分離株の感受性試験では, Ecoli, Ktebsiella, P.aeruginosa, その他諸種グラム陰性桿菌で, CPZ, CMZ, CEZより優れた成績を得た。
    臨床的に7例に使用した。1回0.5~19を, 1日2回, 点滴静注ないし静注で, 2~10日間用いた。有効3例, やや有効2例, 不明・判定不能2例の成績であった。1例に悪心・嘔吐を認め・投薬を中止した。BUN上昇・好酸球一過性増加1例と, GOT軽度上昇1例をみた。
  • 中川 圭一, 小山 優, 渡辺 健太郎, 秋吉 龍二, 村田 一郎, 山本 敬, 福井 洸, 金 衡仁, 横沢 光博
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 292-305
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    われわれは臨床分離のS, aureus, E.coli, K. Pneumoniae, P.mirabitis, E. cloacae, S. marcescexs, H. influenzae, P. aerugixesa各25株に対するCeftazidime (CAZ, SN401) のMICをH. influenzaeおよびP. aeruginesaを除きLatamoxef (LMOX), Cefoperazone (CPZ) と, またH.influenzaeはLMOX, Ampicillin (ABPC) と, P. aerxgixesaはCPZ, Cefsuiodin (CFS), Cefpiramide (CPM), Gentamiein (GM) と比較検討したところ, S. aureusに対してはほとんどが6.25~12.5μg/mlでLMOXとほぼ同様で, E, coli, K, pneumoniae, P. mirabilisに対してはほとんどが0.2μg/ml以下のMICを示し, LMOX, CPZとほぼ同様の結果を示した。E. cloacae, S. marcescensに対してはLMOX, CPZと同様幅広いMICを示したが, S. marcescensに対しては他の2剤より優れていた。H. influenzaeに対しては0.2μg/ml以下でLMOXとほぼ同様でABPCより優れていた。P. aeruginesaに対してはCPZ, CFS, CPM, GMより優れ3.13μg/ml以下のMICを示すものが84%であった。
    また, 無菌性髄膜炎の回復期にある患者に本剤を2g1時間点滴静注し, 髄液中濃度を測定したところ終了後7時間で180μg/mlを示し, 髄液中への移行も優れていることが示された。
    臨床投与例は18例で1例を除き1回1g静注または点滴静注で1日2回投与で治療した。RTIは7例でうち肺炎が6例で気管支拡張症の感染が1例である。肺炎6例中5例に有効, E. coliによる気管支拡張症の感染にも有効であった。BTIは2例中有効1例, やや有効1例であったが, やや有効の1例には胆道癌が基礎疾患として存在した。UTIは6例で臨床的には著効2例, 有効3例, 無効1例であった。また敗血症の2例, 髄膜炎の1例にも有効であった。P. aeruginosaの検出例が肺炎に1例, UTIに3例あったが本剤投与により消失3例, 菌交代1例の好成績を得た。
    副作用としては臨床的にも検査値にも特記すべきものはみられなかった。
  • 斎藤 篤, 嶋田 甚五郎, 大森 雅久, 柴 孝也, 山路 武久, 井原 裕宣, 北條 敏夫, 加地 正伸, 三枝 幹文, 宮原 正, 上田 ...
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 306-321
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephem剤のCeftazidimeについて臨床的検討を行なった。
    臨床分離のグラム陰性桿菌に対するCeftazidimeのMICを測定し, Cefoperazone, Ceftizoxime, Latamoxef, Cefotiam (あるいはCefsulodin) のそれと比較した。E.coliは0.39μg/ml以下, P. mirabilisは0. 2μg/ml以下, K. pngumoniaeは0.78μg/ml以下で, それぞれ全株の発育が阻止された。S. marcescensおよびindole positive Proteusは1.56μg/ml以下で, それぞれ90%および96%の発育が阻止され, 一方, E. cloacaeおよびC. freundiiは0.1~100≦μg/ml, P. aeruginosaは0.1~50μg/mlと幅広いMIC分布を示したが, これらの5菌種には本剤の抗菌力が最も優れていた。
    健康成人志願者4名に本剤1,000mgを1回静注した際の血中および尿中濃度 (尿中回収率) を測定し, cross over法でCefoperazeneとの比較, probenecidの影響などについて検村した。本剤の血中濃度は静注5分後に平均98.2μg/mlを示し, 以後1.82時間の血中半減期 (β相) をもって減少し, 8時間後には2.3μg/mlとなった。この血中濃度はCefoperazone のそれをわずかに下回る値であった。24時間までの尿中回収率は平均92.1%で, Cefoperazoneより3倍高率であった。本剤の総clearanceは98.12ml/minでCefoperazomeよりわずかに高値であったが, 腎clearanceは90.33ml/minとCefoperazoneより4倍の高値を示した。Probenecidによる影響はほとんど認められなかった。
    呼吸器感染症4例, 胆のう炎, 腹膜炎, 尿路感染症各1例に本剤を1日1~4g, 6~14日間使用し, 著効1例, 有効3例, やや有効1例, 無効2例の成績を得た。副作用は認められなかったが, 臨床検査値の異常変動としてS-GOT, S-GPTの一過性軽度上昇を各1例に経験した。
  • 小林 宏行, 高村 研二, 川俣 倫子, 押谷 浩
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 322-324
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新セフェム系抗生剤Cettazidime (CAZ, SN401)(1回1g, 1日2回点滴静注) の慢性気管支炎に対する臨床評価を検討した。
    8例の慢性気管支炎の感染性増悪例に対し有効5例, 無効3例, 有効率62.5%であった。無効例3例のうち2例は緑膿菌常時排菌の長期の難治例であり, 他の1例も呼吸不全を伴った長期の難治例であった。
    臨床的ならびに検査値のうえから剛作用はみられなかった。
    以上より, 本剤は慢性気管支炎感染性再燃例に臨床的有用性が充分期待でき得ると考えられた。しかしながらin vitroの優れた抗緑膿菌作用を臨床的に検討するには, 呼級器緑膿菌感染症の難治的背景から, 投与量, 方法などに対して再度, 検討するに価値ある薬剤と考えられた。
  • 美田 誠二, 小林 芳夫, 藤森 一平
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 325-330
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された非経口セファロスポリン剤Ceftazidime (CAZ, SN401) の臨床的検討を行なった。
    呼吸器感染症5例 (慢性気管支炎急性増悪), 尿路感染症9例 (急性腎孟腎炎4例, 急性膀胱炎3例, 慢性腎孟腎炎急性増悪2例) の延べ14症例 (12例) を対象に原則としてCeftazidime 1回1gを1日2回, 5~14日間one shot静注投与しその臨床効果をみた。
    結果は呼吸器感染症5例では, 有効2例 (S.aureus+P.aeruginosa, Pseudomonas sp.各1例), 無効3例 (P.mirabilis, E.agglomerans, 原因菌不明各1例), 尿路感染症9例では, 急性腎孟腎炎3例 (P.aeruginosa, Pseudomnas sp., P.vulgaris各1例) 急性膀胱炎3例 (S.marcescens2例, E.coli 1例) 計6例が有効, やや有効2例 (P.aeruginosa+Enterobacterの急性腎孟腎炎, S.marcescensの慢性腎孟腎炎急性増悪) であり, 14例全体での有効率は57.1%であった。
    副作用は慢性気管支炎急性増悪1例で本剤投与2日目に躯幹に紅斑が出現, 本剤投与は中止せず軟膏薬塗布にて4日後に軽快したが本剤の関与が疑われた。また本剤投与前後における臨床検査値で本剤によると思われる異常値は認めなかった。
  • 伊藤 章, 進藤 邦彦, 福島 孝吉, 神永 陽一郎, 佐藤 芳美, 崎山 典子
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 331-338
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ, SN401) を基礎的臨床的に応用し, 次の結果が得られた。
    1.臨床分離株に対する感受性は, S, mamscens, P.aeruginosa, P. cspaeia, Acinetobacterではcephern系抗生剤の中では, 最も優れた抗菌力を示した。E.coli, K.pneumoniaeでは, CTX, CZX, T-1982と同等で, やはり最も優れた抗菌力を示すグループであった。
    2.呼吸器感染症6例, 尿路感染症2例, 敗血症2例, 胆のう炎1例, 計11例に本剤を投与し, 10例で効果の判定をした結果, 有効6例, やや有効1例, 無効3例で, 有効率60.0%であった。
    3.細菌学的には, 4例より菌が検出され, 不変1例, 不明3例であった。
    4.発疹GOT・GPT上昇が各1例ずつで認められたが, いずれも軽度であった。
    5.症例を選択して本剤を用いれば, 今後, より有用な抗生剤となり得るであろう。
  • 松本 文夫, 山本 勝, 高橋 孝行, 杉浦 英五郎, 田浦 勇二, 平林 哲郎, 森田 雅之
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 339-343
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新cephem系抗生剤Ceftazidime (CAZ, SN401) について抗菌九吸収, 排泄, 臨床効果を検討したところ, 以下のごとき成績を得た。
    1) 抗菌力;臨床分離S. aureus, E.coli, K.pneumoniae, P.mirabilis およびP.aeruginosaに対する本剤のMICはそれぞれ12.5, 0.2, 0.2, 0.1, 3.13μg/mlにピークを示し, S.aureusにおいて抗菌力が劣る傾向が認められた。
    2) 吸収, 排泄: 臨床使用例のうち腎機能が正常な2名を対象に本剤1.0g1時間点滴静注したときの血中濃度は, 点滴終了時82.6~88.6μg/mlに達し, その後は急速に減少して, 8時間後には2.8~3.6μg/mlの濃度を示した。本剤の8時間までの尿中回収率は約85%であった。
    3) 臨床成績: 急性腎孟腎炎3例に本剤を使用した。原因菌はいずれもE.coliでそのMICは0.2~0.4μg/mlであった。自覚症状の改善および原因菌の消失などにより臨床効果を判定したが, 全例有効の結果を得た。なお本剤による副作用は認められなかった。
  • 武田 元, 庭山 昌俊, 岩永 守登, 田中 容, 和田 光一, 森本 隆夫, 小林 次雄, 荒川 正昭
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 344-352
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用cephalosporin系抗生荊であるCeftazidimc (CAZ, SN401) は非常に幅広い抗菌スベクトルをもち, 特にグラム陰性菌に対する抗菌力は優れ, Pseudomenas aeruginosaその他のブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌, Sarratiaなどに強い抗菌作用を示す。
    CAZは静脈内投与により高い血中濃度が得られ, 血中半減期は90~100分くらいである。また, 体内で代謝を受けずに大部分が尿中に排泄され, 投与後6時間までの尿中回収率は約85%である。
    私どもは呼吸器感染症17例, 20件, 敗血症4例, その他4例, 5件, 総計25例, 29件の細菌感染症やその疑いのある症例にCAZを投与し, 著効3, 有効20, やや有効3, 無効1, 判定不能2件という非常に優れた臨床効果を得た。また, 原因と思われる細菌を分離した10例, 11件の細菌学的効果は, 消失8, 減少1, 菌交代1, 不変1とやはり優れた結果が得られた。副作用として発疹1例, 発熱を伴う肝機能障害1例を認めたのみで, 残りの23例にはアレルギー反応などのN作用やCAZによると思われる検査値の異常を全く認めなかった。
    分離菌のMICは6菌種 (Haemophilus innfluenaae, Klebsiella pneumoniae, Aeromonas hydrophila, Pseudemonas aeruginosa, Proteus morganii, Enterobacter aerogenes) 7株について測定し, E.aerogenesを除いて, 106/ml接種で0.1~1.56μg/mlと低値を示した。
    血中濃度は4例, 喀痰中移行は2例において測定され, いずれも充分な治療効果を期待できる成績が得られた。
  • 青木 信樹, 関根 理, 薄田 芳丸, 湯浅 保子, 若林 伸人, 林 静一, 新田 功, 渡辺 京子
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 353-359
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症20例, 尿路感染症1例, 計21例の感染症例にCeftazidime (CAZ, SN401) を使用した。
    対象は29~82歳の男性12例, 女性9例で, 腎機能正常例では1ないし2g, 1日2回, 腎不全例では1g1日1回を原則とし, 全例経静脈的に使用した。
    臨床効果は著効4, 有効14, やや有効2, 無効1であった。
    副作用は臨床的なものは特に認めず, 検査成績上, トランスアミナーゼの上昇が5例, 白血球減少が2例, 好酸球増多が1例にみられたが, いずれも軽度なもので, 使用終了後速やかに改善しており, 重篤なものは認めなかった。
  • 山作 房之輔, 鈴木 康稔
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 360-365
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    4名の健康成人志願者にCeftazidime (CAZ, SN401) 1gを持続注入器を用いて定速度で1時間かけて静脈内に注入し, 血清中, 尿中濃度をbioassayとHPLCで測定した。血清中濃度はHPLC測定値がbioassay値より高い傾向にあり, 相関係数は0.992であったが, 回帰式はy=0,798x+1.19であった。尿では, 双方の測定値は近似で, y=0.994x-0.0268, 相関係数は0.984であった。注入終了時の平均最高血清中濃度はbioassay 61.2μg/ml, HPLC 77.0μg/ml, 8時間後には各々1.15, 1.17μg/mlで, T1/2 (β) はbioassay 1.54時間, HPLC 1.42時間であつた。8時間後までの平均尿中回収率はbioassay 77, 4%, HPLC 80.5%であった。
    9名の感染症息者にCAZを使用し, 結核性腹膜炎の1例を除く8例で効果を判定し得た。尿路感染症の5例および尿路感染に合併した敗血症1例は全て糖尿病, あるいは脳梗塞後遺症の基礎疾患を有しており, E.coliによる敗血症例は著効, 尿路感染症2例は有効, E. coliKlebsiettaの複数菌感染の1例も有効, P. aeruginosaによる2例はやや有効であった。その他の2例はP.aeruginosaによる肺気腫2次感染の1例が有効, 胆石を有する胆道感染症の1例も有効であった。1日使用量は2g7例, 1g2例で, 何れも2分割投与したが, 副作用としては1例に発熱を認めた。臨床検査値異常は認められなかった。
  • 大山 馨, 清水 隆作
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 366-372
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephem系抗生物質であるCeftazidime (CAZ, SN401) について, 臨床分離株に対する抗菌力と, 16例の呼吸器感染症ならびに1例の尿路感染症に本剤の投与を行なって次のような結果を得た。
    1. 抗菌力: 臨床材料から分離したS. aureus, E. coli, K. pneumoniae, Enterobacter, S. marcescens, ProteusおよびP. aeruginosa計156株についてCAZの抗菌力を, Cefoperazone (CPZ), Cefotaxime (CTX), Cefmenoxime (CMX) およびGentamicin (GM) のそれと比較したところ, 本剤はS. aureus, E. coli, K. pneumoniae, Enterobacter, S. maruscensおよびProteusに対して, CTX, CMXとほぼ同等の成績を示したが, P. aeruginosaに対しては, CTX, CMXはもちろんCPZより優れた抗菌力を示し, GMとほぼ同等の成績が得られた。
    2. 臨床成績: 本剤を16例の呼吸器感染症と1例の尿路感染症に投与したが, 呼吸器感染症は16例中14例 (87.5%) に有効以上の成績が得られ, また1例の尿路感染症にも有効の成績が得られた。
    3. 副作用: 副作用としては特にみるべきものはなかった。
  • 岡本 緩子, 前原 敬悟, 米津 精文, 間瀬 勘史, 牧野 純子, 安永 幸二郎, 上田 良弘, 大久保 滉
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 373-384
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    英国のGlaxo社で新しく開発されたCeftazidime (CAZ, SN401) は7位の側鎖にaminothiazolyl carboxypropyl oxyimxno基. 3位の側鎖にpyridineを導入した新しいcephalospolin系の抗生剤で, その抗菌力の広さ, 血中濃度の持続などにより有望な抗生物質とされている。これにつき基礎的, 臨床的検討を行なった。
    抗菌力では, Staphylococcus aureusにはCXM, CMZあるいはCEZより劣る。ただし, グラム陰性桿菌のEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteusなどに対しては, CMZ, CXM, CEZよりも優れたMICを示すだけでなくPseudomonas aeruganosaではCTXより優れ, CFSと同等ぐらいの抗菌力をもち, さらにSerratia marcescensにも良いMICを示した。
    臨床症例に1日2~49のCAZを点滴静注し, 肺癌あるいは気管支喘息に併発した感染には無効, 菌交代した胆嚢炎にはやや有効, 他の腸チフス, 肺炎, 腎周囲炎には著効であった。副作用として1例に薬熱を認めた。
  • 三木 文雄, 高松 健次, 河野 雅和, 別府 敬三
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 385-390
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    英国グラクン社で開発された新セフェム系抗生剤Ceftazidime (CAZ, SN401) について, 臨床分離菌の感受性を測定するとともに, 10例の感染症症例に投与し, 有効性と安全性を検討した結果, 以下の成績を得た。
    1) 臨床分離菌のCAZに対する感受性分布のピークは, 接種菌量106CFU/mlの場合, S. aureusでは12.5μg/ml, E. coliでは0.2μg/ml, K. pneumoniaeでは0.2μg/ml, P. mirabilisでは0.025μg/ml以下, P. vulgarisでは0.025μg/ml以下, P. aeruginosaでは1.56μg/mlにそれぞれ認められた。Proteus sp. およびP. aeruginosaに対するCAZの抗菌力は接種菌量の影響が認められ, 108CFU/mlの接種菌量では抗菌力の低下が認められた。
    2) 敗血症1例, 肺炎2例, 肺化膿症1例, 肺癌二次感染3例, 感染を伴った慢性閉塞性肺疾患1例, びまん性汎細気管支炎1例, 肺結核1例, 計10例にCAZを1日2~4g投与し, 肺結核を除いた9例中著効2例, 有効4例, やや有効2例, 判定不能1例の臨床効果を認めた。副作用は全例において認あられなかった。
  • 二木 芳人, 渡辺 正俊, 中浜 力, 川西 正泰, 松島 敏春, 副島 林造
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 391-398
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい注射用cephalosporin系抗生剤であるCeftazidime (CAZ, SN401) について基礎的・臨床的検討を行なった。
    各種臨床分離株に対する本剤の抗菌力を測定し, Cefotiam (CTM), Cefmetazole (CMZ) のそれと比較した。S. aureusrc対してはCTM, CMZに劣る結果であったが, E, coli, K. pneumoniae, P. mirabilis, Indole positivo Protms, S. marcescensに対しては, いずれも0.05~0.18μg/mlにMICのピークを認めCTM, CMZより数段階優れた成績を示した。H. influenzaeに対する抗菌力はβ-lactamase産生株も含めて全株0.39μg/ml以下で発育を阻止した。P. aeruginoaa, P. cepacia, Acixetobacterなどブドウ糖非発酵菌についても, 本剤のMICのピークは各々6.25, 1.56. 3.13μg/mlであり, 優れた抗菌活性を認めた。
    本剤1.0g1時間かけて点滴静注後の最高血中濃度は平均68μg/mlであり8時間後までの尿中排泄率は平均91.2%であった。
    臨床観察例は呼吸器感染症31例, 尿路感染症1例を対象に1日1~3g, 2~37日間使用した結果, 効果判定可能の28例中, 著効4, 有効16, やや有効4, 無効4例であった。1例で軽度の発疹を認めた以外, 副作用や検査値の異常は認められず, 有用性の高い薬剤であると考えられた。
  • 栗村 統, 佐々木 英夫, 荒谷 義彦, 金藤 英二, 村井 知也, 野崎 公敏, 小坂 勤, 丸山 泰助, 竹本 親生, 森藤 明, 谷川 ...
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 399-406
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    臨床分離グラム陽性球菌ならびにグラム陰性桿菌に対するCAZの抗菌力を, CEZ, CPZおよびCTXと比較検討した。PseudomonasについてはCFSも加えて検討した。
    S. aureusに対しては, CAZは他の3剤に比べて抗菌力は弱かった。α-Streptococcusに対しては, CAZはCEZおよびCPZとほぼ同じ抗菌力を示したが, CTXよりは弱かった。
    E. coli, Shigella, Salmonella, K. Pneumoniae, CitrobacterおよびEnterobacterに対してCAZは, CPZおよびCTXと同様強い抗菌力を示した。Serratiaに対しては, CAZが最も優れていた。Proteusに対する抗菌力は, CTXよりも劣ったが, そのMICは0.05μg/mlから0.78μg/mlに分布した。P. aeruginosaおよびP. cepaciarc対しては, CAZの抗菌力はCFSよりも優れていた。
    CAZを呼吸器感染症5例, 尿路感染症2例および亜急性細菌性心内膜炎1例, 計8例に投与した。著効1例, 有効6例, 無効1例であった。無効例はS. pneumoniaeによる大葉性肺炎の例である。
    副作用としてはtransaminase値の上昇を伴って, 全身に癌痒性の発疹が出現した例が1例みられた。
  • 後東 俊博, 滝下 佳寛, 島田 久夫, 上田 聰一郎, 田村 正和, 中川 勝, 螺良 英郎, 森岡 茂治
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 407-412
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    内科領域で経験した感染症例19例にCeftazidime (CAZ, SN401) を経静脈内投与し, その臨床効果, 細菌学的効果および副作用, 臨床検査値に及ぼす影響について検討し以下の成績を得た。
    1. 臨床的効果; 呼吸器感染症14例 (気管支肺炎10例, 慢性気管支炎2例, 急性気管支炎1例, 肺化膿症1例) および敗血症が疑われた症例2例の計16例が効果判定の対象となった。総合臨床効果判定の結果, 気管支肺炎10例では著効3, 有効4, 無効3であり気管支肺炎に対する有効率は70%であった。また急性, 慢性気管支炎の3例はいずれも有効, 肺化膿症の1例は著効と判定され, 呼吸器感染症全体での本剤の有効率は11/14 (79%) であった。敗血症疑い例の2例では有効1, 無効1であり全症例での有効率は12/16 (75%) であった。
    2. 細菌学的効果; 検出菌核して最も多かったP. aeruginosa 6株中では消失1, 減少3, 不変2, S. aureus 4株中では消失2, 減少1, 不変1であり, 各々1株ずつ検出されたH. influenzae, Citrobacter, E. coli, K. pneumontaeはすべて消失した。
    3. 副作用および検査値異常; 1例に発疹, 好酸球増多が出現し, 他の2例に軽度のGPT上昇を認めた。これらを合わせたものの出現率は3/19 (16%) であったが, いずれも軽度であり, 薬剤投与終了後速かに正常に復した。
    4. 本剤は, 重篤な基礎疾患を有する症例に合併した気管支肺炎例を中心とした検討で75%の優れた有効性を示し, 細菌学的には, 緑膿菌を含むグラム陰性桿菌に対する除菌が優れており, 副作用の少ない安全な薬剤であることが示唆された。
  • 沢江 義郎, 岡田 薫, 熊谷 幸雄, 柳瀬 敏幸
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 413-419
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用cephalosporin系抗生物質であるCeftazidime (CAZ, SN401) について, 基礎的・臨床的検討を行なった。
    臨床分離菌に対するCAZの抗菌力を日本化学療法学会標準法によるMIC値でみたところ, 12.5, μg/ml以下の占める割合はS. aureus 85%, S. faecalis 15%, E. coli 96%, K. Pneumoniae 93%, Enterobacter sp. 85%, S. marcescens 82%, Proteus sp. 89%, P. aeruginosa 92%であり, S. mgrcescens, P. aeruginosa以外の腸内細菌では, その大部分が1.56μg/ml以下で, 広いスペクトラムと優れた抗菌力をもっていた。
    敗血症2例と急性咽頭炎, 慢性気管支炎, 急性腎孟腎炎, 急性膀胱炎の各1例, 計6例に, CAZの1日2~49を2~3回に分けて5~22日間使用したところ, 著効2例, 有効2例, やや有効2例であった。また, 起炎菌と考えられたE. coli, K. pneumoniae, P. aeruginesa, P. maltophiliaは, 明確でない1例を除いていずれも消失した。副作用としては何ら認められなかった。検査成績にて1例にAl-P上昇がみられたが, CAZとの関連は明らかでなかった。
  • 木原 廣美, 小山田 正孝, 長野 準
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 420-422
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    入院中の呼吸器感染症の患者5例に対してCeftazidime (CAZ, SN401) を使用し, 以下の臨床成績を得た。患者の内駅は, 肺炎2例, びまん性汎細気管支炎2例, 急性気管支炎1例であった。本剤を1回0.5~1.0g 1日2回を静注で投与した。投与日数は3~25日であった。
    臨床効果は, 全5例とも有効で, 有効率は100%であった。副作用は, いずれの症例でも認めず, ほぼ満足すべき効果を認めた。
  • 山口 恵三他
    1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 423-433
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用の新セファロスポリン系抗生剤, Ceftazidime (CAZ, SN401) についての基礎的・臨床的検討を行なった。
    臨床分離株の10菌種324株に対する本剤の抗菌力は, グラム陰性桿菌に対して極めて強く, 比較したCefmetazole (CMZ) よりは遙かに優れ, Ceftizoxime (CZX) とは, E. coli, K. aerogenes, P. mirabilisでやや劣ったものの, その他ではほぼ同等か優れた抗菌力を示した。特にP. aeruginosaではCefoparazone (CPZ) よりも1~2管優れた抗菌活性がみられ, Gentamicin (GM), Cefsulodin (CFS) のそれに匹敵するものであった。S. aureusに対しては, CMZ, CZXに比べて明らかに劣り, 6.25μg/mlにピークが認められた。
    本剤1gの点滴静注を4名に施行し, 血中および喀痰中濃度を測定したが, 点滴終了時の血中濃度は62.5~87μg/mlに分布し, その半減期は平均1.68時間であった。喀痰中濃度は1例を除き, 3例で約2μg/ml以上の移行が認められ, 最高値は4.6μg/mlを示した。
    肺炎8例, 気管支拡張症の急性増悪6例, 慢性気管支炎の急性増悪4例, 陳旧性肺結核に続発した感染1例および器質化肺炎1例の計20例に対する本剤の治験成績は, 著効4, 有効11, やや有効2, 無効2, 判定不能1で有効率は78.9%となり, CAZの呼吸器感染症における有用性が示唆された。
    副作用としては, 発疹, Al-Pの上昇, 白血球数の減少がそれぞれ1例ずつ認められたが, いずれも軽度であった。
feedback
Top