CHEMOTHERAPY
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外科領域におけるTA-058の基礎的・臨床的検討
由良 二郎品川 長夫石川 周高岡 哲郎早川 義秋中村 明茂三宅 孝林 宇多子
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1984 年 32 巻 Supplement2 号 p. 491-501

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抄録
新しい注射用ペニシリン系抗生剤であるTA-058について, 外科領城における基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
1. 抗菌力: 外科病巣分離のE.coliに対するTA-058のMICは, PIPCとCBPCの中閥であつた。Klebsiellaに対しては耐性傾向であった。
2. 胆汁中移行: 臨床例2例においてTA-058の胆汁中移行を検討したが, 1gのone-shot静注例で胆汁中ピーク値はそれぞれ81μg/mlないし, 23μg/mlで黄疸症例であるため低値を示した。しかし血中濃度より高値を示しており, 胆汁中高濃度移行群と考えられた。
3. 臨床使用成績: 外科的感染症37例, 虫垂炎術後感染予防2例にTA-058を使用した。その臨床効果は, 対象疾患が中等症程度までであったためか, 著効7例, 有効22例, やや有効3例, 不明5例で, 有効率90.6%ときわめて良好であった。術後予防的投与の2例も感染合併症を起さず良い成績であった。
副作用に関しては, 本剤によると思われる自他覚的なものは全例に認めず, また, 臨床検査値上でも本剤によると思われる問題となる異常値は全例に認めなかった。
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© 社団法人日本化学療法学会
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