CHEMOTHERAPY
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眼科領域におけるTA-058の碁礎的, 臨床的検討
大石 正夫永井 重夫徳田 久弥有本 啓三
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1984 年 32 巻 Supplement2 号 p. 775-779

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抄録

新しい半合成ペニシリン剤, TA-058を眼感染症に臨床応用するために, 基礎的, 臨床的検討を行った。本剤の抗菌スペクトルは, ABPC, CBPCおよびPIPCに類似して広域性であった。S.ausrevs 20株は0, 78~12.5μg/mlに感受性分布を示し, peakは0.78μg/mlおよび3.13μg/mlにあってそれぞれ5株, 25.0%が占めた。P.aeruginosa 10株は25~>100μg/mlに分布して, 50μg/ml以下に5株, 50%がみられた。白色成熟家兎に50mg/kg 1回静注して, 家兎眼前房水内へは注射30分後に6.0μg/mlの前房水内濃度のpeak値がえられた。以後はすみやかに減少して6時間後は0.7μg/mlであった。30分時の房水。血清比は5.28%であった。眼組織内濃度は注射30分後に測定した。外眼部組織には高い移行濃度を示し, 眼内部にもかなり良好な移行がみとめられた。臨床的には, 外麦粒腫, 瞼板腺炎, 急性涙嚢炎, 角膜潰瘍, 角膜膿瘍, 化膿性虹彩毛様体炎, 眼窩感染の全14症例に対し, 1回1.0gまたは2.0gを1日1回ないし2回静注または点滴静注して臨床効果を検討した。著効5, 有効8, 無効1の成績がえられた。全例に副作用はみとめられなかった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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