CHEMOTHERAPY
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DL-8280の基礎的, 臨床的検討
安達 正則村山 由美子河合 美枝子今高 國夫滝塚 久志中野 昌人岡山 謙一奥井 津二勝 正孝
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1984 年 32 巻 Supplement1 号 p. 193-203

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抄録
DL-8280について基礎的・臨床的検討を行い以下の成績を得た。
1) 抗菌力: 臨床分離のStaphylococcus aureus, Streptococcus faecalisの80% MICはいずれも0.78μg/mlで, Norfloxacin (NFLX) のそれより優れる成績であった。これに対し, グラム陰性菌の80%MICはそれぞれ次の通りであった。Escherichia coli, Klebsilla pnescmoniaeではいずれも0.10μg/ml, Protests 0.20μg/ml, Serratia3.13μg/ml, Citrobacter freundii 0.39μg/mlで, NFLXとほぼ類似する成績でありPipemidic acid (PPA), Amoxicillin (AMPC) に比べはるかに良好な抗菌力を示した。
2) 臨床成績: 本剤を呼吸器感染症23例, 尿路感染症12例, 腸管感染症6例の計41例に使用した。この結果, 著効6例, 有効26例, やや有効ないし無効8例, 判定不能1例であり, 有効率は80%であった。副作用として, 下痢・胃部不快感1例, 食欲不振・口内の苦みを訴えた1例およびめまいの1例, 計3例であった。臨床検査値の異常として, S-GOT, S-GPTの上昇1例, S. GPTの上昇1例, 好酸球増多1例がみられたが, いずれも軽度であった。
以上のことから本剤は呼吸器感染症, 尿路感染症および腸管感染症の治療に優れた効果を示し, 有用性のあることが認められた。
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© 社団法人日本化学療法学会
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