1984 年 32 巻 Supplement2 号 p. 339-352
田辺製薬株式会社で新しく開発されたTA-058はアモキシシリン誘導体で殺菌作用を示す抗菌剤とされているが, これにつき基礎的, 臨床的検討を行った。
抗菌力ではPIPCやAPPCに耐性のS. aureusにやや優れたMICを示した。K. PneumoniaeおよびP.aerugimsaにはPIPC, APPCより劣り, E. coliに対してはPIPC, APPCとほぼ同等, P. mirabilisにはPIPC, CBPCと同等あるいはやや劣る感受性であった。
TA-058 0.5 gを15分間で点滴注入した時の血中濃度は60μg/mlに達し, 1gの点滴静注の尿中排泄回収率は78.8%であった。
7例の肺炎, 急性気管支炎, 汎細気管支炎の各1例, 慢性気管支炎の急性増悪3例に投与し, 起炎菌がCandidaであった1例とH. influenzaeによる汎細気管支炎に無効であった。E. coliによる急性腎孟腎炎には有効を示した。