抄録
Ceftazidime (CAZ, SN401) を使用する機会を得たので, 当教室保存臨床分離菌株431株に対してCAZ, CMX, LMOX, CPZ, CMZの106CFU/ml接種におけるMICを測定し, 抗菌力の比較を行なった。ただしP. aeruginosaについてはCMZの代わりにCFSとGMを使用した。その結果よE. coli, K. pneunoniae, P. mirabilis, Indole陽性ProteusにはCMXが最も良く, CAZは2番目の成績であったが, 両剤の間にそれほど大きな差はなかった。P. aeruginosa, S. marcescensでは本剤が最も優れており, E. cloacae, C. freundii, ではCMX, LMOXに次ぐ成績であった。S.epidermidisに対しては最も成績が悪く, S. faecalisに対してもすべて耐性に近い成績であった。
次に本剤1gないし2g/dayを, 主として慢性複雑性尿路感染症患者に投与し, その臨床効果をみた。このうちUTI薬効評価基準に適合する9症例では著効4, 有効4, 無効1例で有効率88.9%と良好な成績であった。また細菌学的効果をみると, 18株中14株77.8%の菌消失率をみた。
P. aeruginosa 6株とS. marcescens 3株のうちP. aeruginosa 1株のみ消失しなかった。これは両菌種に対する本剤の有効性を如実に示しているといえる。なお12例中1例に好酸球増多をみたがそれ以外の副作用は認められなかった。