CHEMOTHERAPY
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TA-058に関する基礎的・臨床的研究
渡辺 講一他
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1984 年 32 巻 Supplement2 号 p. 408-416

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抄録

ペニシリン系抗生剤TA-058について, 基礎的, 臨床的検討を行った。
抗菌力: 臨床分離株272株について, TA-058とAMPCの最小発育阻止濃度 (MIC) を求め両者を比較した。S.aureusに対してAMPCより1~2管程劣る成績であったが, E.coli, E.cloacae およびP.mirabilisに対しては, 本剤はAMPCより優れた抗菌活性が得られた。S.mareescens, P.vulgaris, P.aeruginosaでは, AMPCと同等のMIC値を示した。H. infiuenzaeに対する本剤のMIC値のピークは0.1~0.2μg/mlにあり。AMPCより1~2管優れていた。
血中および喀痰内濃度: 腎機能に著変をみない慢性気道感染症3症例に本剤1gを1時間で点滴静注投与した。最高血中濃度は点滴終了直後にみとめられ44.5~67.5μg/mlの値を示した。点滴終了5時間後にも1.7~4.6μg/mlの濃度がみられた。また喀痰内濃度は, 2例は最高4.0~6.6μg/mlであったが, 1例は最高0.17μg/mlしか認められなかった。
臨床効果および副作用: 呼吸器感染症14例 (肺炎7, 慢性気管支炎4, 肺化膿症2, 気管支拡張症1) に本剤1~2g×2/日, 5~17日間点滴静注投与を行った。その結果, 著効2例, 有効6例, やや有効3例, 無効3例で, 有効率は57, 1%であった。副作用として, 自他覚症状・検査所見について, 特に本剤による異常は認められなかった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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