CHEMOTHERAPY
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Sulbactam/Cefoperazoneの抗菌力および呼吸器感染症に対する臨床的検討
渡辺 彰大泉 耕太郎佐々木 昌子青沼 清一大沼 菊夫今野 淳
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1984 年 32 巻 Supplement4 号 p. 161-170

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抄録

Cefoperazoneとβ-lactamase阻害剤のSulbactamとの1対1配合剤であるSulbactam/Cefoperazoneに関して, 各種病原細菌に対するin vitro抗菌力および呼吸器感染症に対する臨床効果, 細菌学的効果副作用を検討した。
黄色ブドウ球菌に対する本剤の抗菌力は比較したCefoperazone, Cefmetazole, Cefazolinのいずれよりも劣っていた。大腸菌, 肺炎粁菌, エンテロバクター, セラチア, 緑膿菌においては, β-lactamase非産生株に対する本剤の抗菌力はCefoperazoneとほぼ同等であるが, Penicillinase産生株に対して抗菌力の増強がみられ対照の薬剤より優れていた。Cephalosporinase産生株に対する抗菌力の増強は少なかった。
呼吸器感染症12例 (肺炎4例, 気管支拡張症二次感染4例, 肺癌二次感染4例) に対する本剤の臨床効果は著効5例, 有効5例, 無効2例であった。12例中8例から起炎菌として化膿性連鎖球菌1株インフルエンザ菌4株大腸菌1株肺炎桿菌1株アシネトバクター1株の計8株を分離した。本剤の投与により全株の菌消失が得られた。副作用として3例で下痢を認め, そのうち1例では貧血と好酸球数増多を伴なったが投与終了後には正常化した。

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© 社団法人日本化学療法学会
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