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恩田 時男, 井上 松久, 三橋 進
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
1-9
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいPenicillin系抗生物質であるTA-058は, ゲラム陽性, グラム陰性菌に対し, 幅広い抗菌スペケトルを有していた, 臨床分離株に対する感受性分布を21菌種1412株を用いて検討した。その結果,
in vitro効果でTA-058は, ゲラム陽性球菌に対しては, ampicillin (ABPC), piperacillin (PIPC), ゲラム陰性桿菌に対しては,
P. mirabilisを除いて, PIPCより劣る成績であった。
殺菌力について, MICとMBCの比較により検討した結果, 両者開に差はほとんど認められなかった。
S. aureus,
E. coli,
P. aeruginosaの増殖曲線に及ぼす影響では, TA-058は, ABPC, PIPCと同程度ないしは, ある菌株に対してはよりすぐれた効果を示した。特に, TA-058は,
S. aureusで4MIC,
E. coliで1MIC,
P. aeruginosaでは1MICで24時間目の菌の再増殖を認めず, 優れた殺菌力を示した。
TA-058は, β-lactamaseのうち, プラスミド支配のpenicillinase (PCase) には不安定であったが, cefuroximase (CXase), cephalosporinase (CSase) には, PCaseと比ぺ安定であった。
マウス感染治療実験において, TA-058は, ABPC, PIPCと同程度ないしは, より優れた治療効果を示した, 中でも,
E. coliに対して, PIPCよりTA-058のMICは高いにもかかわらず,
in vivo効果はPIPCより優る治療効果を示した。
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小酒井 望, 小栗 豊子
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
10-19
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
私どもは1981~1982年に臨床材料から分離された
Streptococcus 2菌種,
Staphptlococcus 2菌種, 腸内細菌5菌種,
Pseudomonas 6菌種,
Acinetobacter 2菌種,
Achromobacter,
Flavobacterium,
B. fragilis groupの合針1, 119株について, TA-058と他ペニシリン剤の抗菌力を比較した。また
B. fragilis greupについてはセフヱム剤とも比較した。
TA-058はほとんどの菌種で, SBPCよりも強いか, 同程度の抗菌力を示した。しかしPIPC, MZPCと比べると, 抗菌力が劣る場合が多かった。
S. agalactiae,
P. putrefaciensを除くナベての菌種で, TA-058に耐性株 (MIC 100μg/ml以上) が認められた。
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五島 瑳智子, 宮崎 修一, 辻 明良, 小川 正俊, 金子 康子, 桑原 章吾
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
20-35
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
アモキシシリンにアスパラギン酸を結合したTA-058の
in vitro抗菌作用を検討した結果, グラム陽性菌, グラム陰性菌の各菌種に対し広い抗菌スペクトルを有し, 特に
S. pyogemes,
S. pneumoniae,
P. mirabilisに対し優れた抗菌力を確認した。
Saureus,
Sfaecalis,
E. coli,
B. fragilisに対する抗菌力も強くPIPCと同様でありた。
K. pneumoniae,
P. incomstans,
P. aeruginosaに対する抗菌力は弱く, また
P. vulgaris,
S. marcescensではほとんどの株が100μg/ml以上に分布していた。
β-lactamaseに対しては, cephalosporinaseに対しては安定であるが, penicillinaseには従来の広域ペニシリン剤同様不安定であった。
E. coli C-11株,
K. pneumoniae No.10株,
P. aeruginosa PI-21株を感染菌とした正常マウス実験感染に対するTA-058の治療効果は, APPCよりやや劣るが, PIPCと同等, CBPC, SBPC, ABPC, AMPCより優れていた。
E. coli C-11株,
P. aeruginosa PI-21株を感染菌としたcyclephosphamide処理マウス実験感染に対するTA-058の治療効果は, CBPC, PIPC, ABPC, CEZより優れていた。
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渡辺 邦友, 磯野 美登利, 青木 誠, 小林 とよ子, 上野 一恵
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
36-46
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
TA-058の嫌気性菌に対する抗菌作用を
in vitroおよび
in vivoで検討した。
TA-058の抗菌スペクトラムは, 広範囲で
B. fragilis,
B. thetoiotaomicron,
B. disiens,
B. bivius,
E. lentumおよび
C. difficileを除く, 供試した全ての菌種の増殖を1, 56μg/mlで抑えた。その抗菌力は, ABPCより弱いが, SBPC, CBPC, TIPCよりはやや強かつた。
B. fragilisの10
8c, f. u./meuseを腹腔内に感染させたマウスに本剤の2mgを1回皮下注射し, 20時間後の肝, 腎内の生菌数を測定した。
感染菌
B. fragilis GAI-0558 (β-lactamase産生株) に対するTA-058のMICは400μg/mlと高度耐性であったが, 本剤2mg/mouse皮下投与後の腎および肝内生菌数は, この試験菌が比較的感受性であったCFX (MIC: 12.5μg/ml) の投与時と同じ程度に減少した。
TA-058は, ABPC, SBPC, CBPCなどのペニシリン剤と異なり, 2mg/mouse6日間投与によりマウス盲腸内に
C. difficileの異常増殖を惹起しなかった。
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西野 武志, 石井 信男, 谷野 輝雄
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
47-66
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しく半合成されたペニシリン系抗生物質TA-058に関する細菌学的評価をCarbenicillin (CBPC), Piperacillin (PIPC) およびApalcillin (APPC) を比較薬として検討し, 以下の成績を得た。
1. TA-058は教室保存のグラム陽性菌, グラム陰性菌群に広い抗菌スペクトラムを有していたが, その抗菌力はCBPCと同等でありPIPCおよびAPPCより劣っていた。
2. 臨床分離株に対する抗菌力について検討したところ
E. coli,
H. influenzae,
P. mirabilisに対して優れた抗菌力を示し,
P. aeruginosaに対してはCBPCと同等か若干劣っていた。
3.
E. coli,
P. aeruginosaに対する殺菌作用を検討した結果,
E. coliの場合, TH-058はMIC以上の濃度で2時間後までは対照ペニシリン剤よりも優れた殺菌作用を示し, とくに薬剤作用時の菌量が高い場合 (約10
8cells/ml) に, TA-058の殺菌作用はPIPCやAPPCよりも優れていた。
P. aeruginosaの場合, 低菌量ではいずれの薬剤も同様であったが, 菌量が高いとTA-058の殺菌力は, CBPCより劣ったがAPPCと同様でPIPCより優れていた。
4. マウス実験的感染症に対する治療効果を
E. coli,
K. pneumoniae,
P. aeruginosaを用いて検討した結果, TA-058はCBPC, PIPCおよびAPPCに比べ非常に優れた治療効果を示し, とくに接種菌量が多い場合CBPC, PIPCおよびAPPCに比べて優れていた。
5. 感染マウスを用い血清および腹水内濃度について検討したところ, TA-058はPIPCに比べ良好な吸収, 分布を示した。
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石井 信男, 西野 武志, 谷野 輝雄
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
67-72
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
E. coli KC-14によるマウス実験的尿路感染症および
K. pneumoniae DT-Sによるマウス実験的呼吸器感染症に対するTA-058の治療効果について, Piperacillin (PIPC) およびCarbenicillin (CBPC) を比較薬として検討を行い, 以下の成績を得た。
1) マウス実験的尿路感染症に対するTA-058の治療効果は, PIPCやCBPCに比べて非常に優れていた。
2) マウス実験的呼吸器感染症に対する治療効果でも, TA-058はPIPCやCBPCに比べて非常に優れていた。
3) マウス実験的呼吸器感染症に於いて, 肺内生菌数の消長について検討を行ったところ, TA-058の除菌効果はPIPCやCBPCに比べて優れていた。
4) マウスを用い, 血中および腎や肺の組織内濃度について検討したところ, TA-058はPIPCやCBPCに比べ血清中および組織内濃度が高く持続性が認められた。
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小林 裕, 春田 恒和, 大倉 完悦, 黒木 茂一
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
73-76
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新半合成広域penicillin剤TA-058について, 臨床分離株感受性および
S. aureus髄膜炎家兎における髄液中移行濃度を検討し, ampicillinと比較した。本剤の
E. coli,
Slalmoneua,
P. mirabilisに対する抗菌力は, ampicillinよりややすぐれていると思われたが, 菌株の半数弱がampicillinに100μg/ml以上の耐性であった
E. coliでは, 本剤にも交差耐性があり, また
S. aureusではampicillinに及ばなかった。
Klebsiella, indole陽性
Protettsでは両剤ともほぼ同等に抗菌力が弱かったが,
Enterobacter,
Citrobacter,
S. marcescensでは6.25μg/ml以下の株が少数,
P. aeruginosaでも25~100μg/mlの株が本剤にのみ認められた。家兎髄膜炎において, 本剤は血中濃度が高いので, 髄液中濃度実測値はampicillinより高かったが, 最高濃度髄液血清比百分率4.84%, 2時間までのAUC髄液血清比百分率10.1%で, ともに既報のampicillinの値に及ばなかった。ただし, 本剤は髄液中濃度T1/2が長く, その髄液血清比とともに, 今までに検討したpeniciilin剤中では最大であった。このことは, 本剤が薬動力学上何らかの特殊性をもつことを示唆しているように考えられる。
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山口 東太郎, 松下 忠弘, 春日 修, 香山 恵子, 前澤 功, 石井 信男
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
77-89
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しい半合成ペニシリンTA-058の
in vitro抗菌試験を行い, 以下の成績を得た。
1) TA-058は, ABPC類似の広範囲な抗菌スペクトルを示し, さらに
P. aeruginosaに対してSBPCと同等の抗菌力を示した。
2) 臨床分離の
E. coli,
P. mirabilisおよび
H. influenzaeに対して, TA-058は対照薬剤より優れた抗菌力を示した。
3) 抗菌力に及ぼす各種因子の影響を常法により検討したが, ほとんど影響はなく,
P. aeruginosaに対するMICが接種菌量の低下に伴って低くなったのみであった。
4) TA-058は,
S. aureus,
E. coliおよび
P. aeruginosaに対してABPCおよびSBPCと同様に殺菌的に作用した。また,
E. coli NIHJ JC-2に対してTA-058の12.5μg/ml以上の作用で溶菌像が観察された。
5) TA-058は, グラム陰性桿菌のpenicillinaseによりABPCと同様加水分解をうけた。
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谷 佳都, 早坂 治男, 石井 信男, 春日 修, 山口 東太郎, 大島 慧
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
90-98
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
注射用合成ペニシリンTA-058の広範囲な
in vitro抗菌スペクトルがマウスを用いた実験的感染症に反映されるかどうかをABPC, AMPC, SBPC, CBPCおよびPIPCを対照として比較検討した。マウス実験的腹腔内感染におけるTA-058の治療効果はグラム陽性菌感染に対してはABPC, AMPCより劣ったが, 広域ペニシリンのCBPCに比べるとすぐれていた。グラム陰性菌に対しては広範囲の菌種に有効であり, 対照薬剤と同等もしくはややすぐれた効果を示した。また, TA-058は
S. aureusおよび
S. hemolyticusによるマウス実験的皮下感染に対してABPCよりすぐれた膿瘍形成抑制効果を示し,
K. PneumoniaeB-54によるマウス実験的肺感染や
P. mirabilisおよび
E. coliによるマウス実験的上行性尿路感染においてもPIPCやCBPCより顕著にすぐれた治療効果を示した。
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I. 微生物学的定量法
谷 佳都, 前澤 功, 佐久間 由光, 石井 信男, 吉田 弘嗣, 山口 東太郎, 市川 元一, 伊藤 道久, 江原 俊子, 井上 雅資, ...
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
99-111
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
TA-058の体液内濃度は
E. coli ATCC 27166,
M. luteus ATCC9341および
B. subtilisATCC6633を検定菌とした薄層カップ法, 薄層ディスク法およびアガーウェル法で測定可能であり, 試料の濃度および量などの条件に応じて最適なものを選んで使うことが出来る。測定培地をpH6.0に調整すると, 鮮明で大きな阻止円が得られ, 測定感度は高い方からカップ法, アガーウェル法そしてディスク法の順であった。
TA-058をヒトまたは各種動物の血清および胆汁で溶解して測定すると阻止円径がM/15リン酸緩衝液 (pH7.0) を用いた場合より小さくなったが, 試料をリン酸緩衝液で5倍以上に希釈すればそれらの影響は消失するのでリン酸緩衝液で作成した検量線を標準として濃度を求めることが出来た。またこれらのTA-058試料は採取後すみやかに測定する事が望ましく, 冷蔵庫保存 (5℃) では1日目から活性が低下した。しかし, 冷凍庫保存 (-20℃) すれば少なくとも7日間は安定であった。ヒト尿中のTA-058は安定であり, バイオアッセイによる測定に影響しないので, リン酸緩衝液の検量線より濃度を求める事が出来た。
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II. 高速液体クロマトグラフ法
柳田 正, 小島 幸雄, 山崎 一矢, 大良 勇, 石川 勉
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
112-118
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
TA-058の高速液体クロマトグラフ法 (HPLC法) による体液内濃度測定法ならびに胆汁中での安定性について検討した。
血清, 尿および胆汁試料中TA-058濃度測定のために設定した各HPLC法においてTA-058と生体ブランクは充分に分離し, それぞれ良好な検重線が得られた。これらの体液を用いTA-058の添加回収実験を行った結果96~103%の回収率が得られた。
TA-058投与後のヒト血清, 尿および胆汁試料についてHPLC法およびパイオアッセイ法で測定した結果, 両測定法間に高い相関関係が認められた。
TA-058はヒト胆汁中において-20℃ 凍結保存では少なくとも7H間は安定であった。
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山口 東太郎, 前澤 功, 吉田 弘嗣, 谷 佳都, 佐久間 由光, 恩田 時男, 石井 信男, 大島 慧, 仁田 修治, 村田 一夫, 溝 ...
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
119-132
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
A-058をマウス, ラット, ウサギおよびイヌに静脈内および筋肉内投与し, 血清中濃度, 臓器内濃度, 胆汁中および尿中排泄の推移を調べ, ABPC, CBPCおよびPIPCと比較した。TA-058の血清中濃度はイヌがもっとも高く, 次いでウサギ, ラット, マウスの順であり, いずれの動物においても対照薬剤より高い血清中濃度を示し, 生物学的半減期 (T1/2 (β)) およびAUCから, TA-058はいずれの対照薬剤よりも持続性に優れていることが明らかであった。また, TA-058の主要臓器への移行は速やかで, マウスでは肝および腎, ラットでは腎が血清中濃度より高い濃度を示した。TA-058は主として尿中に排泄され, 各動物で投与量の60~80%が24時間以内に回収された。胆汁中排泄は, ラットでは投与量の18.8%, ウサギでは13.6%であった。尿, 胆汁を合わせると, 投与量のほとんどが24時間以内に体外に排泄された。体液中の抗菌活性物質は, すべて未変化のTA-058であった。TA-058の血清蛋白質に対する結合率は低く, 3.8~27.1%であった。
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高橋 忠男, 仲村 進, 本田 正一, 針谷 祥一, 吉田 弘嗣, 佐久間 由光
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
133-151
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
3Hまたは
14C-TA-058筋注および静注時のマウス, ラットにおける体内動態を検酎し, 以下の結果を得た。
1)
3H-TA-058 (20mg/kg) 筋注後の血漿中放射能濃度の半減期はマウスで17分, ラットでは18分であった。
マウス, ラットとも組織内の放射能濃度は投与後15分に最高値を示し, 腎, 肝, 肺, 血漿などは高く, 脳は最も低かった。
14C-TA-058 (20mg/kg) 筋注時のラット組織内放射能分布は,
3H-TA-058筋注時のそれとほぼ類似していた。
2)
14C-TA-058 (20mg/kg) 静注時のラット組織内放射能分布の推移は, 筋注時とほぼ同様の結果が得られた。
3)
14C-TA-058静注後のマウスとラットの全身オートラジオゲラム (ARGM) では, 腎, 肝, 肺などの他, 皮下結合組織, 口腔および鼻腔粘膜にも高い濃度で放射能の分布が見られた。また, 全身ARGMで分布における雌雄差は認められなかった。
4)
3H-TA-058 (20mg/kg) をマウスおよびラットに筋注したとき, 72時間までの尿中に投与量の83および72%, 糞中には15および24%の放射能が排泄された。尿中放射能の大半はいずれも投与後4時間までに排泄された。
Bioassayによる排泄率は, 尿ではマウス, ラットともradioassayとほぼ一致したが, 糞では一致せず, 両者とも抗菌活性は認められなかった。
5)
14C-TA-058 (20mg/kg) をラットに静注または筋注したとき, 投与後72時間までの尿および糞中放射能排泄率は, それぞれ投与量の約70%および約28%であった。また, 尿, 糞中排泄率に雌雄差は認められなかった。
一方,
14C-TA-058筋注後24時間までのラット胆汁中放射能排泄率は投与量の約30%であり, 呼気中
14CO
2排泄率は僅か0.05%に過ぎなかった。6)
14C-TA--058筋注後6時間までのラット尿および胆汁中に排泄された未変化体, TA-058のpenicilloicacidおよびdimerの割合は, 尿ではそれぞれ94, 6, 2.1, 1.5%, 胆汁では82.1, 4.9および2.5%であった。
7) 妊娠後期のラットに
14C-TA-058を筋注したとき, 投与後60分で極めて微量の放射能が胎仔にみられたが, 投与後8時間では検出限界以下の濃度となった。
8) 分娩後6日目の母獣ラットに
14C-TA-058を筋注し, 6時間授乳時の乳汁移行性を検討したところ, 乳仔の胃内乳塊と腸内に母獣投与量の0.013%の放射能が移行した。しかし, 乳仔の肝, 肺, 腎などに放射能は検出されなかった。
9)
14C-TA-058 (50mg/kg/day) を6日間ラットに反復投与したとき, 組織内の放射能濃度は最終回投与後24時間で単回投与と比べて1.1~2倍程度にすぎず, 組織内に蓄積する傾向は認められなかった。
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吉田 弘嗣, 香山 恵子, 谷 佳都, 山口 東太郎
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
152-157
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
TA-058について, アミノ配糖体系抗生物質 (AGs) との併用効果を検討した。
1)
S. aureus 209-P JC-1および
E. coli NIHJ JC-2は, TA-058にもAGsにも感受性であったが, 相加又は弱い相乗効果しか認められなかつた。
2) TA-058あるいはAGsに必ずしも感受性の高くなかった
S.marcescens, Proteusおよび
P. aeruginosaに対して相乗効果が認められた。
3) 臨床分離の
P. aeruginosa 20株のうち16株 (80%) にTA-058とAGsの相乗効果を認めた。
4) 臨床分離の
P.aeruginosaに対する相乗効果はTA-058とGMの併用が最も強く, 次いでTOB, DKB, AMKの順であった。
4) 臨床分離の
P. aeruginosaに対する相乗効果はTA-058とGMの併用が最も強く, 次いでTOB, DKB, AMKの順であった。
5) 緑膿菌感染マウスに対してTA-058とAMKを併用したところ
in vitroの成績と同様に強い相乗効果を認めた。
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谷 佳都, 遠藤 幸夫, 山口 東太郎, 藤居 美智子, 高橋 忠男
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
158-165
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
E. coli KC-14RFPrを腹腔内に接種したマウスの全身オートパクテリオグラムにおいて, 感染菌は接種後腹腔内で急激に増加し, 血液中でもそれに伴って増加し, 14時間以降にはマウス全身に分布した。一方,
P. aeruginosa No.12腹腔内に接種したマウスの場合は, 腹腔内における感染菌の増加に長いlag timeがあって, 8時間後から徐々に増加したものの, 死亡直前のマウスでも感染菌は全身に分布することなく, 血液中の生菌数は10
4cells/ml以下にとどまった。
E. coli 1346 RFPr,
E. coli KC-14RFPrおよび
P. aeruginosa No.12をそれぞれ感染させたマウスにTA-058および各種の薬剤を菌接種1時間後に投与し, 20~24時間後に全身オートバクテリオグラムを作成し
in vivo抗菌効果を比較した。その結果, 各薬剤の投与量に対応したマウス体内の菌分布密度が観察され, それぞれの薬剤のED
50値をよく反映し, TA-058が
in vivoですぐれた抗菌作用を示すことが裏づけられた。
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前澤 功, 松下 忠弘, 春日 修, 佐久間 由光, 吉田 弘嗣, 恩田 時男, 山口 東太郎
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
166-170
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
TA-058を腹腔内に連日投与したラットの腸内細菌叢の変化を亜急性毒性試験終了時に調査し, さらに細菌叢の経日変化を調べたところ, TA-058に感受性の
Streptecoccus faecaltsグループ
Staphylecocciおよび
Escherichia coliは減少し,
Enterobacteriaceaeの中でTA-058に非感受性な
Klebsiella sp.およびindole (+)
Proteus sp.が増加した。この菌叢変化はTA-058の投与開始翌日に認められ, TA-058の投与を中止することにより元の状態に回復したが, 回復の状態はTA-058の投与量が多いほど遅れる傾向を示した。
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石田 柳一, 岩澤 義郎
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
171-179
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しい半合成ペニシリンTA-058の一般薬理作用を検討した。
TA-058は, マウス, ラットに1,000mg/kgまでi. v. しても, 筋弛緩, 麻酔増強, 抗痙攣, 鎮静, 鎮痛, 体温低下, 下熱などの中枢作用を示さず, 脳波 (ウサギ, 1,000mg/kg), 脊髄反射電位 (ネコ, 300mg/kg) に影響をおよぼさなかった。
麻酔ラットにTA-0581,000mg/kg i. v. すると, 血圧上昇, 心拍数増加が認められたが, 20%以下の軽度な変化であった。麻酔犬に300mg/kg i.v.しても, 血圧, 心拍数, 腎血流量に変化は認められなかったが, 呼吸数, 大腿動脈, 総頸動脈血流量の軽度, 一過性の増加が観察されたが, これらの変化は投与薬液の浸透圧が高かった (約1, 500 mOsm) ために生じたものであることが示された。TA-058を1,000mg/kg 1回, または300mg/kg/day 8日間, いずれもs.c.すると, 5時間尿中のNa, Cl排泄量が軽度ながら有意に低下した。連続投与期間中, 体重曲線に変化は認められず, 慢性毒性試験などでも腎障害は認められていないので, 重篤な副作用とは考えられない。1,000mg/kgで胃液分泌量, 遊離塩酸濃度が軽度低下した以外, 消化器系に対して作用せず, 消炎作用, 局所麻酔作用, 抗Ach, 抗ヒスタミン (H
1, H
2), 節遮断, α 遮断, パパベリン様などの作用も示さなかった。
以上, TA-058の一般薬理作用を検討した結果, 特に注目すべき作用は見い出されなかった。
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斎藤 玲, 加藤 康道, 石川 清文, 小田柿 栄之輔, 篠原 正英, 富沢 磨須美, 中山 一朗, 佐藤 清
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
180-190
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいpenicillin系抗生物質TA-058について抗菌力, 体内動態および臨床効果について検討した。抗菌力は臨床分離の
S. aureus, E. coli, P. aeruginosaの60株,
P. mirabllis, P. morganiiの各20株について10
6cells/ml接種でMICを測定した。MICのピークは
S. aureusでは12.5μg/ml,
E. coliでは3.13μg/ml,
P. mirabilisでは0.78μg/ml,
P.morgantiでは3.13μg/ml,
P. aeruginosaでは1, 56μg/mlで優れた抗菌力を示した。体内動態は2g静注を行った時の血中濃度と尿中排泄について, 6名の健康成人男子で検討した。血中濃度は静注5分後の平均値が263.3μg/mlであった。以後漸減して6時間では4.4μg/mlの濃度を示し, T/1/2 (β) は1.62時間であった。尿中排泄率は6時間までで76.1%の良好な排泄率であった。本試験において臨床生化学的諸検査を施行したが異常所見がなく, 忍容性が認められた。内科的感染症24例に本剤1回1~2gを1日2回点滴静注し, 5~15日間の投与で臨床効果を検討した。著効11例, 有効7例, やや有効3例, 無効3例で有効率75.0%を示した。副作用は1例に下痢が出現したが, 臨床検査値には特別な異常は認められなかった。
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武部 和夫, 工藤 幹彦, 熊坂 義裕, 中畑 久, 牧野 勲, 近江 忠尚, 高橋 修一, 吉田 秀一郎, 岡本 勝博, 村上 誠一, 盛 ...
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
191-195
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいpenicillin系抗生物質, TA-058の臨床効果を肺炎5例, 急性気管支炎3例, 慢性気管支炎の急性増悪1例, 肺化膿症1例, PAP2例, マイコプラズマ肺炎2例, 急性膀胱炎1例, 急性腎盂腎炎1例, 慢性腎盂腎炎1例を含む17例で検討した。
結果はPAP, マイコプラズマ肺炎を除いた13例の有効率は100%, PAP, マイコプラズマ肺炎を入れると88%の有効率であった。
副作用としては, 本剤静注時に熱感を訴えたものが1例認められた。臨床検査値異常としては, 血清GOT, GPTの軽度上昇1例, 好酸球軽度増多が1例にみられた。
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伊藤 隆司, 山内 文俊, 鈴木 康之, 松井 美紀夫, 北沢 俊一, 田村 昌士, 佐藤 信久, 倉光 宏, 守屋 克良, 五味 和俊, ...
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
196-202
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいペニシリン系抗生剤であるTA-058について臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
1) 起因菌の明らかな症例で,
S. pneumoniaeの2例と
S. saprophyticusの1例で菌が消失した。
A. calcoaceticusと
S.aureusの1例は不明,
S. virldansの1例は不変,
K. pneumoniaeの1例は患者が死亡したため不明であった。
2) 細菌性肺炎9例に本剤を1回1~2g, 1日2回の投与で, 著効2例有効3例, やや有効2例。無効2例であった。無効のうち1例は後になって肺癌を合併していたことが判明した。髄膜炎の1例に1回2~4g, 1日2回投与し, 有効であった。
3) 細菌性肺炎の2例に肝機能障害が発現したが, 1例は投与中に, 他の1例は投与終了後に, 何ら処置することなく回復した。
髄膜炎の1例では, 本剤の増量中に肝機能障害が発現したが減量により回復した。
4) 食事療法のみでコントロール可能であった糖尿病の4例に対して朝食前に, 本剤2gを生理食塩水20mlに溶解してone shotで静注し, 注射前より注射後2時間まで, 本剤の血中濃度, 血糖, 血清または血漿中のインスリン, グルカゴン, コーチゾールを測定した。本剤の血中濃度は静注後15分で頂値を示し, 30分で頂値の1/2となり以後漸減した。血糖などの検査値に対して, 本剤の影響は認められなかった。
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丹野 恭夫, 井田 士朗, 小西 一樹, 坂本 正寛, 佐藤 清紀, 樋渡 奈奈子, 大野 勲, 西岡 きよ, 佐藤 裕子, 滝島 任
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
203-205
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
H. influenzoeによる呼吸器感染症6例に対し, Amoxicillin誘導体の新抗生物質TA-058を1日2~4g点滴静注し以下の成績を得た。
細菌学的効果は起炎菌消失4例 (67%) で, それらはいずれもβ-lactamase陰性であった。β-lactamase陽性例 (MIC: 25μg/ml) では菌数が> 18
8cfu/mlから10
5cfu/mlに減少した。他の1例 (β-lactamase陰性, MIC: 0, 1μg/ml) は
P. aeruginosaに菌交代した。
臨床的効果は5例で有効, 1例でやや有効であった。
副作用は1例 (1日4g投与) で7日目にGOT, GPTの軽度上昇が認められたが, 投与中止後12日目に正常化した。
以上より, TA-058は
H. infiuenaaeによる呼吸器感染症に有用であることが示唆された。
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渡辺 彰, 大泉 耕太郎, 佐々木 昌子, 青沼 清一, 大沼 菊夫, 今野 淳
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
206-214
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいペニシリン系抗生物質TA-058に関して各種病原細菌に対する
in vitro抗菌力をPiperacillin, Sulbenicillinを対照として比較検酎するとともに, 呼吸器感染症に対する臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討を加えた。
黄色ブドウ球菌に対するTA-058の抗菌力は, PIPCより劣るがSBPCと同等である。大腸菌と肺炎桿菌およびセラチアに対するTA-058の抗菌力は, PIPCより劣るがSBPCより約4倍優れている。β-lactamase産生大腸菌に対するTA-058のMICは大きい値を示し, PIPC, SBPCと同様に, β-lactamaseには不安定であると考えられる。緑膿菌に対するTA-058の抗菌力はPIPC. SBPCより劣っている。
呼吸器感染症9例 (急性肺炎4例, 気管支喘息に合併した気道感染1例, びまん性汎細気管支炎1例, 肺気腫二次感染1例, 肺癌二次感染2例) に対するTA-058の臨床効果は, 著効3例, 有効4例, 無効2例であった。9例中6例から起炎菌としてインフルエンザ菌3株, 黄色ブドウ球菌と肺炎球菌および肺炎桿菌が各々1株の計6株を分離した。TA-058の投与により5株の菌消失が得られたが肺炎桿菌1株は持続した。本剤の投与により, 2 例においてGOTとGPTの上昇がみられたが, 投与終了後に正常化した。
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林 泉, 阿部 達也, 宇野 顕
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
215-218
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
RTI 10例に対するTA-058の治療成績を報告する。
肺炎8例, 慢性気管支炎の急性増悪1例, 急性気管支炎に化膿性扁桃腺炎を合併したもの1例に用い, 著効2例, 有効8例で有効率は100%であった。
臨床分離株に対する細菌学的効果は除菌率87.5%(7/8) であり, やや弱いとされる
Klebsiella sp.4株はいずれも消失した。
S. aureusは菌の減少 (3×10
7 cells/ml→6×10
3 cells/ml) にとどまり,
S. viridansは
K. pneumoniaeに菌交代した。
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伊藤 亜司
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
219-221
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいペニシリン系抗生物質TA-058を呼吸器感染症10例に投与し, その臨床効果及び副作川について検討を行った。対象疾患は, 肺炎6例, 肺化膿症1例, 慢性気管支炎1例, 気管支拡張症1例, び慢性汎細気管支炎1例で, 全例1回291日2回, 5% glucose 100mlに溶解し点滴静注を行った。
TA-058投与による臨床効果は, 有効9例, 無効1例であった。副作用は1例において投与開始後11日目に喘鳴と呼吸困難が見られTA-058によって誘発された気管支喘魁様発作と考えられた。また2例においてトランスアミナーゼの上昇が見られた。
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梅枝 愛郎, 福山 展, 金井 君江, 片貝 重之, 秋谷 寿一, 松尾 英徳, 稲沢 正士, 中沢 次夫, 笛木 隆三, 小林 節雄, 関 ...
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
222-224
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
内科領域感染症10例に対するTA-058の治療成績を報告する。
対象は肺炎9例, 急性腎盂腎炎1例で, TA-058を1日2~4g静注または点滴静注し, 以下の成績を得た。
細菌学的効果は, 起炎菌消失4例で, その内訳は
H.influenzae 2例, 溶連菌1例,
E. coli 1例であった。効果不明例は5例で, 他の1例では溶連菌から
E. cloacaeへの菌交代が認められた。
臨床的効果は, 著効3例, 有効5例, やや有効は2例であった。
副作用は認められなかった。臨床検査では, 1例 (1日4g) で好酸球増多が認められたが, 発熱や皮疹なく, 肝機能障害も認められなかった。
以上より, T A-058は内科領域感染症に有用であることが示唆された。
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青木 信樹, 関根 理, 薄田 芳丸, 湯浅 保子, 武田 元
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
225-229
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
呼吸器感染症12例, 尿路感染症2例, 計14例の感染症例にTA-058を使用した。
対象は29歳~81歳の男性8例, 女性6例で1日2.0ないし4.0gを全例経静脈的に使用し, 期間は3~24日であった。
臨床効果は有効10, 無効4であった。
副作用は臨床的には下痢が1例, 検査成績上, アルカリフォスファターゼの上昇が1例にみられたが, いずれも軽微で使用終了後改善しており, 重篤なものは認められなかった。
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山作 房之輔, 鈴木 康稔
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
230-233
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
TA-058を5例の感染症患者に使用した。
Streptococcus faecalisによる亜急性細菌性心内膜炎例は19, 1日3回の1.5時間点滴療法では完全には解熟せず, 効果不十分のため2g, 3回点滴に倍増し, 解熱, 検査値正常化して有効であった。増量後のTA-058血中濃度は点滴直前が10.8および13.2μg/ml, 点滴終了時の最高濃度は123μg/mlであったeこのほかは1gを1日2回使用し, 肺炎1例はやや有効,
Streptococcus pneumoniaeによる慢性気管支炎急性増悪は有効, 慢性腎盂腎炎急性増悪の2例のうち
Shereptococcus faecalisによる例は有効,
E.coliによる1例はやや有効であった。副作用, 臨床検査値畏常は全例に認めなかった。
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安達 正則, 村山 由美子, 岡野 玲子, 河合 美枝子, 滝塚 久志, 中野 昌人, 岡山 謙一, 奥井 津二, 勝 正孝, 青柳 昭雄, ...
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
234-238
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
TA-058は新しく開発された注射用半合成ペニシリン系抗生剤である。本剤の特長は広い抗菌スペクトラムを有し, 高い血中レベルが得られ, しかも半減期が長いということである。このため
in vivoにおける強い抗菌活性が期待される。
内科領城における各種感染症23例についてTA-058療法の臨床的有用性を検討した。対象は肺炎10例, 肺膿瘍1例, 腎盂腎炎3例, 膀胱炎5例, 胆嚢炎2例, 肛門周囲膿瘍1例, リンパ節炎1例である。TA-058は1日2~49, 点滴瀞注投与した。有効率は肺炎80%, 肺膿瘍100%, 腎盂腎炎100%, 膀胱炎80%, 胆嚢炎。肛門周囲膿瘍, リンパ節炎は全例有効であった。副作用は認めなかった。
TA-058は安全な薬剤であり臨床有用性のある抗生物質であると思われる。
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斉藤 篤, 嶋田 甚五郎, 柴 孝也, 山路 武久, 三枝 幹文, 井原 裕宣, 北条 敏夫, 加地 正伸, 宮原 正, 上田 泰
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
239-252
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいpenicillin系抗生剤のTA-058について, その抗菌力, 吸収・排泄ならびに臨床効果を検討し, 以下の結果を得た。
1) 抗菌力
臨床分離の
E. coli, K. pneumoniae, Enterobacter属,
C. freundiiなどに対するTA-058の抗菌力はABPC, CBPC, TIPCなどと同等か1~2段階優れたが, PIPCよりは多少劣った。
P. mirabilisに対してはこれら4剤に比してかなり強力であったが, indole (+)
Proleus属に} まこれらよりも劣った。
P. aeruginosaに対してはCBPC, TIPCより優れるもののPIPCよりは劣る抗菌力であった。
2) 吸収・排泄
健康成人にTA-058を1,000mg1回静注すると, 5分後に平均94μg/ml, 1時間後に19.3μg/mlの血中濃度が得られ, 以後漸減して8時間後には0.44μg/mlとなった。血中半減期はα相で0.20時間, β相では1, 34時間であった。この際の尿中排泄は注射後2時間で平均3, 523μg/mlの尿中濃度が得られ, 8時間までに投与量の74.3%が尿中に回収された。また, probenecid併用による本剤の吸収・排泄への影響は殆ど認められなかった。
3) 臨床成績
尿路感染症3例にTA-058を使用し, 有効2例, 無効1例の結果が得られた。副作用として特に重大なものは認められなかった。
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国井 乙彦, 小松 喬, 西谷 肇, 小原 博, 三輪 史朗
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
253-260
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
臨床材料から分離した各種グラム陰性桿菌に対するTA-058およびABPC, PIPCのMICを測定した。TA-058の
E. coli (41株) に対するMICは0.8~>200*μg/mlに分布し,
Klebsiella (20株) に対しては1.6~>200*μg/mlに分布し, この両菌種に対してはPIPCより劣り, ABPCとほぼ同等の抗菌力を示した。
P.aeraginosa (21株) に対しては0.2~100μg/mlの範囲に分布し, ABPCより優れているが, PIPCよりは劣る成績であった。
健常成人ボランティア4名に本剤1g点滴静・注時の血中濃度は点滴終了直後に最高で平均53.9μg/mlで, β 相の血中半減期は1.5時間, AUCは90.0μg/ml・hr.であった。これとクロスオーバーしたABPCについてはそれぞれ43.5μg/ml, 1.1時間, 51.6μg/ml・hr.であった。8時間までの尿中回収率は本剤が65.5%, ABPCが67.6%であった。全例において同時に測定した血糖値には異常変動は認められなかった。
臨床的には本剤1gを1日2回点滴静注10日間使用した胆道感染症の例では自・他覚的所見の改善がみられ, やや有効と判定された。副作用としての臨床症状, 検査値異常は認められなかった。
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渡辺 一功, 浜本 恒男, 日比野 順子, 椎名 和彦, 泉 昭, 森 健, 池本 秀雄
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
261-265
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しく田辺製薬株式会社で開発されたアモキシシリンの6位側鎖にN
4-メチル-D-アスパラギンを結合させたペニシリン系抗生剤であるTA-058を呼吸器感染症症例7例に投与し, その臨床効果, 副作用などについて検討した。
対象とした症例は男子6例, 女子1例, 年齢分布は23歳より76歳 (平均年齢58.9歳) におよび, 疾病の内訳は気管支拡張症3例, 気管支喘息, 肺気腫に合併した気道感染症3例, 肺炎1例の計7症例である。投与方法は本剤1.09を生理的食塩水100~250mlに溶解し, 1~2時間にて点滴静注で投与した。投与期間は副作用のため3日で投与中止した症例を除外すると5~14日 (平均9日) で, 総投与量は10~28gである。
臨床効果は副作用のため投与を中止した症例を除いた6例中著効5例, 有効1例であり, 疾患別では気管支拡張症2例中1例が著効, 有効1例, 気管支喘息, 肺気腫に合併した気道感染症は3例ともに著効で, 肺炎の1例も著効であった。細菌学的には2例で
H. influenzaeが除菌できたが, 1例で
Klebsiellaに菌交代がみられた。
副作用は本剤投与による臨床検査値の異常は認めないが, 75歳の気管支拡張症の男子症例に本剤投与3日後に発疹, 好酸球増多を認めたが, これ以外には下痢, 発熱, 嘔気, 嘔吐などの副作用は認めなかった。
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富井 正邦, 本間 光夫
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
266-268
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
TA-058は新しく開発されたアモキシシリン誘導体でグラム陽性菌ばかりでなく, グラム陰性菌に対しても殺菌的に作用する。また, 血清中蛋白結合率が低く, 静注, 点滴静注, 筋注により速やかに高い血中濃度が得られ, 半減期も長いとされる。
今回, TA-058を使用する機会を得たので, 各種感染症における効果および副作用を検討した。
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山岡 澄夫, 山根 至二, 真下 啓明
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
269-271
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
半合成ペニシリン剤であるTA-058を6例に投与し, 臨床的検討を行った。臨床効果の判定は5例に, 副作用については6例に行った。投与法は1回1~2gを1日2回, 点滴静注にて3.5~10日間投与した。肺炎やや有効1例, 急性気管支炎無効1例, 急性胆嚢炎著効1例, 有効1例, 慢性腎盂腎炎やや有効1例であった。副作用は6例ともみとめなかった。症例数は少ないが, 胆道感染症での有用性があると考えられた。
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中川 圭一, 渡辺 健太郎, 小山 優, 山本 敬, 横沢 光博
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
272-280
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
TA-058につき, 臨床分離株の
S. aureus, E. coli, K. pneumoniae, E. cloacae, P. mirabilis, P. vulgaris各25株に対するMICをAMPC, PIPCと比較したところ, TA-058の抗菌力はAMPCとほぼ同様で, PIPCよりも劣っていた。
臨床成績では呼吸器感染症4例に対し, TA-058は著効1, 有効1, やや有効1, 無効1という結果であり, TA-058の投与量により臨床成績に差の出た印象となった。
副作用は, 臨床症状の出現, ならびに本剤投与前後の臨床検査値の変動などは, 認められなかった。
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稲松 孝思, 井熊 克仁, 浦山 京子, 島田 馨
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
281-286
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいpenicillin系抗生物質TA-058の高年齢者における体内動態および高齢者感染症7例に対する治療成績を検討した。
平均年齢78.8歳, 血清クレアチニン値正常な高齢者4名に本剤1gを静注した時の5分後, 8時間後の血中濃度はそれぞれ112.0μg/ml, 5.4μg/mlであった。β相半減期は2, 4時間, 8時間までの尿中回収率は52.3%であった。
肺炎4例, 急性気管支炎1例, 丹毒1例, 尿路感染症1例に本剤1~2g/日, 3~23日間使用し, 著効2例, 有効3例, やや有効1例, 無効1例の成績が得られ, 有効率は71.4%であった。本剤投与に起因すると思われる副作用, 臨床検査値異常は認められなかった。
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中森 祥隆, 吉村 邦彦, 中谷 龍王, 蝶名林 直彦, 立花 昭生, 中田 紘一郎, 谷本 普一, 野沢 京子, 杉 裕子
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
287-291
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しいペニシリン系抗生物質TA-058を呼吸器感染症14例に1回1~29, 1日2回点滴静注し, その臨床効果および副作用を検討した。疾患の内訳は, 下気道感染症8例, 急性肺炎5例, 膿胸1例であった。結果は, 著効2例, 有効10例, やや有効2例で, 有効率85.7%であった。起炎菌別効果では,
H. infiuenzae気道感染症6例では5例に菌消失, 1例は不明であった。
S. pneumonine急性肺炎3例と気道感染症1例では4例全例菌消失をみた。副作用は, 1例にGPT, A1-Pの軽度上昇を認めたが, 投与中止後正常化した。したがって, TA-058は, 呼吸器感染症の治療に有用な抗生物質と考える。
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小林 宏行, 川俣 倫子, 武田 博明, 押谷 浩
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
292-294
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
呼吸器感染症6例 (肺炎3例, 慢性気管支炎3例) について, TA-058 1回1g, 1日2回の静注又は点滴静注による臨床効果を検討した。
症例背景には, 陳旧型慢性気管支炎あるいは肺癌合併等の比較的難治性要因を有している例が多く, 有効例4例, 無効例2例との成績が得られた。
一方, 本剤による副作用とみなされるべき症状, 所見および臨床検査臓異常等はみられなかった。
かかる成績から, 本剤は下気道領城を中心とした呼吸器感染症に有用な薬剤とみなされていたが, 本成績の有効率および安全性の点からも今後, 投与量を増加して検討することも必要かとも考えられた。
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竹田 義彦, 小林 芳夫, 藤森 一平
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
295-300
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
新しく開発されたペニシリン系抗生物質であるTA-058について, その臨床効果を検討した。対象症例は11例で男性6例, 女性5例であり, 年齢は28~84歳, 平均48.7歳であった。疾患別の内訳は肺炎4例, 扁桃炎2例, 急性腎盂腎炎4例, 敗血症1例であった。
投与方法は1回1gを1日2~3回one shot静注にて投与し, 投与目数は3~14日, 総投与量は6~28gであった。
成績は, 臨床的には肺炎4例中, 有効2例, やや有効1例, 無効1例で, 有効率50%であり, 扁桃炎2例では2例とも有効, 急性腎盂腎炎4例では有効3例, やや有効1例であった。敗血症の1例は無効であった。すなわち全症例11例中, 有効7例で有効率63%であった。細菌学的には, 肺炎症例3例についての起炎菌は不明であったが,
E. coliと
P. mirabilisの複数菌感染症1例では無効であった。
副作用としては発疹, 胃腸症状などは認められず, その他の副作用も認められなかった。
臨床検査値に対しては, 症例8でGOT (11→135 IU), GPT (46→213 IU) の上昇が認められた。
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伊藤 章, 進藤 邦彦, 福村 基典, 福島 孝吉, 神永 陽一郎, 佐藤 芳美, 崎山 典子
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
301-307
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
TA-058を臨床的に用い, 以下の結果が得られた。
1) 臨床分離株に対する抗菌力は,
E. coli, S. marcescens, P. aeruginosaに対しては, ABPC, AMPCより優れた抗菌力を示したが,
K.pneumoniaeに対しては, ABPC, AMPCと特に変わりはなかった。
2) 臨床的には, 呼吸器感染症4例, 敗血症1例, 計5例に本剤を投与し, 3例で有効, 2例無効で有効率60.0%であった。
3) 細菌学的には, 消失1例, 菌交代2例, 不明2例であった。
4) 副作用は特に認められず, 本剤によると思われる臨床検査異常値も認められなかった。
5) 本剤の特長を生かして用いれば, 今後とも有用な抗生剤となり得るであろう。
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高木 健三, 山川 育夫, 原 通広, 佐竹 辰夫, 横山 繁樹, 今井 昌利
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
308-313
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
入院中の呼吸器感染症の患者20例に対してTA-058を使用し, 以下の臨床成績を得た。患者の内駅は, 肺炎12例, 気管支炎6例, 気管支拡張症2例で, 基礎疾患として肺結核症, 肺癌などを有するものが5例であった。本剤は1回1~2g, 1日2回を点滴静注にて投薬した。最長投薬日敵は40周で, 最大投薬量は80gであった。
臨床効果は, 著効2例, 有効12例, やや有効1例, 無効4例, 判定不能1例であり, 有効率は73.7%であった。副作用はGPT, Al-Pの軽度上昇を1例に認めたのみで継続投与可能であった。肺結核症, 肺癌などの基礎疾患を有する患者を含むことを考慮すれば満足すべき効果であった。
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加藤 政仁, 北浦 三郎, 南条 邦夫, 加藤 錠一, 吉友 和夫, 山本 素子, 滝沢 正子, 岸本 明比古, 武内 俊彦, 山本 俊幸, ...
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
314-321
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
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TA-058について抗菌力ならびに臨床効果を検討し以下の結果を得た。
1) 抗菌力: 臨床材料から分離した
E. coli, K. pneumoniae, Serratia, P. aeruginosa, Proteus属などのグラム陰性桿菌針136株についてTA-058の抗菌力をPIPCと比較した。
E. coli, Serratia, Proteus属に対してTA-058はPIPCと同等か, やや劣る抗菌力である。また,
K. pneumoniae, P. aeruginesaに対してTA-058はPIPCより2~4管劣る抗菌力である。
2) 臨床成績: 呼吸器感染症18例, 胆道感染症3例, 尿路感染症1例, 不明熱1例の計23例に本剤を使用した。その結果, 著効2例, 有効14例, やや有効3例, 無効3例, 判定不能1例であり, 有効率は72.7%であった。副作用は嘔気およびGPT, ALP上昇1例, GOT, GPT上昇ならびに白血球数減少1例の計2例にみられた。
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大山 馨, 清水 隆作
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
322-328
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
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新しいpenicillin系抗生物質であるTA-058について, 臨床分離株に対する抗菌力と17例の内科系感染症に本剤の投与を行って次のような結果を得た。
1. 抗菌力: 臨床材料から分離した
S. aureus, E. coli, Citrobacter, Klebsiella, Enterobacter, Serratia, Pseudomonasおよび
Proteus計150株についてAmpicillin (ABPC) およびPiperacillin (PIPC) を対象として本剤の抗菌力を比較した。その結果本剤は
P. mirabllisに対してはABPCおよびPIPCより優れていたが, 他の品種に対してはPIPCと同等か, やや劣る成績であった。
2. 臨床成績: 本剤を13例の呼吸器感染症, 1例の敗血症, および3例の尿路感染症に投与したところ, 呼吸器感染症では10例 (77.0%) に有効以上の成績がえられたが, 敗血症の1例および尿路感染症の3例にはいずれも有効の成績がえられた。
3. 副作用: いずれの症例にも副作用はみられなかった。
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早瀬 満, 大谷 信夫
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
329-333
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
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新合成ペニシリン系抗生物質TA-058を呼吸器感染症17例に投与し著効4例, 有効9例, やや有効3例, 無効1例, 有効率76.5%の結果を得た。やや有効以下4例は, 高齢で基礎疾患を有した2例, 肺化膿症1例およびβ-lactamase産生
H. influengaeによる肺炎1例であった。
本剤投与によるアレルギー症状など重篤な副作用は認めず, 白血球減少, GOTおよびGPT上昇, 好酸球増多をそれぞれ1例ずつ計3例に検査値の異常を認めたがその程度は軽微であった。
17例中起炎菌を判定しえたのは
S. Pneumoniae 2例,
H. influmzae 7例,
S. Pneumoniae+
H. influenzae 5例の14例で, β-lactamase産生
H. influmzae 1株以外本剤により除菌しえた。
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澤田 博義, 小西 博, 臼井 忠男, 石倉 浩人, 和泉 洋一郎, 望月 敏弘, 内野 治人, 島田 恒治
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
334-338
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
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造血器腫瘍を基礎疾患とする続発性感染症5例を含む10例 (肺感染症4例, 尿路感染症3例, 扁桃炎・気管支炎・膀胱炎の混合感染1例, 胆のう炎1例および急性リンパ性白血病に続発する発熱例1例) にTA-058を投与し, 肺感染症の4例中著効1例, 有効2例, 無効1例, 尿路感染症の2例は著効1例, 有効1例, 混合感染の1例は扁桃炎。気管支炎に対しては著効, 膀胱炎に対しては有効, 胆のう炎1例はやや有効, 発熱1例は有効であった。
本剤投与によると考えられる明確な副作用は認めなかった。
本剤は造血器腫瘍に併発する感染症を含む一般感染症に有用と思われる。
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岡本 緩子, 前原 敬悟, 間瀬 勘史, 米津 精文, 橋爪 誠, 吉岡 宗, 牧野 純子, 安永 幸二郎, 上田 良弘, 大久保 滉
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
339-352
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
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田辺製薬株式会社で新しく開発されたTA-058はアモキシシリン誘導体で殺菌作用を示す抗菌剤とされているが, これにつき基礎的, 臨床的検討を行った。
抗菌力ではPIPCやAPPCに耐性の
S. aureusにやや優れたMICを示した。
K. Pneumoniaeおよび
P.aerugimsaにはPIPC, APPCより劣り,
E. coliに対してはPIPC, APPCとほぼ同等,
P. mirabilisにはPIPC, CBPCと同等あるいはやや劣る感受性であった。
TA-058 0.5 gを15分間で点滴注入した時の血中濃度は60μg/mlに達し, 1gの点滴静注の尿中排泄回収率は78.8%であった。
7例の肺炎, 急性気管支炎, 汎細気管支炎の各1例, 慢性気管支炎の急性増悪3例に投与し, 起炎菌が
Candidaであった1例と
H. influenzaeによる汎細気管支炎に無効であった。
E. coliによる急性腎孟腎炎には有効を示した。
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三木 文雄, 高松 健次, 河野 雅和, 別府 敬三
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
353-355
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
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TA-058について, 臨床分離菌の感受性を測定するとともに, 少数例の呼吸器感染症に投与し, その治療効果を検討した。
臨床分離
S. aureus, E. coli, K. pneumoniae, P. mirabilis, P. vulgaris, P. aeruginosaのTA-058に対する感受性分布のビークは, 低接種菌量の場合, それぞれ1, 56~6.25, 3, 13, 100, 0.2, > 100, 50μg/mlに認められた。TA-058の抗菌力は接種菌量の影響を大きく受け, 高接種菌量に於て抗菌活性がかなり低下することが認められた。
感染を伴った気管支拡張症, 慢性気管支炎急性増悪各1例に, TA-058を1日4g~2g投与し, 前者では無効, 後者では有効の成績を得た。副作用は認められなかった。
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柴田 弘俊, 窪田 良次, 田中 輝和, 植田 高彰, 田窪 孝行, 中村 博行, 正岡 徹
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
356-358
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
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新しい合成ペニシリン剤TA-058を用いて, 主として血液疾息に合併した重症感染症8例について臨床的検討を行った。
TA-058の1日投与量は4~8gで, 着効1例, 有効1例, 無効5例, 判定不能1例であった。
なお, 本剤によると思われる副作用は認められなかった。
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上田 聡一郎, 後東 俊博, 中川 勝, 六浦 聖治, 吉本 幸子, 亀岡 陽子, 田村 正和, 螺良 英郎
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
359-362
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
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内科領域で経験した呼吸器および尿路感染症例9例に対して, 半合成ベニシリンTA-058を静注ないし点滴静注投与し, 臨床効果, 細菌学的効果および副作用, 並びに血液, 肝, 腎機能に及ぼす影響について検討した。効果判定の対象となった呼吸器感染症例6例中, 著効3例, 有効1例, 無効2例で, 細菌学的には,
H. influenzae, K. pnesimoniae, A. ealconceticusesの消失をみた。尿路感染症例は1例のみで臨床的に著効を示し, 細菌学的には原因菌である
E. coliの消失をみた。投与全症例9例中, 効果判定の対象となった7例で, 著効4, 有効1, 無効2であり, 有効率は71.4%であった。副作用および検査値の異常等に関しては特記すべきものはなかった。
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二木 芳人, 川西 正泰, 中浜 力, 渡辺 正俊, 吉田 直之, 松島 敏春, 副島 林造
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
363-369
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
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新しい半合成注射用ベニシリン剤TA-058について基礎的・臨床的検討を行った。
患者分離の
S. aureusに対するTA-058の抗菌力はAmpicillin (ABPC), Carbenicillin (CBPC), Piperacillin (PIPC) に比し劣っていた。また, グラム陰性桿菌に対する本剤のMICは
P. mirabilisについては最も勝れていたが, それ以外の菌種についてはCBPCとほぼ同等でありPIPCには劣る成績であった。
H. influenzaeではMICのピークは0.1μg/mlと良好な成績であったが, β-lactamase産生株についてはABPCにやや劣っていた。
本剤2.0gを1時間かけて点滴静注した場合の最高血中濃度は66~112.5 (平均89.3) μg/mlであり, 点滴開始後2, 4, 6時間のそれぞれの平均値は26.0, 14.3, 6.9μg/mlであった。また, 肺癌患者における本剤2.0gを1時間点滴後の胸水中濃度は, 点滴終了時に最高値37.5μg/mlであった。
呼吸器感染症5例, 感染性心内膜炎1例の計6例を対象とし, 本剤1回1.0~2.0gを1日2~3回点滴静注法で3~41日間使用して, 臨床効果ならびに副作用について検討した結果, 著効1, 有効1, やや有効1, 無効3で, 有効率は33.3%であった。副作用ならびに臨床検査値の異常を示したものは認められなかった。
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稲水 惇, 柳田 実郎, 築山 文昭, 藤原 佐枝子, 山木戸 道郎, 西本 幸男
1984 年 32 巻 Supplement2 号 p.
370-373
発行日: 1984/04/25
公開日: 2011/08/04
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慢性気管支炎4例, 気管支肺炎2例, 気管支拡張症1例の合計7例の呼吸器感染症を対象として新しい半合成ペリシリン剤であるTA-058の臨床効果を検討した。TA-058の投与は原則として1日1gを1日2回点滴静注により投与した。その結果, 著効1例, 有効3例, やや有効1例, 無効2例で, 効果判定の可能であった7例中, 4例 (57.1%) に有効性が認められ, 副作用は全く認められず, TA-058の呼吸器感染症への有用性が確認された。
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