CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
婦人科領域におけるTA-058の薬動力学的解析
山元 貴雄保田 仁介金尾 昌明岡田 弘二
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 32 巻 Supplement2 号 p. 727-731

詳細
抄録
TA-058の性器組織への移行性について検討した。対象は主として単純子宮全摘例であるが, その他の婦人科手術例も含まれている。
末梢静脈, 子宮動脈, 卵巣, 卵管, 子宮内膜, 子宮体部筋層, 子宮頭部および子宮腟部の薬剤濃度を測定し, Two-eompartment modelを用い解析した。
本剤2g one shot静注投与時の血清中濃度は末梢静脈血と子宮動脈血との間に大差なく, その半減期は末梢静脈血で1.4時間, 子宮動脈血で2.0時間であった。
性器組織内濃度は各組織により多少差が認められるが, 0.21~0.52時間 (12.6~31.2分) の範囲で最高値に達し, Cmaxは34, 1~58.4μg/gであった。半減期は各組織により多少異なり0.53~1.1時間 (31.8分~1時間6分) であった.
濃度曲線下の面積 (AUC) は動脈血清中濃度の約30~50%に達した。
これらの成績から, TA-058の婦人性器組織への移行性は非常に良好であると判断した。
著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top