CHEMOTHERAPY
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TA-058に関する研究
二木 芳人川西 正泰中浜 力渡辺 正俊吉田 直之松島 敏春副島 林造
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1984 年 32 巻 Supplement2 号 p. 363-369

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抄録

新しい半合成注射用ベニシリン剤TA-058について基礎的・臨床的検討を行った。
患者分離のS. aureusに対するTA-058の抗菌力はAmpicillin (ABPC), Carbenicillin (CBPC), Piperacillin (PIPC) に比し劣っていた。また, グラム陰性桿菌に対する本剤のMICはP. mirabilisについては最も勝れていたが, それ以外の菌種についてはCBPCとほぼ同等でありPIPCには劣る成績であった。H. influenzaeではMICのピークは0.1μg/mlと良好な成績であったが, β-lactamase産生株についてはABPCにやや劣っていた。
本剤2.0gを1時間かけて点滴静注した場合の最高血中濃度は66~112.5 (平均89.3) μg/mlであり, 点滴開始後2, 4, 6時間のそれぞれの平均値は26.0, 14.3, 6.9μg/mlであった。また, 肺癌患者における本剤2.0gを1時間点滴後の胸水中濃度は, 点滴終了時に最高値37.5μg/mlであった。
呼吸器感染症5例, 感染性心内膜炎1例の計6例を対象とし, 本剤1回1.0~2.0gを1日2~3回点滴静注法で3~41日間使用して, 臨床効果ならびに副作用について検討した結果, 著効1, 有効1, やや有効1, 無効3で, 有効率は33.3%であった。副作用ならびに臨床検査値の異常を示したものは認められなかった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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