CHEMOTHERAPY
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Ceftazldimeの安全性に関する研究 (II)
ラットにおける静脈内投与亜急性毒性試験
長谷川 隆司細川 常通野村 章仲吉 洋
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1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 842-863

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抄録
Ceftazidime (CAZ, SN401) 0.1, 0.3, 1.0および2.0g/kgのSD系ラットにおける35日間連統静脈内投与-28日間休薬の亜急性毒性試験を行ない, 以下の結果を得た。
1. 雄の2.0g/kg群に投与直後に検体溶液の大量投与に起因すると思われる一過性の痙攣 (ショック症状) および雌の2.0g/kg群で鎮静が少数例に散発的に観察された。
2. 投与期間中に雄の2.0g/kg群で餌消費量の減少を伴う体重増加の抑制がみられたが, 休薬期間中の同群の餌消費量は対照群と同程度まで増加し, 休薬期間中の体重増加量 (56g) は対照群 (63g) とほぼ同値であった。
3. 投与終了時に網状赤血球比率の上昇 (雌の1.0g/kg以上の群, 雄の2.0g/kg群) およびヘマトクリット値とヘモグロビン量の減少 (雌の1.0g/kg以上の群) がみられたが, 休薬により正常に復した。
4. 投与終了時に雌雄の1.0g/kg以上の群でアルカリフォスファターゼ値の低下および雄の1.0g/kg以上の群と雌の2.0g/kg群で総コレステロール値の増加傾向がみられたが, 休薬により正常に復した。
5. 投与終了時に雄の1.0g/kg以上の群で尿蛋白「陽性」を示す動物が増加し, 休薬終了時にも同様の傾向がみられた。
6. 投与終了時に雌雄の1.0g/kg以上の群で腎臓の黄褐色化および雌雄の0.1g/kg以上の群で盲腸の弛緩拡張がみられ, 休薬終了時にも腎臓の黄褐色化が残存していたが, 盲腸には異常はみられなかった。
7. 投与終了時に雌雄の0.3g/kg以上の群で腎臓, 雌の0.3g/kg以上の群で肝臓および雌雄の投与各群で盲腸の湿重量と相対重量の増加がみられた。休薬終了時にも雌の0.3g/kg以上の群で腎臓, 雌の2, 0g/kg群で肝臓および雌雄の1.0g/kg以上の群で盲腸の湿重量または相対重量の増加がみられた。
8. 投与終了時に雌雄の0.3g/kg以上の群で近位尿細管上皮内に好酸性穎粒の増加および雄の2.0g/kgで近位尿細管上皮の壊死像がみられたが, いずれも休薬により消失した。
9. 微細形態学所見では03g/kg以上の群で近位尿細管上皮細胞に電子密度の高い封入体の増加および1.0g/kg以上の群で肝細胞の糸粒体の異形性とlow density lipoproteinの増加がみられたが, 休薬により回復を示した。
以上の結果から, 本試験における諸症状はいずれも休薬により回復可能な軽微な変化であり。Ceftazidimeの最大無作用量は0.1g/kgと推定される。
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© 社団法人日本化学療法学会
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